第四話【孤児院】
ミラから渡された地図を頼りに孤児院を目指すアレン達。
そこで三人に依頼されたものとは……
「おーい!旦那!!こっちです!」
アレン達は一度装備を整えに家に戻った後、ギルドで目的地に向かう為の馬車の手配をしていた。
手続きを完了させ、待ち合わせ場所の北の城門で待っていると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「お久しぶりですね、旦那」
「あ、あんたはあの時の」
そこには以前、スラール山岳地帯へ運んでくれた商人と馬型モンスターのランホースがいた。
「あの時はお世話になりました。旦那とお嬢ちゃんのおかげでこいつも見ての通り、元気になりましたよ」
「そうかそれは良かった」
「本当ですか!?良かったです!」
「ブルルッ♪」
ランホースは、嬉しそうに鼻を鳴らして主人である商人にすり寄る。
「さぁ、どうぞ乗ってください」
「ああ、ありがとう」
「「ありがとうございます」」
アレン達を乗せた馬車は、ゆっくりと走り出す。
「しかしあれから随分とご活躍だったようです
ね?」
「え?どうしてそれを…?」
「実は、俺もこの町を拠点にして商売しているんですよ。なので、色々と噂話には耳聡くてね」
商人の言葉を聞いて、アレン達は納得する。
確かにこの商人なら色々な情報を知っていてもおかしくない。
「それにしても旦那はつれませんなぁ!こんな可愛い嬢ちゃんだけじゃなくてもう一人連れているなんて」
「あ~こいつはちょっと訳ありでな。まぁメダリアと同じ家族だから、俺達と同じ様に接してやってくれ」
「ふむ…まぁ深く聞くつもりはないですよ。
人には、それぞれ事情があるものですからねぇ」
アレン達の向かい側に座っている商人が、ニヤリとした表情を浮かべる。
「それで?今回はどちらまで行かれるんですかい?」
「ああ。今回は、スラール山岳地帯を超えたタリニアにある孤児院に用があってな」
「ほうほう……タリニアと言えば確かあそこは今、物騒だと聞いていますよ」
「そうなのか?」
「はい、なんでも最近ある宗教団体が怪しい動きをしているとか」
「宗教か…」
「何でもその団体では、神に仕える神官達が邪教として禁じられている悪魔崇拝の儀式を行っているとかいないとか」
「そいつらは何をしようとしているんだ?」
「そこまではまだ掴めていません。ただ、近々大きな事を企んでいるみたいですぜ」
「……分かった。気をつけることにしよう」
「旦那なら大丈夫だと思いますけどね。でも一応忠告だけはさせていただきます」
その後もしばらく雑談を交わした後、馬車は無事に目的地に到着した。
「それじゃあまた機会があればよろしくお願いしますわ」
「こちらこそ助かったよ。ありがとう」
「いえいえ、ここで俺は旦那を帰りを待っているので」
「待っていてくれるのか?」
「はい、何かあればすぐに駆けつけられるように待機していますんで、いつでも呼んでください」
「分かった。その時はすぐに頼むよ」
「あ、あのちょっといいかしら?」
商人と別れようとした時、ネーヴェが商人に声をかけてきた。
「ん?どうした嬢ちゃん?」
「私と似た顔の妹を探しているのだけど、何か知らないかしら?」
「妹さんを?」
「ええ、名前はスノって言うんだけど」
「…悪いが聞いたことは無いな」
「そう……残念だわ」
「だが、俺の方でも探しておくよ。もしかしたら何か分かるかもしれないし」
「ありがとう…あなた良い人ね」
ネーヴェは、微笑みながら礼を言う。
その後、商人と別れたアレン達はミラに渡された地図を頼りに孤児院へと向かった。
道中、特に問題もなく目的地に到着することが出来たのだが───
「ここだよな?」
「ええ、間違いないはずよ」
アレン達は、目の前の建物を見て呆然としていた。
何故ならそこにあった建物は、ボロボロでとても人が住んでいるとは思えない程廃れていたからだ。
扉も錆びついていて押せば壊れてしまいそうなくらい脆くなっている。
本当にここに目的の人物がいるのか疑問を抱くほど荒れ果てていたが、アレン達は意を決して中に入ることにした。
ギィイイッと音を立てて扉を開けると、室内も外と同様に酷い有様だった。
壁には亀裂が入り、天井には穴が空いている箇所があり、部屋の隅には蜘蛛の巣も張られている。
「誰もいないようだな」
「………?。そうね……とりあえず部屋を一つ一つ調べて行きましょう」
「どうした?ネーヴェ」
「いや、何でもないわ。“気のせいみたい”」
「そうか」
アレン達は、手分けして室内を調べていく。
すると、一番奥の部屋で子供の声が聞こえた。
「誰かいるのか!?」
アレン達は、急いで駆け寄りドアを開けて中に入ると、そこには年端のいかない子供たちとそれを守るように一人の女性がいた。
女性はアレン達に気が付くと、驚いた表情を浮かべる。
「あなた方は…?」
「突然押しかけて申し訳ありません。俺は師匠…ミラ=アリアの弟子のアレン=ジースです」
「メダリア=フィーレです」
「ネーヴェ=グライスよ」
三人は、女性に向かって自己紹介をする。
女性の方もそれに答えるかのように、挨拶を返
す。
「あなた達が……。あなた達の事はミラ様から聞いています。私は、この子たちの母親代わりを務めているセリアといいます。ここに来たという事は私がミラ様に出した依頼をしに来たのですね?」
「はい、そうです」
「分かりました。それでは早速、話をさせて下さい」
そう言ってセリアは、話を始めた。
内容は、至ってシンプルで植物モンスターを討伐して欲しいというものだった。
セリアによると最近、近くの森で暴れているらしく、このまま放置しておけばいずれこの孤児院にまで被害が及ぶ可能性があるらしい。
「そういう訳なのでお願い出来ませんか?」
「もちろん引き受けます」
「ありがとうございます!」
アレン達の返事を聞いて安心したのか、セリアの顔に笑顔が戻る。
「ただ、一つだけ聞きたいことがあるんですけど」
「何でしょうか?」
「その植物モンスターについて知っていることを全て教えて欲しいんです。何かおかしな所とか」
「…別にいいですけど、それはどうしてですか?」
「俺達は最近その魔障がらみの事件に巻き込まれまして、もし魔障のせいで暴走しているのであれば何か弱点とかが分かれば対処しやすいかと思ったのですが……」
「…そうですか。では、その質問に対して答えられる範囲でなら構いません」
「それで十分です。では、まず──」
それからアレン達は情報交換を行い、ある程度の情報を得ることが出来た。
「──なるほど。大体把握しました。貴重な情報をありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。こんな危険な仕事を頼んでしまってすみませんでした」
「気にしないでください。俺達も困った時はお互い様なんで」
「ねぇねぇ!お兄さんたち、これからどうするの?」
会話をしていると、一人の少年が話しかけてきた。
よく見ると他の子供達も興味津々といった様子で、アレン達を見つめている。
「私達は今からこわーいモンスターを倒しに行くんだよ」
「ええー!?本当?」
そんな子供たちの問いにメダリアが優しく答える。
「うん、だからそれまでここでお姉さんと一緒に待っていてね」
「うん分かったよ!頑張ってねお姉ちゃん!」
「もちろん!頑張って来るからね〜!」
元気の良い声で返事をした男の子に、メダリアは頭を撫でる。
その様子を見ていたネーヴェは、微笑みながら口を開く。
「ふふっ、可愛いわね」
「そうだな」
「あ、あの……」
セリアが遠慮がちに声をかけてきた。
「どうされました?」
「もしかしてあの子……メダリアさんは奴隷なのですか?」
「ええ。その通りです。それで言うと、横にいるネーヴェも元奴隷ですよ」
「……やはりそうですか。実は、この子達も元々奴隷だったんです」
「え?」
「私は、とある教会でシスターとして働いていたのですが、ある日市場で買い物をしているとこの子達が売られていたんです。そんなこの子たちを私はすぐに引き取り、育ててきました」
「ですが、世間の目は厳しく教会を手放さなければならなくなり、この孤児院に引っ越してきました。でも、私一人で育てていくお金にも限界があり、途方に暮れていた時ミラ様と出会ったのです」
「そうだったんですね…」
「はい……」
「大丈夫よ、心配ないわ」
暗い雰囲気になりかけたところで、ネーヴェが明るい声を出す。
「だってここにはあなたが育てた素敵な子供たちがいるじゃない。きっと、どんな困難があっても乗り越えていけるはずよ。私も離れ離れになった双子の妹を探しているの。だからお互い頑張りましょ?」
「……妹さんを。そうですね。ありがとうございます。おかげで、少し気が楽になったような気がします」
セリアの表情が明るくなり、アレン達は安堵の息を吐く。
「さて、そろそろ行くか。おーいメダリア行くぞー!」
「あ、はい!じゃあ行ってくるねみんな!」
「行ってらっしゃ〜い!」
子供たちと戯れていたメダリアは、慌ててアレン達の方へと駆け寄って来た。
「楽しそうだったわね?」
「うん、楽しかった!」
「そう、それなら良かったわ」
「それでは、気をつけて下さい」
セリアの言葉に、三人は力強くうなずく。
「それでは、失礼しました」
こうしてアレン達は、セリアの依頼を引き受けた。
新年明けましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします!
さて、新年一発目の投稿です。
アレン達は孤児院にきたわけですが何故こんな廃墟みたいになってしまったのか…。筆が乗ってしまったのであれですがちょっと反省ですね。
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