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女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


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第百六十五話 思考する街と、地図なき道案内


「(…この街、便利かもしれない…)」

ユウマの口元でホバリングする熱々の串焼き。店主(一つ目のタコ)の怒りのオーラ。仲間たちの呆れた視線。

ユウマは慌てて懐から有り金(トリス村でもらった餞別)を取り出し店主に投げ渡すと串焼きを掴んでその場を猛ダッシュで離れた!

「全くもう!」

少し離れた路地裏で息を切らすユウマにリリスがやれやれと肩をすくめた。

「あんたのその無自覚な便利機能いつか本気でトラブル起こすわよ」

「だ、だって…!」

「まあまあ主サマドンマイって!」

アイがユウマの背中をバンバン叩く。

「てかさー宝玉どこにあんのかマジでノーヒントじゃん? フェンリルっちも超テキトーだし」

「そうですね…」

アリアが困ったように辺りを見回す。

「このように常に形を変える街で特定の物を探すというのは至難の業ですわ…」

ユウマも途方に暮れた。

フェンリルの言う通り「街の一部となり宝玉に気に入られる」のを待つしかないのか。それはあまりにも時間がかかりすぎる。

(誰か…この街のこと詳しい人とかいないのかな…地図とか…)

ユウマがそう考えた瞬間。

ピラッ。

目の前に一枚の古びた羊皮紙が風もないのにひらひらと舞い落ちてきた。

拾い上げてみるとそこには奇妙なインクで描かれたアヴァロンの地図らしきものが記されていた。しかしその地図はまるで生きているかのように絶えず形を変え道が繋がったり消えたりしている。

「うわっ! 地図だ!」

ユウマが驚く。

「…なるほどね」

リリスはその地図を一瞥し頷いた。

「あんたの思考に街が反応したのよ。『地図が欲しい』と願ったから『常に変化する地図』が現れた。…皮肉なことにね」

「これじゃ意味ないじゃないか!」

ユウマが地図を投げ捨てようとした時ガガルがそれを制した。

「お待ちくださいユウマ様! この地図には何か印のようなものが!」

ガガルが指さしたのは地図の中央付近で絶えず明滅している一つの奇妙な印だった。それはまるで複数の道が交差する結び目のような形をしていた。

「これは…?」

「もしかしたら」とアリアが言った。「この街の『中心』あるいは『基準点』のような場所を示しているのかもしれませんわ。全ての変化の始まりとなる場所…」

「そこに宝玉があるってこと!?」

アイが目を輝かせる。

「さあね」リリスは肩をすくめた。「でも他に手がかりもないし行ってみる価値はあるんじゃない?」

一行は再び歩き始めた。常に変化する地図とチビすけの示す微かな光を頼りに明滅する印が示す場所へと。

道中はやはり混沌としていた。

ユウマが(喉渇いたな水飲みたい)と思うと道端の噴水から水がホースのように伸びてきたり。

ガガルが(腹が減った! 先ほどの肉を!)と思い出すとあの足の生えたステーキ幻獣が遠くのビルの屋上からこちらに手を振っていたり。

アイが(あーあイケメンとか歩いてないかなー)と考えると目の前を通りかかったリザードマンが突然キラキラした王子様風の衣装に変化したり。

ユウマは必死に心を無にしようと努めたがもはや手遅れだった。

彼の仲間たちの自由奔放すぎる思考とユウマ自身のささやかな欲望がアヴァロンの街をさらにカオスな遊園地へと変貌させていく。

やがて一行がたどり着いたのは街の中心とは思えないほど静かで古びた一角だった。

そこには天まで届くかのような巨大な砂時計がゆっくりと時を刻んでおりその周囲には無数の扉がまるで蜂の巣のように壁一面に並んでいた。扉はひとりでに開いたり閉じたりしておりその向こうには草原が見えたり深海が見えたりあるいはユウマの故郷のコンビニが見えたりしていた。

そしてその砂時計の前に一人の奇妙な老人が座っていた。

その老人は全身が古地図でできたローブを纏いその顔にはコンパスや定規といった製図道具がいくつもアクセサリーのようにぶら下がっている。

老人は一行に気づくとゆっくりと顔を上げた。その目は存在しないはずの場所を見通すかのようにどこまでも深く澄んでいた。

「―――迷い人かそれとも道を探す者か」

老人の声は古びた羊皮紙が擦れるような音だった。

「わしは『刻むクロノ・マッパー』。このアヴァロンの全ての道と可能性を記録する者じゃ」

彼はユウマの腕の中のチビすけを一瞥した。

「…ほう。面白い『座標』を連れておるわい。おぬしたちが探しておるのは『始まりも終わりもない場所』への道か?」

それは間違いなく『空間の宝玉』を示唆する言葉だった。

ユウマたちの幻獣界での探索はついに核心へと近づこうとしていた。

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