第百八十一話 影の道とヴァロリア潜入
ロデリックが示した道それは王城の地下深く
忘れられた古の通路だった
空気は冷たく湿り気を含んでいる
一行はリリスが灯す小さな闇の炎を頼りに
黙々とその暗闇を進んだ
ガガルの足音が重く響く
彼の心は主君への心配で満ちていた
アイもいつもの軽口を叩かず弓を握りしめている
アリアは静かに祈りを捧げていたユウマの無事を
リリスだけが冷静に周囲を警戒していた
通路は複雑に入り組んでいた
まるで巨大な迷宮
ロデリックの地図がなければ確実に迷っていただろう
数時間歩き続けた頃だろうか
前方から微かな風の流れを感じた
「…出口が近いわ」
リリスが呟く
やがて一行は古びた鉄格子の前にたどり着いた
ガガルが音もなくそれを捻じ曲げる
その向こうはヴァロリアの広大な地下下水道だった
「よしここからは地上を目指すぞ」
ガガルが先導し一行は下水道を進む
悪臭と不気味な水音
しかし彼らの決意は揺るがない
地上への出口は貧民街の片隅にあった
ボロボロの服を纏った人々が訝しげな視線を向けてくる
一行はフードを目深に被り足早にその場を離れた
中央王都ヴァロリア
未来的な街並みは変わらない
しかし空気はどこか張り詰めていた
白銀の騎士団の巡回が普段より多い気がする
ウィルナス王が何かを警戒しているのか
それともユウマの『破損』が原因なのか
「…どうやって城に潜入するつもり?」
アイが小声でリリスに尋ねる
リリスは不敵に笑った
「正面から行くわけないでしょ馬鹿ね」
彼女は街の影暗い路地裏へと一行を導いた
「この街にも『裏』はあるのよ
そして私はそっちの方が詳しいわ」
リリスには何かあてがあるようだった
一行は魔都とは違う種類の混沌
ヴァロリアの裏社会へと足を踏み入れていく
ユウマの安否を確かめるために
彼らはどんな危険も厭わない覚悟だった




