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女神と魔神のギフトより勘違い特性が最強のスキルだった件~神魔覆滅させるもの~  作者: まん丸


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第百二十三話 奈落の天楼と、沈黙のVIP


「魔都、随一の、大カジノ、『奈落の天楼アビス・カジノ』。…そこが、私たちの、本当の、スタート地点よ」

リリスの、その一言で、一行の、次なる目的地は、決定した。

ユウマは、もはや、反論する気力も、権利もなく、ただ、黙って、その、カオスな流れに、身を任せることを、決めていた。

一行が、駅を出ると、そこは、まさに、混沌の、坩堝だった。

天を突く、黒い摩天楼。その、壁面を、ネオンのように、駆け巡る、禍々しい、呪詛の文字。空には、魔力を動力源とする、奇怪な飛行物体が、飛び交っている。

しかし、その、SFのような、光景の、すぐ下では、薄汚れた、ローブを纏った、物乞いや、いかがわしい、薬物を売りさばく、密売人たちが、うごめいていた。

富と、貧困。栄光と、退廃。その、全てが、混じり合った、巨大な、欲望の街。

それが、『魔都』だった。

やがて、一行は、その中でも、ひときわ、高く、そして、妖しい、光を放つ、巨大な、黒い塔の、麓へと、たどり着いた。

『奈落の天楼アビス・カジノ』。

その、入り口には、まるで、仁王像のように、屈強な、ミノタウロスと、サイクロプスの、用心棒が、二人、立ちはだかっていた。

「おい、待ちな」

ミノタウロスの、用心棒が、一行の前に、巨大な斧を、突き出し、その道を、塞いだ。

彼の、巨大な、一つの目は、一行を、値踏みするように、じろり、と見下ろす。その視線は、ガガルや、リリスには、一瞬、警戒の色を浮かべたが、やがて、その中心にいる、最も、みすぼらしい、格好をした、ユウマの上で、止まった。

「…なんだ、てめえは。ここは、ガキの、遊び場じゃねえぞ。…それに、その、薄汚え、人間の匂い…。反吐が、出る」

用心棒は、あからさまな、侮蔑の表情を、浮かべた。

「(…ですよねー)」

ユウマは、内心、同意した。こんな、恐ろしい場所に、自分のような、一般人が、来るべきではないのだ。

「フン! 無礼者め!」

ガガルが、キレかかり、戦斧に、手をかけた。

しかし、その、一触即発の、空気を、制したのは、ユウマの、あまりにも、意外な、一言だった。

彼は、前世の、居酒屋の、予約の癖で、ほとんど、反射的に、用心棒に、こう、尋ねてしまったのだ。

「あ、あの…すみません。予約、してないんですけど…大丈夫ですかね…?」

シーン。

その場が、凍りついた。

用心棒の、ミノタウロスと、サイクロプスは、顔を、見合わせる。

彼らの、屈強な、しかし、あまり、賢くない、脳みそは、その、あまりにも、場違いな、問いの意味を、理解しようと、必死に、回転していた。

(よ、予約…だと…?)

(我が、アビス・カジノに、そのような、生ぬるい、システムは、存在しない…)

(つまり、この、小僧は、我々の、知らない、さらに、上位の、ルールで、動いている、ということか…?)

(いや、それよりも…この、圧倒的な、威圧感を放つ、獣人、天使、エルフ、そして、あの、リリス様らしき、女を、従えて、いながら…)

(この男自身からは、何の、魔力も、覇気も、感じられん…!)

用心棒たちの、脳内に、一つの、結論が、弾き出された。

(…こいつ…! 我々の、レベルでは、感知すら、できぬほどの、規格外の、『何か』だ!)

(そして、『予約』とは、『これから、お前たちの、全てを、支配する』という、宣戦布告の、隠語に、違いない!)

二人の、用心棒の、顔から、血の気が、引いていく。

彼らの、膝が、ガクガクと、震え始めた。

「も、も、も、申し訳、ございませんっ!!」

二人の、巨体は、その場に、崩れるように、土下座した。

「よ、予約などなくとも、もちろんで、ございます! ど、どうぞ、こちらへ! 我らが、最高の、VIPルームへ、ご案内、いたしますので!」

「…え?」

ユウマが、呆然とする。

「(…またか…)」

リリスだけが、やれやれ、と首を振っていた。

こうして、ユウマは、またしても、彼の、純粋な、庶民感覚が、引き起こした、壮大な、勘違いによって。

魔都で、最も、危険な、場所の、門を、最高の、VIP待遇で、くぐることになってしまった。

カジノの、内部は、まさに、欲望の、渦だった。

金貨の、山。美女たちの、嬌声。そして、魂を、賭けた、勝負に、敗れた者たちの、絶望の、悲鳴。

その、あまりにも、刺激的な、光景に、ユウマは、完全に、圧倒されていた。

一行が、用心棒に、導かれ、カジノの、中心部を、歩いていると。

ひときわ、高い、観覧席から、一人の、男が、彼らのことを、じっと、見下ろしていた。

その男は、蛇のように、冷たい、瞳をしていた。

七大公が一人、『嫉妬公アスモデア』。ザラキエルの、同盟者にして、この、カジノの、実質的な、オーナーだった。

「…ほう」

アスモデアは、面白そうに、その、薄い唇を、歪めた。

「…噂の、『器』か。…自ら、我が、庭に、やってくるとはな」

彼は、部下に、静かに、命じた。

「歓迎の、準備をしろ。…最高の、ゲームで、もてなしてやろうではないか」

ユウマは、まだ、気づいていなかった。

自分が、ただ、流されるままに、足を踏み入れた、この場所が。

二人の王の、ゲーム盤とは、また、別の、さらに、陰湿で、悪趣味な、第三の、ゲームの、舞台になろうとしていることを。

彼の、受難は、まだまだ、終わらない。

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