結納
両家両親が合意した事で、今日子と貴司は正式に婚約した。
そうなると張り切ってしまうのが、世の親というものかもしれない。
今日子と貴司は結納までは考えていなかったが、貴司側の両親の希望で、これは執り行われる事となった。
但し、現金を頂戴する事に躊躇した今日子の両親が、結納金は辞退し、形だけのものにしたのだが。
場所は今日子の自宅近くのホテル。
今日子は母に振袖を着せられた。
「私もう、36だよ。振袖って、変じゃない?」
今日子は母に訊いてみたが、
「友達の結婚式には変かもしれないけれど、自分の結納ならこれが一番良いの。振袖にしては地味なデザインだから、まだ似合うわよ。これが終わったら、袖を切って訪問着にしてあげる。」
と答えられた。
髪は貴司からプレゼントされたかんざしでまとめた。
今日子は長い髪が好きで伸ばしていたが、以前はボサボサのままでいて、どこからどう見てもだらしなかった。
ところが、貴司がせっせとヘアアクセをプレゼントしたためか、その頃の今日子はヘアアレンジに凝るようになっていた。
一度、凝りだすと止まらない今日子である。
仕事モードのまとめ髪から、休日仕様の夜会巻きまで、習得するのに時間はかからなかった。
結納は、滞りなく進んだ。
両家は和やかに会話し、式と披露宴、新居はどうするかの話も出た。
式と披露宴は、2人の職場のある今日子の地元で、新居やはり2人の職場近くという事で、話は落ち着いた。




