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盲目

某所での朗読用に自作した「意味がわかると怖い話」です。

 その日、家に帰ると妻がいなかった。


 もっと正確にいえば、妻の声は聞こえるが、妻の姿が家の中のどこにも見えないのだ。

 声だけの妻は、ひどく取り乱した様子で、どこかに電話をかけているようだった。


「はい、はい。そうなんです。田中さんが急に……。そうなんです、はい……」


「おい、お前、いったい誰と話しているんだ? 田中って誰だよ?」


 声だけの妻は、俺の知らない男の名前をなれなれしく「君」づけで呼び続けている。

 なんだよ、その男の名前は?

 妻は俺に隠れて浮気でもしていたっていうのか?


「はい、はい。勘違いしているみたいで……。こっちに来られますか?」


 来られるってなんだよ? 誰がうちに来るっていうんだよ?


「はい、どうしたらいいのかもうわからなくて……。とにかく奥さんに来てもらって、それからどうするか決めようかと」


 奥さんに来てもらうだって? 俺の妻は家の中にいないって言うのか?


「ここは俺のうちだろう! 妻はどこに隠れているんだ!」


 俺は思わず怒鳴るが、声だけの妻は、必死な様子でとにかくそこを動くなと言っていた。


「もう、車を呼んで病院に連れて行った方がいいでしょうか?」


 病院、という言葉ではっとする。

 そうだ、今日は妻と病院に行く話をしようとして、数年ぶりに早めに仕事を切り上げて家に帰ったのだ。

 妻はあれほど病院に行くことを薦めてくれたのに、病院に行こうと決心するのが遅すぎたのか?

 この状況は、すでに俺の目がおかしくなってしまったということなのだろうか?

 なんだか、ずいぶんと妻の声も聞き取りづらいな。

 目だけでなく、耳もおかしくなってきているのか?


「もう僕一人じゃどうしたらいいのか……。とにかく、いつものオフィスにいます」


 涙声の男の声が鮮明に聞こえた瞬間、俺の意識は遠のいた。


 意識が戻った時、俺は誰もいない病室に寝かされていた。

 俺がボーっとしているとどこからともなく、看護師が状況を説明する声が聞こえてきたが、どこから聞こえてきているのか、俺には皆目見当がつかなかった。


 ああ、やはり俺の目は見えなくなってしまったのか……。

さて、皆さんはこの話の意味がわかると怖い部分わかりましたでしょうか?

わかったよ! わかりづらいよ!

どちらの突っ込みもお待ちしております。

解答はまたどこかで?

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