052 爆弾発言
前回と同様私不在で行われた夜会は、何事もなく終了したらしい。
ダミアンは一度目の時と同じ。
マリアンヌを連れて夜会へと参加した。
今さら説明など受けなくとも、あの人が周囲に何と言っていたのかなんて分かり切っている。
そのことについて言及するつもりもなければ、気にもしなかったというのに。
その夜会から一週間後。
何をどうしたら、こんな風になるのか。
思わずそう言いたくなるような状況だった。
「いや、本当にこれは一体どうなってるの?」
ここはブレイズの屋敷の客間。
元からマリアンヌの体調が悪ければ、お茶会でも開いてもらって場所を貸してもらおうなんて考えていたのだけど。
なぜか私が呼び出された側であり、呼び出したのはマリアンヌとブレイズだった。
私とマリアンヌは隣同士でソファーに腰掛け、その対面にはブレイズが座る。
テーブルにはこの前と同じように、私が好きだと言ったお菓子や紅茶がたくさん並ぶ。
だけどその組み合わせもさることながら、呼び出そうと思っていた私が呼ばれるって、どういうことなのよ。
「どうもこうもないだろう」
始めに口を開いたのは、ブレイズだった。
その顔はかなり不満げで、かなり言いたいことがありそうだ。
「確かに君が政略的な結婚をしたとは聞いたが、まさか愛人までいるだなんて」
「ちょっと待って下さい。元々、ブレイズ様って夜会などには参加なさらないって言ってたじゃないですか」
マリアンヌからは確かにそう聞いていた。
だからダミアンたちと顔を合わせることはないだろうって思っていたのに。
「ああ、普段はな。ただ今回はどうしても気になってな」
「何がですか?」
「君の旦那がどんな男なのか。あとはそう、怪我の具合が」
えー。ダミアンの顔が見たかったからって、今まで参加してこなかった夜会にわざわざ参加する?
そんなに気になるものかしらね。人様の旦那なんて。
この人って結構、珍しいもの好きなのかしら。
人は見た目によらないのね。
騎士団長とかやってるし、もっと硬派なのかと思ってたわ。
「け、怪我はどうなんだ?」
「ブレイズ様が呼んでくださったお医者様のおかげで、熱もすぐに下がりましたし問題ありません。直接お礼は言いたいと思っていたんです。ありがとうございました」
「いや、完治したのならいい。よかった」
「……二人は付き合ってるの?」
先ほどから私とブレイズのやり取りを興味深そうに交互に眺めていたマリアンヌが、ぽつりと呟く様に言った。
あまりの発言に私もブレイズも驚いたように顔を赤くする。
「「どうしてそうなる」」
語尾こそ違ったものの、その言葉は見事に重なった。
それが余計に恥ずかしくて、顔が熱くなる。
どこをそうしたら、そんな流れになるのよ。
全然わかんないんだけど。
だいたい、マリアンヌじゃないんだから恋とかそういうのは生まれてから一度も多分したことないんだからね。
そこまで考えてふと、少し自分でも悲しく思えたのは秘密だ。




