表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/193

第七十二話 帰還と、仲間たちの正体

精霊の国での、狂乱の宴の翌朝。

一行は、精霊王ファーンに見送られ、再び、人間界へと、その足を踏み入れた。

精霊の国での、数日間は、まるで、長い夢を見ていたかのようだった。

「ふん!」

一行の中で、最も、早く、現実へと適応したのは、ガガルだった。

彼は、人間界の、土の匂いを、大きく、胸に、吸い込んだ。

「おお! 懐かしい、鉄と、血の匂いだ! 南の方角から、微かに、漂ってくるわ! 戦は、まだ、続いておるようだな!」

その、あまりにも、鋭敏な嗅覚に、ユウマは、素朴な疑問を、口にした。

「そんな遠くの匂いまで、分かるのか。すごいな、魔族の鼻は」

しかし、その言葉に、意外な方向から、ツッコミが入った。

「え、主サマ、知らないの?」

アイが、きょとんとした顔で、ユウマを見つめた。

「ガガルっち、魔族じゃないじゃん。**獣人ビーストマン**だって」

「………………はああああああああ!?」

ユウマの、魂の絶叫が、森の鳥たちを、一斉に、飛び立たせた。

「う、嘘だろ!? だって、ガガルさん、魔王軍の、幹部だったんだろ!?」

その、あまりにも純粋な驚きに、当のガガルは、心外であると同時に、自らの血統を語る、絶好の機会だと、その巨大な胸を、さらに大きく張った。

「フン! ユウマ様、お目が高い! このガガルを、そこらの、ザコな獣人共と、一緒にしては、困りますな!」

彼は、誇らしげに、宣言した。

「我が父は、嘆きの山脈を根城とした、伝説の巨獣ベヒーモス! そして、我が母は、全てのミノタウロス族を束ねた、偉大なる女王クイーンミノタウロス! この俺は、二つの伝説の血を引く、唯一無二の存在なのだ!」

「(べ、ベヒーモス…? クイーンミノタウロス…?)」

ユウマの脳が、情報の処理を、拒絶し始める。

ガガルは、お構いなしに、続ける。

「魔王軍が、種族を問わず、強者を集めていると聞き、腕試しでのし上がったまでのこと! この、緑色の肌の色は、偉大なる母譲りの、高貴なる血統の証なのだ!」

「ああ、角折りの女王クイーンね。懐かしいわ」

リリスが、ふと、思い出したように、言った。

「魔王様に喧嘩を売ってきてねえ。城の門を三つも素手でへし折っていった、元気な女だったわ。…なるほど。あんたが、あの時の息子か」

リリスの、その一言が、ガガルの、とんでもない血統の、完全な裏付けとなってしまった。

ユウマが、白目を剥きかけた、その時。

「まあ…」

アリアが、納得したように、手を合わせた。

「ベヒーモスの剛力と、ミノタウロスの武勇…。どうりで、私の聖なる祈りを受けても、魔族ほど苦しんでおられないわけですわ。貴方の魂は、深淵ではなく、大自然に根差しているのですね」

アリアが、感心したように、そう言った、その瞬間。

リリスの、悪魔のような、ツッコミが、今度は、アリアに、突き刺さった。

「あら、アリアちゃん。他人の正体について、感心してる場合かしら? その言い方だと、まるで、自分は、ただの、人間です、みたいに、聞こえるわよ?」

「!?」

アリアの、聖女のような、穏やかな表情が、初めて、ぎくり、と凍りついた。

「リ、リリス様! 何を、おっしゃいますか!」

「え、そうなの?」

ユウマが、今度は、アリアの方を、信じられないものを見る目で、見つめる。

「アリアさんも、人間じゃ、ないのか…?」

「てか、言われてみれば!」

アイが、ぽん、と手を叩いた。「アリアっちって、なんか、人間離れしてるっていうか、オーラが、超キラキラしてるもんね!」

全員の視線が、アリアに集中する。観念したように、彼女は深くため息をつくと、ユウマに向き直り、申し訳なさそうに、ひざまずいた。

「…申し訳、ございません。賢者様。わたくし、生まれは、人の子ではございません」

彼女がそう言った瞬間、その背中から、まばゆいばかりの、光の翼が一対、ふわりと現れ、すぐに消えた。

「わたくしの真の名は、アリアエル。…天界より、この下界を見守ることを使命とする、天使の一柱にございます」

「…………………」

ユウマの、思考が、完全に、停止した。

魔王軍の幹部は、伝説級モンスターのハイブリッド獣人。

聖女は、天界の天使。

(じゃあ、何? このパーティ、普通の人、俺だけ…?)

その、あまりにも絶望的な事実にたどり着き、ユウマは、その場で、崩れ落ちそうになった。

しかし、彼は、倒れなかった。

彼は、すっと、真顔に戻ると、仲間たちに、言った。

その声は、奇妙なほど、落ち着き払っていた。

「…そうか。分かった。…さて、行こうか」

仲間たちは、顔を見合わせた。

((((おお…! 我々の、正体を知っても、一切、動じられない…! なんという、器の大きさ…!))))

ユウマの、あまりの衝撃に、全ての感情が、一周して、無になってしまっただけの、「思考放棄」は。

仲間たちの目には、「全てを受け入れる、王の器」として、完璧に、映ってしまっていた。

彼の、勘違いの伝説は、もはや、彼が、何もしなくても、勝手に、加速していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ