今も昔も、君を欲している
気付いたのは早かった。
変わったのは立場だけ…
俺は放蕩息子から教授へ、アイゼンガルドは人妻からメイドへと変わっていた。
気付いたら捕らわれていたのだろう。
今となっては、そう思う
最初の印象はお互いに最悪だろう…
あの屋敷の中で、気を抜くことさえ中々出来ないとか…どんな拷問か
それでも、少女は無意識的に微笑みと言う名の鎧を付ける。
痛々しい…そう思った、同情だったのだ。
いつしか、俺やギルの前では本心からの笑みがこぼれて…
どうしようもないほどに、好きになってしまったのだから…
その時の俺は学生で、拐うことも出来やしなかった。
拐うことは出来なくても、ギルが居れば連れ出せたから、冒険者ギルドに登録した。
二人は手に入れた素材を店に卸し、利益を手にしていた。
時に採取、調合さらには討伐…そうして、ランクを順調に上げ、この依頼をこなせばBランクに成れる…そんな時だった。
ギルの父親で、アイルーの夫が死んだのは…
アイルーは旦那の代わりに契約を進め…ギルは店を継ぐ以外の道は無かった。
葬儀後…一区切りついたろうと、改めて会いに行ったら、彼女の姿は店に無くて愕然とした。
アイルーの指には、何もはめられていない。
手を伸ばしても、赦されますか?