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女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


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第百六十一話 黒き羊皮紙と、魔王の遺言


オークの里での、感動的な(?)親子再会(幻影)の後。

一行は、再び、夢幻都市アヴァロンの中心部へと戻ってきていた。ガガルは、父親の本当の故郷が「世界の狭間」にあるという、新たな謎を抱えつつも、どこか吹っ切れたような表情をしていた。

「さて、と」

一行が、例の綿毛の宿屋に戻ると、リリスが、ソファに深く腰掛け、一行を見回した。

「ガガルの、里帰りは、まあ、置いといて。…これから、どうするの? 『空間の宝玉』は、この街の、どこかにあるらしいけど、手がかりは、ゼロ。…それとも、先に、こっちを、片付ける?」

リリスは、テーブルの上に、二つの、古文書の欠片を、置いた。

一つは、古代魔界語で書かれた、判読不明な地図の一部。

そして、もう一つが、アスモデアから、トーナメントの褒美として、渡された、あの、不気味な、『黒い羊皮紙』だった。

「そういえば、それ、結局、何が書いてあったんですか?」

ユウマが、尋ねる。あの時は、決勝戦のことで、頭がいっぱいで、内容を確認する余裕もなかった。

「…正直、読みたくなかったんだけどね」

リリスは、どこか、憂鬱そうな顔で、その黒い羊皮紙を、手に取った。

「これは、単なる、宝の地図じゃないわ。…もっと、重いものよ」

彼女は、意を決したように、そこに、血のようなインクで、記された、古い、高位魔族の言語を、読み解き始めた。

その、最初の、一文で、部屋の空気が、変わった。

「『…この 魔界 はそろそろ限界に近い』」

リリスの声が、静かに、響く。

「『女神と魔神の戯れに 秩序の制約も存在しない』」

「『このままでは 世界も崩壊しかねない 不安は残るが 魔界の秩序は公爵たちに託すしかない』」

それは、間違いなく、百数十年前に、姿を消した、魔王自身の、言葉だった。

彼の、絶望と、諦観が、そこには、記されていた。

リリスは、息を詰まらせながら、続けた。その声は、わずかに、震えていた。

「『最愛の娘も魔神に殺された』」

「『赦せなかった』」

「…!」

その、衝撃的な告白に、ガガルは、目を見開いた。

「魔王様に…娘が…? そして、魔神に…!?」

彼の、忠誠心は、揺るがない。しかし、その、主君が、これほどの、悲劇を、抱えていたとは、知らなかった。

リリスは、表情を、硬くしたまま、読み進める。

「『我は 力を二分した』」

「『一つは 盟友たる バハムートに』」

「『一つは最愛の娘を蘇らせ その子に』」

「バハムート…!」

アリアが、息を呑んだ。龍神界の王。世界の均衡を守る、伝説の存在。彼が、魔王の、盟友…? そして、蘇らせた娘…?

「…『その子』って…」

アイが、はっとしたように、ユウマの腕の中の、チビすけを、見つめた。

生命の宝玉。蘇生。子供。あまりにも、符号が、合いすぎる。

リリスは、最後の、一文を、読み上げた。その声には、深い、疲労の色が、滲んでいた。

「『宝珠はその時、器に集うと聞く』」

「『器に全てを託すことにする 力も娘も』」

「『全てを救済する力ある器であることを切に願って』」

読み終えた、黒い羊皮紙が、リリスの手から、はらり、と滑り落ちた。

部屋は、重い、沈黙に、包まれた。

それは、『力の宝玉』への、直接的な、手がかりではなかった。

しかし、それ以上に、重い、世界の真実と、魔王の、最後の願いが、そこには、記されていた。

魔界の混沌の原因。七つの世界の、歪み。女神と、魔神の、暗躍。そして、ユウマという、『器』に、託された、あまりにも、巨大すぎる、宿命。

ユウマは、言葉もなく、ただ、腕の中の、チビすけを、見つめていた。

この、小さな、光る宝玉が、魔王の、蘇った娘…?

自分は、ただ、平穏を、求めていただけなのに。いつの間にか、世界の、救済という、とんでもない、役割を、押し付けられていた。

「…どうりで、あの石頭エンマや、改革者ウィルナスが、あんたに、執着するわけだわ」

リリスが、力なく、笑った。

「あんたは、ただの、宝玉の器じゃない。…魔王が、最後に、遺した、世界の、鍵そのものなのよ」

ユウマは、その、あまりにも、重すぎる、真実を、ただ、受け止めるしかなかった。

彼の、物語は、もはや、彼一人の、ものでは、なくなっていた。

七つの世界の、運命そのものを、その、小さな、肩に、背負ってしまったのだから。

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