風よ
整然とした街路樹を揺らし
陽光を灯す葉っぱを散らして
アスファルトに散る落ち葉を吹き上げ
ビルの近くでは渦を巻き起こす
コンビニののぼりをなびかせ
横殴りの雨を打ちつけて
ドアの隙間から人々を冷やし
整えた髪を無茶苦茶に崩す
時には強い嵐となって
凍てつくような吹雪となって
燃えたぎる熱風となって
名前を変えて駆け巡ってゆく
ところで
いったい君はどこで生まれ
どこへ消えていってしまうのか
今までどこを旅してきたのか
あの子の街も通ってきたのか
意気揚々と掲げた旗も
恥ずかしくて仕舞いかけた旗も
平等にはためかせる風よ
君の名前は何と言うのか
君はこれからどこへ行くのか
僕はこれからどこへ行くのか