第百三十一話 剣士との対話と理の探求
静寂が戻った書庫床には三人の強者が倒れ伏している
その中心に立つ宮本健太郎彼はゆっくりと刀を鞘に納めた
そして蹲っていたユウマへと視線を向けたその目には警戒とわずかな疑問の色が浮かんでいた
「…大丈夫か若者」
健太郎の声は低く落ち着いていた
「彼らはもう動けぬ安心するといい」
ユウマはおそるおそる顔を上げた目の前には見慣れた日本人の中年男性
しかしその佇まいは尋常ではなかった
「あ…あの…ありがとうございます…でも…」
ユウマは倒れている仲間たちを指さした
「彼らは俺の仲間なんです敵じゃないんです!」
「仲間…?」
健太郎の眉がわずかに動いた彼は倒れているガガルたちを一瞥する
(魔物と天使とエルフ…これが仲間…? 一体どういう状況だここは…)
健太郎は冷静に状況を分析しようと努めた
「説明してもらおうか若者」
健太郎はユウマの隣に静かに腰を下ろした
「なぜ君はあのような絶望した顔をしていたのだここはどこで彼らは何者なのだ」
ユウマは戸惑いながらも正直に話し始めた
自分が異世界から来たこと
訳の分からない力で勘違いされ続けていること
仲間たちがみんな規格外の存在であること
魔王継承戦に出場させられそうになっていること
そしてその重圧に耐えきれず絶望していたこと
健太郎は黙ってユウマの話に耳を傾けていた
彼の表情は変わらないしかしその瞳の奥ではユウマという存在の「理」を探ろうとしているようだった
話し終えたユウマは俯いた
「…俺には無理なんですこんな力使いこなせないしみんなを守ることなんて…」
「…そうか」
健太郎は静かに頷いた
「君の言う『力』とやらは確かに常軌を逸しているようだなまるで世界の理そのものを捻じ曲げているかのようだ」
彼は自分の刀にそっと触れた
「だが力とはただ振るえば良いものではないそこには必ず『理』がある流れがあり型がある」
健太郎はユウマを真っ直ぐに見据えた
「君の力にも必ず『理』があるはずだ君がそれを理解し制御できぬのはその『理』を見ようとしていないからではないか」
彼の言葉は厳しくも的確だった
「修行が必要だな」
健太郎は静かに言った
「力任せの鍛錬でもなければ精神論でもない君自身の力の『理』を見極めるための修行が」
彼は立ち上がった
「もし君にその覚悟があるのなら私が少しばかり手伝おう私が知る『道』がおそらく君の助けになる」
それはこれまでのカオスな修行提案とは全く違う本質を見据えた言葉だった
ユウマは顔を上げた彼の目に迷いの色が消えていた
「…お願いします!」
こうしてユウマの新たなそして本当の意味での修行が始まった
相手は異世界を三度渡り歩いた歴戦の剣術家
彼の「理」を見抜く目がユウマという最大の「バグ」にどう挑むのか
物語は新たな局面を迎える




