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女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


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第百五十二話 神王降臨、剣士の断道、そして幻獣界へ


「……勝者! 『沈黙の賢者』、ユーーーマァァァッ!!」

審判の震える声が響く中、闘技場は静まり返っていた。

虚無に膝をつく堕天使セラフィエル。そして、彼女に手を差し伸べようか迷い、立ち尽くすユウマ。

「…ふん。詰まらぬ結末だ」

最初に動いたのは、セラフィエルの後援者である七大公アスモデウスだった。彼は自らの駒が使い物にならなくなったことを悟ると、冷ややかに言い放ち、席を立とうとした。

その、瞬間だった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

闘技場全体が、いや、魔都そのものが激しく揺れた!

空が真昼であるにも関わらず夜のように暗転し、その中心がまるで巨大な眼のように裂けていく。そして、その裂け目から絶対的な『秩序』の気配が奔流となって降り注いできたのだ!

裂け目からゆっくりと黄金の戦艦のようなものが降下し、その甲板に神々しい威光を放つ神王が立っていた。

神王の感情のない視線が闘技場の一点――色欲公アスモデウスへと注がれた。

『―――契約違反だ、アスモデウス』

その声は世界の理そのものを震わせる絶対的な宣告だった。

『我が領域のセラフィエルを許可なく駒として利用し、あまつさえその魂を歪めた。神界の秩序を乱した罪、万死に値する』

「…!」

アスモデウスの余裕の表情が初めて引きつった。彼はセラフィエルを堕とし利用する際に、神界の一部勢力と密約を交わしていたのだろう。そしてそれを、ユウマによって破綻させられたのだ。

『…神罰を執行する』

神王が静かに手を上げる。黄金の戦艦から無数の光の槍を持った天使の軍団が、アスモデウスとその配下に向かって降下を開始した!

「ふ、ふざけるな!」

アスモデウスは自らの権能を解放し対抗しようとする。彼の周りにも色欲を司る禍々しい魔物たちが集結する。

「ここは魔界だ! 神界の貴様らが好き勝手にしていい場所ではないぞ!」

魔界の有力者と神界の絶対者。その二つの勢力が魔都の中心で激突しようとしていた。

ユウマはただ呆然と見上げていた。

(なんで俺が勝っただけで神様まで出てくるんだよ…!)

ブブブブブブッ!

彼の胸元で『冥王の宝珠』が激しく振動する。

『―――警告! 警告! 世界間紛争調停条約第七項に違反! 神界による魔界への一方的な武力介入は断じて認められん! 直ちに戦闘行為を停止せよ!』

冥王エンマのヒステリックな抗議の声だけが虚しく響いていた。

光の槍と闇の触手が衝突し、闘技場は完全に戦場と化した。

ユウマたち一行はその神話級の戦いのど真ん中に取り残されていた。

「ユウマ様、こちらへ!」

ガガルがユウマを庇うように立ちはだかる。しかし飛び交う光と闇の余波だけで大地が裂け空間が歪む。もはや安全な場所などどこにもない。

「(…やばい、死ぬ…!)」

ユウマの脳裏に死の予感がよぎったその時。

「―――若者よ! ここは危険だ!」

鋭い声と共に、一人の男がユウマたちの前に立ちはだかった。藍色の道着を纏い、古びた日本刀を腰に差した剣士。宮本健太郎だった。彼はユウマたちの戦いを観客席から見守っていたのだ。

天使の軍勢の一部が、混乱の中心にいるユウマたちへと狙いを定め、光の槍を構える!

「行け!」

健太郎は刀を抜き放ち、ユウマたちを背に庇うように天使たちの前に立ちはだかった。その目は静かだが揺るぎない覚悟を宿している。

「ここは私が食い止める! 君にはまだ為すべきことがあるはずだ!」

健太郎の刀が閃く!彼の剣は天使たちの光の槍を斬るのではなく、その力の『理』そのものを断ち切り、無力化していく!

「健太郎さん!」

ユウマが叫ぶ。

「―――やれやれ。騒々しいったらありゃしないねえ」

健太郎が時間稼ぎをしているその隙に、どこからともなく飄々とした声がした。

気づくと一行の目の前に一匹の巨大な銀色の狼が音もなく立っていた。その瞳は星空のように深く澄み切っている。『幻獣界』の王、自由思想家の幻獣王フェンリルだった。彼もまた、こっそりとこの騒動を観戦しに来ていたらしい。

「ちょうどいい。面白い『夢』の種を、見つけたところだ。…少し、俺の世界で預からせてもらうよ」

フェンリルはそう言うと、巨大な銀色の尾を一振りした。

その瞬間、ユウマたちの足元の空間がまるで水面のように揺らぎ、彼らの身体は抗いがたい力でその波紋の中へと吸い込まれていった。

「うわあああああっ!」

ユウマの最後の記憶は、神と悪魔の壮絶な戦いをBGMに、健太郎が天使たちと対峙する背中、そして狼の尻尾によって異次元へと引きずり込まれていく、あまりにもシュールな光景だった。

彼の受難の旅はもはや七つの世界全てを巻き込み、予測不能な混沌の極みへと達しようとしていた。

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