038 来客
彼が考え込むように沈黙している間、やることがない私はただパクパクと並べられたたくさんのお菓子たちを食べていった。
どれを食べても、初めて食べる味にうれしくなってくる。
今日、ご飯何も食べてこなくてよかったー。
どれだけでも食べれちゃう。
もしかしたらこんなに食べる方がダメなのかもしれないけど。
誰も止めないからいいよね。
残したらもったいないし。
でももしかしたら、残したら使用人たちが食べれるのかな。
それなら食べきったらみんな困るかしら。
ふとそのことに気付き、周りを見渡す。
遠巻きに配膳や給仕などをしてくれた侍女がいたが、なぜか微笑ましい顔でこちらを見ていた。
どうしようかな。
んんん。なんか固まっちゃってるし。
「あのぅ……」
「ああ、すみません。少し考え事をしてしまっていて」
「いえ。何か私が変なことを言ってしまったようで逆にすみません」
食べるのをやめようと思うのに、どうしても美味しくて美味しくてつい手が止まらなくなる。
「ご歓談中申し訳ございません」
何かを言いかけたブレイズの元へ、執事がやってきた。
私に頭を下げつつも、そのまま彼に何かを耳うちする。
「……まったく……」
先ほどまでよりもきつくブレイズの眉間にシワが寄る。
何かあった感じね。
今日の本来の目的は達成してないけど、仕方ないか。
「何かございましたか? お忙しいようでしたら、私はまた……」
「いや、いい。ただすまない。部下が一人報告に来たようで。少しいいだろうか?」
「席外しましょうか?」
お菓子は名残惜しいけど。
でも、うん。絶対に帰ったら二人から意地汚いとか言われそうだし。
「このままここにいてくれ。すぐに追い返すから」
「それはそれでいいんですか?」
「ああ。どうせくだらない報告だ」
そう言っている傍から、騎士団の服を着た男性が大股でズンズンとこちらに歩いてくる。
近くにいたスラリとした茶色い短髪のやや若い騎士は、この前見た人だと思う。
「くだらなくなんてありませんから。そんなこと言わないでくださいよ、団長」
「人の休日にこんなとこまで押し掛けてくるからだ」
「そうは言いましても……」
わざわざ報告しなきゃいけないような事態って、結構なことだと思うのよね。
さすがに私、やっぱり邪魔じゃないかしら。
「誰かと思えば、ダントレットの」
私を見た若い騎士は、ややうんざりしたような視線をこちらに投げかけていた。
うん。なんか、安定に感じ悪いからいいや。
気にしないで食べておこう。
「やめないかニカ! 彼女は俺がここに前回のお礼もかねて招待したんだ」
「……すみません。前回も助けていただきアリガトウゴザイマス」
ブレイズに怒鳴られ、渋々といった感じでニカと呼ばれた若い騎士は私に頭を下げた。
「報告はなんだ?」
「それが……」
ニカは横目で私をチラリと見る。
一般人が聞いていい話ではないという感じね。
しかしまた席を立とうとする私を引き留めるように、ブレイズに手を掴まれた。
その行動に驚いたのは私だけではなかったはず。
その場にいた全員が、目を丸くさせていた。




