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北アメリカ挟撃上陸作戦(中編)

北アメリカ挟撃上陸作戦(中編)


「フォード1、エンゲージドディフェンシブ!」

「もう爆弾は落としたんだ、身軽になったF/A-18から逃れられると思うなよ!」


谷に隠れていたF\A-18達は一斉に上に飛び上がり、ミサイルを放つともう一度谷へ隠れていった。

航宙駆逐艦は対空魔法の光線で次々とミサイルを落としていったが、そのうちの何発かの命中を避ける事はできなかった。

「命中!」

「なんだよ、随分あっけないな」

「今日は乾杯だな、あんなデカブツを落としたんだから」


「…いや、待て……よく見てみろ!まだ飛んでるぞ!」


艦船のSAMさえも効果がなかったのだから空対空ミサイル程度では到底太刀打ちできないのは明らかだった。


「敵要撃機も上がってる!」

「迎撃しろ!FOX3!」


何発もミサイルを喰らってもなお悠々と飛んでいる航宙駆逐艦から次々と竜騎兵が飛び立ち、F/A-18達を撃墜せんとF/A-18が潜む谷の方へと飛んで行っていた。

対してパイロット達はサイドワインダーミサイルを放ち逆に竜騎兵の方を撃墜しようとしていた。


「…あのデカブツ、レーザーみたいなの出してないか?!」

「クソ!なんて日だ!」

「とりあえず竜騎兵どもを片付けるぞ!」


F/A-18と竜騎兵のドッグファイトを邪魔する者は誰もいなかった。

既に対空魔道士達は全滅していたし、海兵隊はまだ街に到着していなかった。

しかし航宙駆逐艦だけはF/A-18を一方的に落とす事ができた。


「クソ!あの光線をなんとかしろ!」


今の所フレアを放ちレーザーの照準装置を騙していたが、そのうち一機、また一機と撃墜されていった。


「このままじゃ全滅するぞ!」

「速度では俺達が勝ってるんだ、一度撤退して体勢を…」




「へっ、これだから戦闘機はダメなんだ。




やっぱりA-10だよな」


低空で地面を這うように飛んでいた一機のA-10が突然上昇すると、航宙駆逐艦の前に立ち塞がった。


「バカ!?正気か!?」

「A-10で何するって言うんだよ!」




「奴を落とすのさ、30mmを喰らえ!」


ブルルルルルルルト、と雷が連続するような音が空に響き渡り、航宙駆逐艦の甲板が火花を散らした。

対空砲火の光線がA-10を照射しようとしていたが、それは甲板に命中した機関砲で船全体がガタガタと揺れた事により逸れていった。


次にJDAM爆弾を分離し、さらにはヘルファイアミサイルを発射した。


「あれは対地攻撃用の武装だぞ?!」

「当たるわけないだろ!?」


金属の悲鳴が空に響き、次に爆発音が地面に反射しながらロングアイランド中を満たした。


「あああクソうるせぇ!」

「何があったんだ?!」


雲のような黒い煙の中から航宙駆逐艦の破片が落ち始め、次に真っ二つになった航宙駆逐艦の黒い船首と船尾が現れた時、パイロット達は理解した。


「…なんて奴だ。」




この時A-10のパイロットはJDAM爆弾をGPSで座標指定したりはしていなかった。

ただ勘だけで甲板に爆弾を命中させ、航宙駆逐艦を爆砕したのだ!

それにそれが外れた時のためにヘルファイアミサイルを艦首に放っており、最悪の場合でも機能を停止させようとしていた。




空で伝説が作られている下ではシールズが街に入ろうとしていた。

「よし!降りろ!帝国兵をこの街から叩き出すぞ!」

勇んでハンヴィーから出ていった彼らだったが、実際の所帝国兵は既に重爆撃に耐えかねてF/A-18と竜騎兵がドッグファイトをしているうちに街から逃げ出していた。


彼らの名誉のために書いておくと彼らは決して臆病だったわけではなく、西にあるニューヨークシティで市街戦で米軍を迎え撃とうとしていた。

いずれにせよシールズが活躍する時は先延ばしにされたが、一人の甲冑に身を包んだ帝国兵がシールズ隊員達の前に立ち塞がった。


「…クソ、どいつもこいつも敗北主義者だ…」

「お、おい!?誰だお前は!」

「両手を頭の後ろに回して、地面に伏せろ。さもないと撃つぞ!」


刹那の静寂が通りを支配したと思えばその帝国兵は突然側にあった建物の屋上に飛び乗ると、またジャンプして停車していたエイブラムス戦車にその剣を突き立てようとした。


「撃て!エンゲージ!」

弾丸はほとんどが高速で動く彼女を捉える事はなく、当たった弾も甲冑に弾かれた。

そして剣はエイブラムス戦車に突き立てられ、装甲を貫いた。


しかし、それだけだった。


彼女は剣を引き抜き、射線が彼女に向けられている事を察すると戦車の前面の傾斜装甲に足をかけて一人のシールズ隊員の方へ跳んだ。


その隊員は銃に付けられていた銃剣を彼女へ向けた。

それは剣に弾かれ、逆にその隊員が剣に貫かれてしまった。


「ジェイソン!」

「撃て!ジェイソンに当てるなよ!」


肉と骨を切り裂く音が路面を赤く染めた次に銃声と弾を弾く音が街に響いた。


「クソ!銃が効かねぇ!」

「戦車兵!奴を木っ端微塵にしてやれ!…おい!どうした!?」


戦車は呼びかけに応じず、その砲を空に向けて沈黙を保っていた。


「ならこれでどうだ!」


一人の隊員がハンヴィーの中からカール・グスタフを取り出し、律儀に後方を確認した後バックブラストの煙を後ろに残して弾頭を発射した。

それは通りを秒速約255mで進んだ後、剣で竹を割ったように真っ二つに斬られてしまった。


「なんて奴だ!」

「弾のおかげで多少動きが鈍くなってる!一定の距離を保って斬られないようにしろ!」


甲冑に火花を散らせる彼女の周りをシールズ隊員が円陣を組んで撃ち続けている。

流石の彼女もライフル弾で撃たれ続ければ多少の疲労が出るようで、確かに動きは鈍くなっており近づく彼女からシールズ隊員が後退する時間を与えていた。


すると突然遠くから羽音が聞こえてきた。

「どんなバケモンでも、30mmなら倒せるはずだ!」


「来るぞ!伏せろ!!」


2機のAH-64Dはその機関砲を回転させ、一斉に撃ち始めた。

爆発音にも似た銃声が通りを支配し、そこにいる者全てを恐れ慄かせた。

数分と思わせるような長い時間が過ぎ、ようやく機関砲の回転が終わった。


彼女がさっきまで居た場所には白い煙が立ち込めており、幾つもある大きな弾痕からもその威力の大きさを窺わせた。




しかし、煙が晴れたそこには誰もいなかった。


「…血煙になって消えたのか?」

「まぁいい、脅威は去ったんだ。行くぞ」


「クソ…おい、戦車のハッチを開けるなよ。緑色のガスが充満してる」


彼らは隊列を組み直し、再び市街地の制圧を続けた。













「クソ!なんなんだアレは!相当痛いぞ!!」

煙に紛れて建物の間を跳びながら逃げ出す事に成功した彼女だったが、やはり30mm機関砲を受けて無事ではなかったようで甲冑の隙間からは血が流れ出している。


「あら、おかえり…ってひどい傷じゃない!?」

「治癒魔法を頼む、かなり痛いんだ」


クリスタはアリスの元に駆け寄ると何かを唱えながらアリスの腕に手をかざした。


すると緑色のいかにも治癒効果のありそうな光が手から発せられ、甲冑の中を見る事ができなくてもきっと治癒されたであろうと周りを警戒していた魔道士達に思わせた。


「…ありがとう、助かったよ」

「いいのよお礼なんて、貴女と私の仲じゃない。


…あら、変な虫」


クリスタがその『変な虫』に人差し指を向けるとその先から細い光線が発せられ、それは煙を出して墜落した。


「…ドローン?で合ってたっけ。それが貴女をつけてたわ。気をつけなさいよ」

「…悪かった。気づかなかったよ」


「場所を変える必要がありそうね…気は乗らないけど、西の大きな街の方に行きましょ」

「…ッ!……分かった…」


彼女達は路地裏を走り、西の方、つまりニューヨークへと向かっていった。




ロングアイランドの大部分を制圧した米海軍だったが、西端のニューヨークを制圧しない事には陸からの脅威に晒されることになり、帝国軍の増援が来たらとても前線を維持する事は不可能だった。

なので電撃的にニューヨークを制圧する事が必要不可欠であり、逆の立場の帝国軍からしたらニューヨークさえ守り切れば後は増援で米海軍を叩きのめせばいいだけなので決戦の場はニューヨークになる事は明らかだった。


そして帝国軍が東海岸に注目している間、西海岸なんて帝国軍の誰も気にしていなかった…

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