表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/21

①初めて、子供だけでお留守番


♢  ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 ここは、カワセさんの子供部屋。


 時間は、午後が始まった頃。


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 姉のミカちゃん8歳と、弟のショウタ君5歳が、初めて子どもだけで、お留守番るすばんをすることになった。


 どうしてかっていうと……。


 昨日、おばあちゃんが病気で入院してしまったの。

 ママもいっしょに付きそって。


 そして今日、ミカちゃんとショウタ君も、パパといっしょに、おばあちゃんのお見舞みまいにいくことになっていた。


 でも、パパに、急な仕事の電話が入ったから、たいへん。

 パパは仕事をことわろうとしたけど、ミカちゃんが行かせたの。


 だから、ミカちゃんとショウタ君だけで、お留守番るすばんをすることになったってわけ。



 ショウタ君はいつものように、子供部屋で遊んでいる。

 オモチャ箱をひっくり返して。


 ショウタ君、 またミカちゃんからしかられても知らないから。


 ほら、ミカちゃんが、重そうな掃除機そうじきを引っぱって入ってきたわよ。


 らかった子供部屋を見たミカちゃんは、腰に手を当てて、あきれたようにため息をついた。


 女の子って、フシギね。

 いつの間に、こんなにママにちゃったのかしら。


「ショウタ、掃除そうじするんだから、片づけてよ」


 でも、弟のショウタ君には、ママのマネも通用しないみたい。

 いくらていても、やっぱりママはママで、ミカちゃんはお姉さんなのね。


「パパは掃除そうじしろ、なんて言わなかったよ」


 だって。


 ま、しかたないわねぇ。

 なんたって、相手はショウタ君なんだもん。


 でも、そこはやっぱりお姉さんのミカちゃん、しっかりしている。


「パパをよろこばせたいの。ほら、早く」


 しっかり者の姉とわがままな弟、て感じ。


 なんか、いいものね。

 うらやましぃ。


 なのに、ショウタ君はまだ、おもちゃで遊んでいる。


「ショウタ!」


 怒ったミカちゃんは、ショウタ君の手から、オモチャを取りあげた。


 ショウタ君は、


「お姉ちゃんなんか嫌いだよ。パパのところに行くぅぅぅ!」


 と、ダダをこねはじめた。


 ま、気持ちはわかるけどね。


「パパはお仕事なの。ガマンしなさい」


 やっぱり、ミカちゃんの方が正しいのよね。


 でも、5歳のショウタ君には、そんなこと、まだ考えられないみたい。


「じゃぁ、ママのところに行くぅぅぅ!」


 だって。

 本当に笑っちゃう。


 でも、お姉さんのミカちゃんとしては、笑いごとじゃないのよね。


「ママはおばあちゃんの看病かんびょうをしているんでしょ 」


「だから病院に行くぅぅぅ」


「ショウタが行ったら、ママおばあちゃんの看病かんびょうできないじゃない」


「ヤダ、行く。だって、ママとおばあちゃんに会いたいんだもん。お姉ちゃんがパパに、仕事に行けって言ったから、病院に行けなくなったんだからね。お姉ちゃんのせいだからね」


「そんなことしたら、おばあちゃんが心配するでしょ」


「お姉ちゃんはおばあちゃんが嫌いだから、そんなこと言うんだ。おばあちゃんに言いつけてやるぅぅぅ」


 ミカちゃんは、大きく息を吸い込んだ。

 そして 、ついに、


「ショウタのバカー!」


 と怒鳴どなった。


 ミカちゃん、お姉さんもタイヘンね。

 同情どうじょうするわ。


 子供だけでのお留守番るすばんは始まったばかりなのに、これじゃ、先が思いやられる。


 そのときだった。


 あ……あれは、なに……?


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 窓の外に、なんか白くて丸いものが、フワフワ浮いているのが見えた。


 え~ぇ……そんなぁ……ヤダ、ウソ~。


 こんなことって、あるのぉぉぉ?


 わたしの目、どうかしちゃった? 

 だって……雲。


 そう、さっきまで空に浮かんでいた、あのいたずらっ子の子雲こぐも⛅よ。


 今は、目の前にいるのよ。

 歩道の上、2mぐらいの宙に浮いている。

 というより、散歩さんぽしている感じかな!?

 あっちを見たり、こっちを見たりしているから。


 でも、どうして空にいた子雲こぐもが、ここにいるの?


(あ、そうか。)


 さっき、母雲ははぐも☁がカミナリ⚡を落としたから、地上に逃げてきたのね。


 でも、雲って、こんな低いところまで下りてこられるものなの? 


 それに、小さくなったみたい。

 まるで、人間の赤ちゃんぐらいの大きさしかない。


 だって、空にいたときはもっと大きかったはずよ。


 地上まで下りてきたから、重力じゅうりょくちぢんじゃったとか? 


 くわしいことはわからないけど、そういうことにしておこう。


 だって、今日はいいことが起きそうな予感がするんだもん。


 ワクワクしてきちゃった!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ