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米露による反撃

2019年9月9日

ロシア モスクワ東方上空



Su-27戦闘機2機とF-15戦闘機4機が編隊を組んで雲の上を飛行しており、下にはSu-25攻撃機2機とA-10が2機飛んでいる。中々見慣れない光景だがこれもロシア軍とアメリカ軍の合同作戦の上で成り立っている光景である。


「Реагируйте на радар с направления два-четыре-пять!」

「英語を話せ英語を!」

「…レーダーに方位2-4-5から反応、恐らく敵輸送艦だ」

「お、さっそく出番って訳か。」


彼らは敵占領地の奥深くまで侵入し、A-10が試験的に製造された対シールドミサイルをレーザー誘導で着陸している敵輸送艦を破壊しSu-25が地上の対空魔道士を攻撃、戦闘機は迎撃に来た敵竜騎兵を撃墜する任務が課せられていた。


「よし、雲の下に降りるぞ!敵対空砲火に注意しろ!」

「не волнуйся я их сдую!」


雲の下に降りると一面丘と森と農地が広がっていた。

しかし牧歌的な景色に似つかわしくない異様な灰色のものが遠くにあった、大型輸送艦だ。

そしていくつもある森の中からは黄色に光る数え切れない魔法弾が編隊に襲いかかってきた。


「回避マニューバを取れ!撃墜されるなよ!」

「запуск ракеты!」


編隊は散開し、まずSu-25がミサイルを地上に向けて発射した。赤外線誘導で森の中にいる魔道士を吹き飛ばすためだ。


「竜騎兵が来たぞ!接近される前に叩き落とせ!」

「FOX2!」


そして輸送機に設けられた発着場からは次々と竜騎兵がその翼をはためかせ近接戦闘で戦闘機を破壊しようと最高速度で近付いていた。

格闘戦では竜の方が速度が遅く、その上姿勢を変えて急に減速したり進行方向を反転させたりとトリッキーな動きができるので有利だ。

もっとも接近される前に堕とされれば話は別である。


「おい!あいつら火の玉をこの距離で撃ってきてるぞ!」

「そんなの回避すれば…いや、追尾してないか?」


今までは竜騎兵は竜自体の口から放たれる高温の炎と背中に乗せた魔道士の魔法程度しか攻撃手段はないはずだった。

しかしどうやら彼らも地球人が対シールドミサイルを開発したように学習しているようだった。


「クソ!フレアでもチャフでも何でも出せ!」


戦闘機達も一斉に散開してミサイルを回避しようとビーム機動を取っている。

実際ミサイルはフレアの方に飛んでいって外れた。しかしかなり危ない瞬間だったし、危ない瞬間は次も続いた。


「奴らかなり接近してるぞ!もうレーダーで金具をロックオンできる!」

「なら機関砲で撃ち落とせ!なんとしてもA-10は守れ!」


そこからは格闘戦が始まった。

竜騎兵達はよく訓練されており、利口なマニューバを取りパイロット達を追い詰めた。

しかしパイロット達もまた今までの交戦から経験を積んでいた。


「急減速できるのはお前らだけじゃないんだぞッ!!!」


後ろを取られていたSu-27がコブラを取り、急減速した。

追い越した竜騎兵は明らかに驚いた様子だったが、機関砲から逃れるにはあまりにも遅すぎた。


「よし!射程に入った!ミサイル発射!」


そしてまだ編隊を組んで飛んでいた2機のA-10も胴体に付けられた長く大きなミサイルを発射した、対シールドミサイルだ。


それは激しい空戦が繰り広げられている間をすり抜けて飛んでいき、ついには輸送艦のシールドまで到達し、すり抜けた。

そして命中、爆発、そして次の瞬間輸送艦は大きく爆発炎上し、巨大な爆発音を辺りに響かせた。


「目標撃破!帰投するぞ!」


もうこの時点で何十もの竜騎兵が空を舞っていた、一方で全速力の戦闘機がこれから逃れる事自体は簡単だった。

編隊を組み直し、炎上する輸送艦と編隊を追う竜騎兵達を後ろに置いて彼らはさっさと帰っていった。






2019年11月15日

ロシア モスクワ


廃墟と化し、灰がモスクワ川を流れるモスクワにも欧米露連合軍が迫っていた。


「モスクワにロシアの旗をもう一度立てるんだ!」


M1A1戦車を先頭にBMD-3が後ろに続き槍機戦術

を取る連合軍を前に帝国軍はどんどん押されていき、ついに赤の広場の対岸まで連合軍が迫った。


「フラグ!」


その声に間を置いて爆発音、そして銃声。

一本の廊下や一つの部屋を巡って魔法と弾丸が飛び交っていた。

しかし機甲部隊の進撃は橋を落とされた川によって止められてしまった。


だが連合軍の進撃は止まらなかった。

Mi-26輸送ヘリとAH-64D戦闘ヘリが市街地の低空を飛んでいた。

翼に取り付けられたスピーカーからは『ワルキューレの騎行』が流れている。

そしてモスクワ川を超えると当然魔道士達からの対空砲火を受けたが彼らはそれを躱しながら逆にロケット弾や機関銃を喰らわせた。

そして赤の広場の上空に到達すると一旦停止して、降下し始めた。


「Слезай, слезай!」


ラペリング降下で降りてきたのはかつてここで敗北を喫したスペツナズだった。

戦闘ヘリによる火力支援を受けながら彼らは赤の広場の建物の中へと入っていった。




しばらく銃声と爆発音が続くと屋上に一分隊のスペツナズが登ってきた。

そして帝国の旗を地面に落とし、ロシア国旗を掲げた。

同時に後方からの砲撃が届き、まるで戦場の女神が祝福するかのように轟音がモスクワに響いた。

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