表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/193

第百五十五話 思考の迷宮と、腹ペコの真実


「何も考えない…何も考えない…無…無…」

ユウマは、まるで修行僧のように、心を無にする念仏を唱えながら、幻獣の森を進んでいた。

その効果はてきめんで、彼の周りだけ、奇妙なほど静かだった。擬態する幻獣たちも、彼の「無」の思考に影響され、ただの毛玉や石ころのような、原始的な姿に戻ってしまっている。

「すげえ…主サマ、マジで、結界張ってるみたいじゃん」

アイが、感心したように呟く。

「これなら、楽勝…」

グゥゥゥゥゥゥゥゥ……。

しかし、その静寂を破ったのは、ユウマ自身の、あまりにも盛大な、腹の虫の音だった。

「(…あ)」

その瞬間、ユウマの脳裏に、強烈なイメージが浮かんだ。

(腹減った…なんか、こう…肉汁たっぷりの、巨大な、ステーキが、食べたい…!)

次の瞬間。

ユウマの目の前にいた、ただの毛玉のような幻獣が、むくり、と巨大化した!

そして、みるみるうちに、その姿を、**巨大な、霜降りの、最高級ステーキ肉(ただし、足が生えている)**へと、変貌させたのだ!

「「「「「はあああああああ!?」」」」」

ユウマを含めた、全員の絶叫が、再び森に響き渡る。

「に、肉…!?」

ガガルの目が、肉食獣のように輝いた。

「しかも、自ら歩いてくるとは! まさに、神の恵み!」

「待て! それ、幻獣だって!」

ユウマが叫ぶが、もう遅い。

ガガルは、涎を垂らしながら、巨大なステーキ幻獣(?)へと、飛びかかっていった。

「おおおお! 喰らってやる!」

「モオオオオオオッ!?(訳:やめてください!)」

ステーキ幻獣は、意外にも俊敏な動きで、ガガルの突進をかわすと、森の奥へと、猛ダッシュで逃げていく。

それを、ガガルが、目を血走らせて追いかける。

「待てー! 極上の肉ー!」

あっという間に、二つの影は、森の奥へと消えていった。

「…行っちゃった…」

アイが、呆然と呟く。

アリアは、「ああ、また、無益な争いが…」と、頭を抱えている。

リリスだけが、腹を抱えて笑っていた。

「アハハハ! 最高! あんたの食欲が、新たなモンスターを生み出すなんて! この世界、面白すぎるわ!」

ユウマは、顔面蒼白だった。

(俺の、ステーキへの渇望が…あんな、悪夢のようなキメラを…)

自分の、あまりにも俗っぽい思考が、またしても、とんでもない事態を引き起こしてしまった。

「…とにかく、ガガルさんを、追いかけないと!」

ユウマは、慌てて走り出そうとした。

しかし、その時。

彼らの進むべき道を示すはずの、チビすけの宝玉が、これまでとは違う、奇妙な光り方をしていることに、リリスが気づいた。

虹色の光が、まるで、迷っているかのように、明滅し、揺らいでいる。

「…変ね」

リリスは、眉をひそめた。

「宝玉の光が、定まらないわ。…まるで、この先の『空間』そのものが、不安定になっているみたい…」

その言葉通り、一行の目の前の空間が、まるで陽炎のように、歪み始めた。

森の景色が、ぐにゃりと捻じ曲がり、別の、見慣れない風景と、混ざり合っていく。

巨大なキノコと、近代的なビルが、同時に存在し、空飛ぶクラゲと、自動車が、同じ空を飛んでいる。

「な、なんだこれ…!?」

ユウマは、混乱した。

「…『夢』と『現実』が、混ざり合ってるのよ」

リリスは、冷静に分析した。

「この森の、奥深く…。幻獣界の、中心に、近づいている証拠ね。…そして、恐らく、**『空間の宝玉』**も、この近くにある。その力が、周囲の空間を、不安定にさせているんだわ」

宝玉の手がかり。

しかし、それは同時に、最大の危険地帯へと、足を踏み入れたことを、意味していた。

ガガルを追いかけるべきか、宝玉を探すべきか。

そして、この、不安定な、夢と現実の狭間で、彼らは、無事に、進むことができるのか。

ユウマの、幻獣界での、本当の試練が、今、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ