そして、町に入った。
「でかいな......」
クロヴィルは今、トルクチェン王都の門の前にいた。
ゲームの知識からトルクチェン王都はそこそこ大きいことは知っていたのだが知っていて尚、驚いたのだ。
「とりあえず......中に入るか!」
クロヴィルが門に近寄ると、
「待て!ここを通りたくば、自らを証明するものを提示してくれ。なければ通行料、200ギルだ。」
門番らしき男が慣れた様子で話し掛けてきた。ちなみにこの世界でのお金はこんなかんじだ。
青銅貨 =1ギル =1円
銅貨 =100ギル =100円
銀貨 =10000ギル =1万円
金貨 =1000000ギル =100万円
白金貨 =100000000ギル =1億円
ー通行料なんてあったけ?ゲームじゃないはずなんだが......
「変なこと聞いてもいいか?通行料って、いつからでたんだ?」
「ホントに変なこと聞くんだな。え~と、たしか、100年くらい前だったと思うけど、何でこんなこと聞くんだ?」
ー神様のやつ、俺が面白い死に方をしたから、<エンテファブリア>の世界を創った。とか言ってたけど、実際は<エンテファブリア>に似た世界があったからそこに俺を転生させたんじゃね?まぁ、どっちでもいいけど
「いや、ちょっと気になっただけだ。通行料は200ギルだったな、ほらよ。ついでに自らを証明するもの、っていうのは具体的に何なんだ?」
「うん、ちょうど200ギルだ。自らを証明するもの、ってのはギルドカードもしくは商業カード、貴族カード、王族カードだな。ま、王族カードを見ることなんか絶対にねぇと思うが。」
ギルドカードはともかく、他は知らないカードの名が出てきた。
ーだいたい、名前で見当はつくな。商業カードは商人専用の、貴族カードは貴族専用の、王族カードは王族専用の、ってな、かんじだな多分。王族カードを見ることが出来ないのは当然だろう。王族がホイホイ、王都の外に出てたら世も末だろうしな。
「いろいろと聞いてすまなかったな。助かった、ありがとう。」
「いいって、いいって。俺も退屈してたところなんだ。いい気分転換になった。今度、暇なときに一杯どうだい?」
「ああ、暇なときにな。じゃあな。」
そう言って、俺は門の中、トルクチェン王都に入った。
ー人や獣人が多いな。
王都に入って最初に思ったことがそれだった。王都は貿易が盛んなところだから露店が多い。それにともなって、人や獣人の数も多くなるのだ。
ーまずは、宿探しだな。で、宿をとったら、そこそこ大きい店でMPポーションを売りさばく。そしたら、ギルドで登録、次は......明日でいいよな。
クロヴィルは人に聞いてまわり、ちょっとだけ高いけどうまい飯が食える宿を見つけた。宿に着くとおばちゃんが受付にいたので聞いた。
「一泊したいんだがいくらだ?」
「300ギルだね!うちは高いが料理には自信がある!損はさせないよ!!」
と、自信満々に言ったのでちょっと期待することにする。不味かったら、仕返しするがな!
宿でお金を払い、店を探すことにした。で、探すことには苦労しなかったんだが、俺からすればここが今日一番の難所である。
ーくくく、さぁ、俺は商人相手にどこまで高く売り付けられるかな。MPポーション!!
俺が創ったMPポーションはゲーム時で売れば、1000ギルほどである。最低でも、1000ギル以上で売りたい。ちなみにゲーム時でも通常の価格より、高く売りさばくことはかのうだ。
クロヴィルは自分の交渉技術がどこまで通じるか試してみたかった。
ーいざ、勝負だ!!!
クロヴィルは基本何でもできます。前世では、大抵のことはすぐに出来るようになるが、器用貧乏でした。だからこそ、デメリットが大きいが何でもできる創造魔法を習得したんです。