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ネット小説に幼馴染がよく出る理由を幼馴染の女子と飲みながら話してみた

作者: 久野真一
掲載日:2022/08/16

今までの作品の中でもちょいトリッキーめですがお楽しみくださいませ。

 土曜の、太陽がもうすぐ西に沈もうかという頃合い。


「なんでネット小説のラブコメは幼馴染ヒロイン多いんやろ」


 人気小説投稿サイト「小説家になろうよ」のランキングを見ながらぼやく僕。


「上位作品見ると大体どっかしら幼馴染おること多いんよね」


 現代での恋愛を扱った場合、本当に多い。

 今日のランキングを見ても上位20作品中5作品に幼馴染が出ている。

 多いときだと半分くらいは幼馴染がヒロインないしざまぁされる。


 そんな僕は「小説家になろうよ」でラブコメ作品を書く一人の作家だ。

 何度か日間ランキングには入ったことはある程度の、

 趣味で細々とやってる素人小説家。


「思い浮かぶ仮説はあるんやけど……相談相手が欲しいな」


 脳裏に浮かぶのはエリちゃんこと畑中恵理子(はたなかえりこ)

 同じ大学に通っていて、いわゆる幼馴染の関係というやつだ。

 

(よし、聞いてみよう)


 LINEから「通話」をタップして彼女を呼び出す。


「もしもし、エリちゃん。今大丈夫?」

「大丈夫やけど、どうしたん?」

「相談に付き合ってほしいんやけど」

「ウチで力になれるかわからんけど……」


 時間が空いてれば可能な限り相手の力になってあげたいと思えるのは、

 エリちゃんの美点だ。だから、ちょっと今回の相談は申し訳ない。


「最近ネット小説書いてるって言ったやろ」

「言っとったね。なんか恋愛ものやった?」

「そうそう。それでさ。ランキング見てると幼馴染ものが多いんだけど理由知りたいんやけど」

「うん?理由やったら調べるなり考えたりすればええやないの?」


 何言っとるん?とばかりの声色。確かにそうだ。


「なんていうか……幼馴染的意見が欲しいなと」


 言ってて僕はアホじゃないだろうかと思えてくる。


「はぁ。孝宏(たかひろ)。言ってええか?」

「どうぞ」


 ああ。これ、叱られるときのやつだ。


「アホちゃうんか?アホちゃうんか?アホちゃうんか?」


 前にもアホな相談をした時に言われたな。

 この三回繰り返すのはエリちゃんの趣味だろうか。


「何も三回言わなくてもええやろ」

「言うてもアホやろ。大体、孝宏に困ったことあったんかと真剣やったんよ?」

「う。それはとっても申し訳ない」


 彼女の言うことはまったくもって正論だ。


「ほんとしゃあないんやから」

「いいの?」

「孝宏の考えることはよーわからんけど、真剣なんやろ?」

「思いつきやけど」

「ならええ。で、ウチは何すればええの?」


 何をか。実はよく考えてなかったけど。


「エリちゃん、「小説家になろうよ」って知っとったっけ?」

「聞いたことくらいはあるよ。アニメ化とかされとる奴あるよね」

「そうそう。なら話は早い。ランキング上位20位くらいまで、ざっと読んでみて」

「ええけど。それがどうなるん?」

「いや……需要というか、なんで幼馴染ものが流行るのかわかるかもしれへんやろ」

「言いたいことがよーわからんけど、とにかく読めばええんやね?」

「申し訳ないけど、頼んます。来週くらいに結果聞かせてくれれば」

「来週の土曜日、孝宏は空いとる?」

「まあ空いとるけど。こっち来るん?」

「お礼に美味しいポン酒とつまみを用意しとくこと。それで手を打ったる」

「了解。それくらいでいいなら」


 なんとか頼むことには成功。

 しかし、昔から彼女には本当に頭が上がらない。

 同い歳なのに姉貴分というか。

 本当に「姉みたいなもんよ」と冗談半分で友達に言ってたこともある。


◇◇◇◇一週間後◇◇◇◇


 ピーンポーン。


「はいはい。今出ますよっと」

 

 妙な頼み事をしたのだ。

 きっとさぞかし不機嫌そうな表情だろう。

 そう思って出てみれば-


「こんばんは、孝宏。一週間ぶりやね」


 機嫌が良さそうで微笑みすら浮かべた彼女の姿があった。

 服装はタンクトップベースのスポーティな感じ。

 短めに切りそろえた髪も含めて、ちょっとボーイッシュ。

 笑顔もチャームポイントだ。

 

「どうぞどうぞ。なんか機嫌良さそうやけど」

「おいしいポン酒用意してくれてるんやろ?」

「まあ、一応ね」


 こいつポン酒に目がないからなあ。

 道理で機嫌がいいわけだ。


「というわけで、これが用意したお酒と……あと、おつまみ+α」


 ダイニングの上に、ちょっと高級な5000円くらいする日本酒。

 日本酒に合うだろうと買ってきたスーパーの刺し身パック。

 あとは、チー鱈と鮭とばもだ。


「ああ、それと。こっちお土産」


 茶色の手提げ袋を彼女にずいっと差し出す。


「ちょ。別にそこまでせんでも良かったのに」


 なんだかもにょもにょした様子の彼女だ。


「変なお願いしたから。そんくらい受け取ってや」

「出してええ?」

「うん」


 できれば家で開けて欲しいんだけどね。

 色々恥ずかしいから。


「あ。これ。まるしゃのスパイスカレーやん!」

「インスタにカレーばっかり上げてるやろ。ちょうどええやろと」

「そういうとこ、孝宏はやり過ぎなんやけどありがたく受け取っとくな」


 なんだか照れた様子だけど、彼女的には悪くなかったらしい。よし。


「ん?メッセージカード?」

「あ……」


 この場で読まれると恥ずかしい奴が見つかってしまった。

 もうちょっとわかりにくいところに入れとけば良かった。


【いつもくっだらんお願い聞いてくれてありがとな。

 それと一足早いけど誕生日おめ。

 これからも仲良くしてくれると助かる by 孝宏】


 あまり小っ恥ずかしくならない程度にしてみたのだけど。

 果てさて、どうだろうか。


「なんか……めっちゃ照れるんやけど。どうしたん?」

「たまには日頃の感謝を込めてっていうかやね」


 僕としても彼女には恩義が結構あるわけで。


「ありがとさん。大事にしとくわ」


 あれ?なんか微妙に涙ぐんでるような。

 そういえば、彼女は時々涙もろいことがあったっけ。

 効きすぎて妙な雰囲気になってしまった。


◇◇◇◇


「孝宏の言う通り毎日ランキング作品チェックしてみたんやけど」

「え。毎日?」


 これはびっくりだ。


「1日だけやとよーわからんやろ」


 ゴクリとグラスに注いだ日本酒を含んで、一言。


「うまー。水みたいに飲めるわあ」

「でしょ?ほらほら」


 調子に乗って追加でビンからポン酒をトクトクと注ぐ。


「なんやもう。やけに歓迎して」


 ほろ酔い加減のエリちゃんは何故だか上機嫌だ。


「一足早い誕生日パーティってことでまあ」

「そーいうんやったら、別にやってほしかったんやけど?」

「ごめんごめん。小説の件も半分くらいは口実やったんよ」


 半分は本気で、半分はサプライズをしたかった。


「そういうところ、ほんとええ子なんやから」

「ええ子とか微妙に不満な物言いなんやけど」

「言うても孝宏昔っから危なっかしかったし」

「……」


 ぐうの音も出ない。


「で、本題やけど読んでみてどう思った?」

「その前にウチらって幼馴染なん?」

「うぐ。いや、世間的な定義やとそうなんちゃう?」

「言うても、小説と違ってウチら高校ちゃうかったやん」

「まあ。そ、そやね」

「その頃やと年二回くらいしか会うてなかった気がするんやけど」


 うぐぐ。


「再会したんも大学二年になってから偶然やし」

「……」

「幼馴染の定義ってよーわからんよね」

「ま、まあ。別にええんやない?」

「って孝宏はブランク気にしとるんよね。ごめんな」

「謝られてもそれは困るわけで」

「ウチは居心地ええかでしか考えへんから。親友とか幼馴染とかわからんのよね」

「君はそういうとこ妙にピュアだよね」

「ピュアって……否定でけへんけど」


 以前にバイオハザードじみた廃墟風景写真を送ったときもそうだった。


【この風景バイオぽくて面白いやろ】

【午後のアフタヌーンティー、ええよね】


 返しを見たときは言葉を失ったものだった。

 確かにアフタヌーンティーができそうな庭はあったけど。

 あの明らかに廃墟めいた写真を見てその返しが出来るのがびっくりだ。


「脱線し過ぎやった。小説の幼馴染の話!」


 二人で話すと大抵どうでもいいところに話が脱線するのが困りもの。


「まあ、同小からが幼馴染という定義やとして」

「エリちゃん、文系学部なのに妙に理系ぽい物言いするよね」

「うん?まあ、理系の話も好きやけど?」


 駄目だ。通じてない。

 下手したら僕よりも理屈っぽいよね、の意味だったんだけど。

 彼女はまあ昔からこういう風にぼーっとしてるところがある。


「エリちゃんはやっぱ天然やね」

「ウチは天然ちゃうもん」

「また脱線してる。小説の話!」


 何度目かの正直だ。


「結論先に言ってええ?」

「どうぞ」

「読者さんが幼馴染に妙な幻想あるんとちゃう?」


 まさに彼女の結論は僕が思っていたものだった。


「たとえば、昨日のランキング10位の作品やけど」


 とスクショを見せてくる。

 こいつ、昔から妙に勤勉というか細かいんだよな。


「ああ。【クラス一美少女の幼馴染が僕をからかってくるので、やり返してみたらデレデレな件】か。見た気がするな」


 ネット小説家の一人として僕も時折ランキングをチェックするから知っていた。

 

「もしやけど。このお話みたいに女子が相手の男のところ入り浸ってたら、親御さん心配すると思うんよ。ウチも一人暮らしするまでは、男子が混じって外泊するなんて言ったら心配されたもんよ」

「そういうもんかー」

「それにいくらなんでも常識なさ過ぎやん」

「どっちが?」

「女子の方が。からかうにしてもここまでふざけたことしたら普通マジ切れするよ」

「確かに。「ほらほら。どうせ童貞なんでしょ?触る勇気もないくせに」とか、言われたら僕もふざけるなとか思いそうだ」


 常識人的には確かにそういうものかもしれない。


「この子、仲良いを通り越して男の子のこと馬鹿にしとるんよね。そこが好かんわ」

「ず、ずいぶん厳しいお言葉で」


 しかし、ネット小説を読み慣れていなければまあそういう感想になるものかも。

 

「やから、距離感おかしい気がするんよね。男性からすると別なんかもやけど」

「きょ、きょりかん。ま、まあそうかもしれへんね」


 僕はといえば引きつった笑みを浮かべていた。

 忘れていた。彼女は大変に真面目な性格であることを。

 作品傾向を分析するよりそっちに目が向くタイプなんだと。


「あとは……なんやったっけ。ざまぁ?あれもよーわからんのよね」


 次に出して来たのは同日ランキング9位の作品。


【大学デビューした幼馴染が浮気したのでわからせてやった】


「嫌な奴が痛い目にあってスカッとするというとわかりやすくない?」

「そこはわかるんやけど……幼馴染の女子に振られたくらいでやり過ぎやよ」

「振る方もたいがいひどい言葉使ってるけどね」

「心に闇抱えるよりは次の恋探した方がいいと思うんよ」


 正論過ぎる。正論過ぎるけど、分析になってない。


「こういうのはなんか微笑ましい思うんやけどね」


 次に出してきたのは、ランキング50位。


【花火大会で幼馴染に告白した】


 シンプルなタイトルだけど、いまいち伸び悩んでた印象がある。


「実際、高校時代、花火大会でカップルになった子おったし」

「この辺は一応そこそこ現実的かもね」

「でも、ランキング50位なんよね。不思議やわあ」

「たぶん、タイトルがシンプル過ぎたんやろね」

「シンプルやとなんかあかんの?」


 首を傾げる彼女。


「色々理由はあるんやけど、長めのタイトルにせんと受けにくいんよ」

「それで長ったらしいタイトル多かったんやね。納得や」


 しかし、花火大会か。


「高校の時に一度一緒に行ったことあったよね」


 確か、せっかく夏休みだしと口実をつけて誘ったんだっけ。


「ちょい懐かしいわ。牛串美味しかった……」


 そっちか!確かに一緒に出店回っただけで何もなかったんだけど。


「でも、こういうの見ると幼馴染に憧れる子が多いのわかる気するわ」

「え?そこはまた意外やね」

「小さい頃から気になってた男の子と恋仲にって言うんは夢あるんやない?」

「にゃ、にゃるほど。そういう視点ね」


 思わず声が上ずってしまった。


 その後も、一週間の間に見たランキング作品を論評していく僕たち。

 どうやら100位までしっかりチェックしてたらしい。

 彼女の生真面目さをちょっと侮っていた。


 これは距離感が近すぎるだの、これは男子が遠慮し過ぎだの。

 気がつけば酒を飲みつつの感想大会になってしまっていた。


 そして、飲み会開始から約3時間。


「色々見て思ったんやけど、続いていく関係ってのが憧れなんやろうね」

「続いていく?」


 どういうことだろう。


「たとえば、孝宏は高校の頃ウチと疎遠になったの気にしとるやろ」

「まあ……一応」

「付き合いあるウチらでもそうなんやし」

「確かに、ね」

「大学にもなれば縁切れる友達も多いやろし。それと、一緒にいて気を遣わない関係っちゅうか、そういう感じのお話が多い気がするんよね。ウチもそういう関係って理想やからちょっとわかるんよ」

「その辺は凄く同意。サークル仲間でも色々気を遣うこと多いもんなあ」


 学園祭実行委員会のメンバーたちを思い浮かべる。

 誰と誰が折り合い悪いとか。逆に誰と誰が仲良いとか。

 話題をあわせるにも色々気を遣わないといけないことが多い。


「やから、幼馴染はそういう理想像なんやない?幼馴染ざまぁはわからんのやけど」

「そっちは見当ついてるんよ」

「んぐんぐ……ウチはさっぱりわからんかったわ」


 気がついたら鮭トバをもぐもぐしている彼女だ。

 こういうのはなんだけど趣味が大抵オヤジ臭い。


「描写コストの関係っていうか。幼馴染って設定だと「ずっと好きだった」けど振られたってのやりやすいんだよ」

「言うてもちっちゃい頃からやと逆に「あー、この子友達枠」みたいにならへん?」


 あ。またグサっと来る事を言う。


「女子的な感覚なんやろね。男子的にはまたちょっと違う気がする」


 でも、言っても仕方がないか。


「でも、おかげさまでだいぶ整理ついた気がするわ」

「そうなん?やったら良かったけど……お酒美味しい」


 話しながら延々と飲んでいるのだけど、もう一リットル超えてない?

 悪酔いするタイプじゃないから大丈夫だろうけど。


「結論やけど、君の言う通り幼馴染はある種の理想像の投影なんやろね。ずっと続く関係っていうかそういうやつの。創作上のテンプレ化してるってのもあるやろけど」


 負けが決まった幼馴染、なんていうのもテンプレだろう。

 彼女に聞けば「この子、なんでさっさとアタックせえへんの?」

 とでも言うだろうけど。


「というわけでありがと。あとは適当に飲もうや」

「……」


 あれ?返事がない。

 と思ったら床にうつ伏せて、すー、すーと穏やかな寝息。


「 適当に毛布くらいかけとこか」


 割とどうでもいい話に付き合わせてしまったし。

 それに、この一週間彼女なりに色々調べてくれたみたいだし、ね。


 ぼーっと、テーブルに座りながら寝息をかいている彼女を観察すること1時間。


「ん……あれ、ウチ、寝てたん?」


 目をパチパチさせながら辺りを見回す様子が少し可愛らしい。


「おはよーさん」

「……って!化粧落ちとらん?寝てる時に屁とかせえへんかった?」

「は?」


 何か急にオロオロし始めたぞ。


「いや別に今更化粧が落ちてるからどうこう言わないって。屁とかもね」

「ならよかったわー」


 ほっと胸を撫で下ろすエリちゃんだけど。


「エリちゃんが僕の前でそういうの気にするの意外やね」


 ちょっとした軽口のつもりだった。

 なのに返ってきたのはジト目。


「ウチやって女子やから気にするんよ?それこそ創作の幼馴染やないんやし」

「大変申し訳ない……って。いやいや、僕に平気でマッサージされてるよね」


 そういう諸々の積み重ねがあって、まあこいつは僕のこと男と思ってないんだな。

 とそう判断したわけで。


「それは……孝宏はマッサージうまいやん?別に他意はないんやけど」


 頭にはてなマークを点灯させてそうな表情で断言する幼馴染様。

 駄目だ。距離感がとかいいつつ、こいつ自身の距離感がおかしい。


「じゃあ、自転車に平気で二人乗りさせてくるのは?」

「ウチだけ自転車だったら遅いし、疲れさせるの悪いやん」


 あれ、後ろから抱きしめることになって、男としては意識するんだけど。

 こいつの異性を意識する、しないの境界がさっぱりわからない。


「ところで一つ聞きたいんやけど」


 目を大きく見開いて、キリっとした表情に切り替わる。

 なんか真剣な話が来そうな。


「あ、ああ」

「孝宏はウチのこと好きなん?」

「は?急になんで」

「ウチを馬鹿にしとるん?さすがに流れでわかるんやけど」


 一体どういう流れだよ。内心で毒づく。


「……なら隠しても仕方ないか。確かに好きやけど」

「なら普通にウチにアプローチすればいいやん」

「いやいや。意識されてるかわからない相手にとか勇気居るって」


 酔いのせいもあるのかもしれないけど。

 こいつは一体何を考えてるのか。


「そういうとこ、ウチとしてはちょい減点やよ」

「勝手に告白させといて減点すんな」


 だいたい、この流れだと振るのかOKなのかすらわからない。


「それと。これまで言わんかったけど、ズボンがダボダボ過ぎ!」

「え、ええ?これの方が動きやすいんやけど」

「太っとらんのやから、もうちょい足回り細く見えるの履かなあかんって」

「そういうもの?」

「そういうもん。あと、Tシャツはええんやけど、ヨレヨレ過ぎ!」

「う。まあ、それは、当たってるかも……」


 しかし、なんで急にグサグサ来る指摘が。


「あとは今日みたいな回りくどいとこ!」

「はい……」


 ダメだしされまくりだけど、全て当たっているので受け入れるしかない。


「その辺、今度、似合う服買いにいかんとあかんね」

「何言ってるの?」


 こういうところが駄目だから、無理。

 そういう話だと思ってたんだけど。


「ん?付き合うんやろ?その辺はちゃんとしてくれんとウチも恥ずかしいし」

「いや、待って待って。一度もそっちはOKの返事言ってへんやん」

「うん?流れ的に断る話やないってわかるやろ」


 この……こいつは。

 付き合いは長いけど、本当に考えてることがわからない。


「僕としては正式な返事欲しいんやけど」


 なんで僕がこんな事言わないといけないのさ。


「っ。何乙女なこと言っとるん?」

「乙女でもなんでもいいから」

「じゃあ。なんだかんだええ子やから、好きやよ。付き合おっか」

「また「ええ子」……」

「別に悪い意味やないよ?そんくらいええ加減わかっとるやろ」


 ええ、わかってますとも。わかってますとも。

 こうして恋人になった僕たちだけど。


 昔から行動の読めなさには定評のある彼女だ。

 果てさて、一体どうなるのやら。


(でも、まあ)


 惚れた弱みってやつか。


「あ、そうそう。今日、泊まってってええ?」


 何を無邪気な顔で言ってらっしゃるのか。


「ええけど……なんで?」

「眠いし。さすがに付き合ってなかったら気が引けとったけど」


 そう言ったきり、くかーと今度は本当に寝入ってしまったのだった。

 

 とまあ。

 現実の幼馴染とは大体こういう風に気まぐれだったり。

 よくわからない行動を取ることがしばしばあったりする。

 こいつはちょっと特例だけどね。

 

 しかし、全然色っぽい展開が想像出来ないのは彼女の性格ってやつか。

 やっぱ色々な意味でオヤジ臭いし、繊細なのか大雑把なのかわからないし。

 人間ってのはそんなものかもしれないけどね。

エッセイ風味短編のはずが、エッセイ成分が揮発して掛け合いラブコメメインになってました。

奇妙奇天烈な二人の恋模様をお楽しみくださいませ。


楽しんでいただけたら、

↓から【★★★★★】タップしての評価やブクマで応援してもらえると嬉しいです。

掛け合いに付いての感想とかもあると嬉しいかも。


作中でネタにしましたが、既存の幼馴染作品にケチつける意図は一切ありません。

私自身も結構楽しんでますし。

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