避難訓練に変更されました
モブがやらかします
視界の隅で、蟲寄せ香に水を掛けた馬鹿な男子生徒がいた。
停学、もしくは退学の扱いとなる。
水分の含有量が多いとされる葉の上に置かれたのは、空気中と葉の水分で魔蟲を誘き寄せる仕組みだと、前回の授業で説明した…はずだ。
「実習を中止する。生徒、及びCランク以下の従者は校舎に帰還して下さい」
その言葉にざわめき出す生徒らをまとめ、帰還させるべく魔法陣へ誘導・護衛するのは、俺と然程歳の変わらないだろう若手の冒険者2名だ。
「レミリアお嬢様、ご存知ですか?」
「ちょ…何の話よ!?避難するのが先のはずでしょ、アイルー」
「あの蟲の甲殻、加工次第でとても綺麗なアクセサリーに成るんです…あと結構美味しいみたいで、
地方によっては超高価買取りが成されるのを…」
「え…アイルー、あんた…まさか、食べたこと有るのあの蟲…」
「…私、ゲテモノ食いは致しませんよぉ
ただ、高く売れるんで…昔は良くあの魔蟲を探しましたね」
「その蟲が、こっちに迫ってるんだってば…逃げなきゃでしょうが!?」
「何故です、私とてそれなりに戦えますよ?」
「こういうのは…プロに任せるべきでしょ?」
「あぁ…私のような?」
そうニコニコ笑うメイドにさすがに苛立ちを隠せなかった。
レミリアはそう笑うメイドの腕を掴もうとした。
メイドを引き摺ってでも、避難しよう
そもそもが逆なのだ。
従者足るもの、主…この場合、レミリアを危険に晒してはいけないのだ。
一体何を考えているのか…