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台風の目解説(台風の目を読んでからお読みください)

「台風の目」の解説ページのため、「台風の目」を読んでからお読み頂く事をお薦めします。

 ツッコミや感想などあれば、お寄せ頂ければ幸いです。

 この話の意味がわかると怖い部分は、どこが「台風の目(中心)」なのか?という事。


 話を読んで行くと、どうやら夫婦に何かあったらしいという事がわかる。

 テーブルに突き刺した包丁とはかなり過激な夫婦喧嘩をした様子だ。

 包丁に突き刺された写真などから、夫が不倫していた事が喧嘩の発端だと想像出来る。

 では、作中に姿のない夫はどこに行ってしまったのか?


 ヒントとなる部分は、


“昨夜は酷い嵐だった。”

“台風は夜中に猛威を奮い、雨戸を叩くような大きな雨音と、唸るような叫ぶような風の音で眠りを妨げた。”


 昨夜は随分酷い台風が訪れていたようだ。


“こんな日に、睡眠薬なしでも眠れたのは自分でも意外だった。”


 妻は普段睡眠薬を使っていた。


“隣家からは少し距離があるおかげで、騒音に悩む事はなく、こちらも騒音を気にする必要がなく、天気の良い日の夕飯どきには、二階のテラスのテーブルに食事を並べて、音楽をかけながら、夫婦二人でおしゃべりを楽しみながら過ごしたりと、憧れていた夫婦円満な生活を満喫してきた。”


 夫婦の暮らす家は隣家からも離れており、騒音を気にする必要はないようだ。


“夫のスマホを操作して電話に出ると、案の定夫の会社の人間からだった。”


 夫は見当たらないが、夫のスマホは妻が持っている。


“薄暗いキッチンで適当なグラスに水を汲むと、私は一気に飲み干した。二杯目を汲んで、雨戸が閉めっぱなしなせいでやはり暗いリビングのテーブルへ向かった。”


 雨戸が閉めきられているせいで部屋の中は暗いままだ。


“ああ、いつ雨戸を開けようか。”


 雨戸を開けるのが嫌なようだ。


“込み上げてきた疲れに、私はもう一度、テーブルに伏して目をつぶった。

 いけない、このグラスは……”


 グラスがどうしたというのだろうか?


 昨夜何が起きたのか?

 以下答え。


“昨夜は酷い嵐だった。”

→嵐のような夫婦喧嘩だった。


“台風は夜中に猛威を奮い、雨戸を叩くような大きな雨音と、唸るような叫ぶような風の音で眠りを妨げた。”

→台風は実際に来ていたが、雨戸を叩いたり唸ったり叫んでいたのは夫。

 不倫していた夫は、妻によって悪天候の中、二階のテラスに追い出されてしまったのだ。

 しかし、女性がどうやって男性をテラスまで追い出せたのか?

 妻は夫の不倫を知ってしまってから、心を病み始め、睡眠薬に頼るようになっていた。その睡眠薬を夕飯時に夫のグラスに混ぜたのだ。

 意識が朦朧としていく夫に不倫の証拠を突き付け、妻は自分の怒りを鬼のようにぶつけた。

 薬が効き意識を失った夫を引きずりテラスに出すと、テラスに続く窓の雨戸を閉め鍵をかけた。

 薬の効きが弱まり台風の雨風に目を覚ました夫は、窓を開けてくれと妻に叫んだ。雨戸を叩きもした。隣家からは離れている為、いくら叫んでも妻以外は誰も助けに来ない。

 夫はどんな気持ちだっただろうか?

 自分のした事を後悔しただろうか?

 それとも妻の仕打ちに腹を立てただろうか?

 妻は夫婦の寝室で一人泣きながら眠りにつき、嵐の一晩が過ぎた。

 取り上げた夫のスマホの着信音に目を覚ました妻は、電話をかけてきた夫の会社の女性に嘘の欠勤理由を伝えた。電話してきたのは、夫の不倫相手だろうか?

 電話を切ると、悲しみとも怒りとも後悔とも言えないような気持ちを抱えて、妻はキッチンへ向かう。

 水を飲もうと手に取ったグラスは、昨夜睡眠薬を混ぜた夫のグラスだったが、雨戸を閉め切り明かりもつけずにいた部屋は暗く、妻は気づかずに水を入れ飲み干してしまう。

 テーブルについた時、込み上げてきた眠気に、グラスに睡眠薬の成分がまだ残っていた事に気づいたが、どうやら薬は効いてしまったようだ。

 テーブルに伏してしばし眠ったあと、目を覚ました妻は雨戸を開けるのだろうか?

 テラスにいると思われる夫は随分静かだが、大丈夫だろうか?


 嵐のような夫婦喧嘩を経て、台風は過ぎ去ったようだが、夫婦の間に吹き荒れた嵐は、このままおさまって行くのか? それとも、妻が雨戸を開けたあとにまた吹き荒れるのか?

 この家が静かなのは台風が過ぎ去ったからなのか、今は台風の目に入ったからなのか、どちらなのだろうか…

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