式と披露宴の準備
結納を終えた今日子と貴司は、本格的に式と披露宴の準備、そして新居探しにとりかかった。
まず、式と披露宴について、話を進めたいと思う。
はじめ、今日子は式や披露宴について、深く考えていなかった。
むしろ貴司のほうが、そのようなものに積極的だった。
ただ今日子のほうも、貴司に連れられホテルや式場に見学に行く度、だんだんと‘花嫁さん’のイメージができてきた。
花嫁衣裳への憧れなど皆無であった今日子だが、ウエディングドレスや白無垢の写真に少しばかり心惹かれてきた。
会場は招待客のアクセスを最優先に考えて決めた。
貴司側の親族は、皆、遠方からの出席となるため、新幹線発着駅から程近く、そこにそのまま宿泊できるホテルを会場とした。
ただ、招待客の数が、新郎側新婦側であまりに差ができてしまった。
貴司の父は7人兄弟で、母は5人兄弟。
対して、今日子の父は一人っ子、母は2人姉妹だったのである。
親戚の数が、はなから違う。
悩んだ2人(というより、悩んだのは貴司だけ)だが、ウエディングプランナーに問題ないと言われ、そんなものかと納得した。
さらに、こだわったのは料理である。
「あの結婚式、料理が貧相だったね。」
などと、後で招待客に思われるのは恥ずかしい。
今日子の父にそう言われ、2人(というより、貴司)はそれに従った。
式は神前式を選択した。
2人はごく一般的な日本人の宗教観が好きであった。
クリスマスにはケーキを食べ、正月には初詣に行き、先祖の墓は寺にある。
それに何の疑問を抱かずとも、大らかな八百万の神は、きっと許してくれる。
そう都合よく解釈していた。
そして、打ち合わせは今日子の衣装を決める段階に入った。
白無垢は着てみたいと今日子は思った。
ただ、ウエディングドレスも捨てがたい。
カラードレスや色打掛は、まあどちらでも良かった。
結局、白無垢で式を挙げ、披露宴の途中でウエディングドレスにお色直しする事にした。




