第一話【ピクニック】
お待たせいたしました。
第二章第一話です。
今回はまったりとしたピクニック回です。楽しんで読んで頂ければ嬉しいです。
新たな仲間であるネーヴェを入れての日常回です。
悪夢の様なレイド戦から一ヶ月。
人々は、元の平穏な日々を取り戻しつつあった。
戦闘やモンスターの攻撃により崩壊した建物の修理が各地で行われ、街には作物を使った炊き出しが行われている。
全六種族合わせて総死者八万人以上と言われ、甚大な被害を出した。
中でも、身体的特徴のない人類種の被害が大半を占めており、各スラスト国、シース国、サラウディア国の各都市は未だに復興作業に追われている状態だ。
そんな中、アレン、メダリア、ネーヴェ、アルトリアの四人は、スラスト平原南部にあるヘーマの湖に訪れていた。
ヘーマの湖は、温厚なモンスターが数多く生息しており、モンスターと触れ合える場所として人気の観光スポットだ。
「おお!」
「これは凄いねー!」
「こんな景色見たことないわ」
「綺麗……」
四人が見上げる先には、空を映し出したような青い水面が広がり、その向こう側には雲一つ無い青空が広がっていた。
湖の畔には草木が生い茂り、色とりどりの花々が咲き誇っている。
四人の目の前で水飛沫を上げながら水中へ潜る魚の姿があり、時折湖面から顔を出す姿も見受けられた。
そんな幻想的な風景を見せるヘーマの湖で、四人はネーヴェの歓迎会と今まで戦い尽くしだったメダリアを労うためにピクニックをしに来ていた。
ちなみに発案者はアルトリアである。
「お昼ご飯持ってきたよー!食べよう?」
アルトリアの言葉に、三人は歓声を上げる。
レジャーシートの上に広げられたのはサンドイッチなどの軽食と飲み物だ。
「はい、これネーヴェちゃんの分だよ」
「ありがとう」
「さあ、みんな座って。まずは乾杯しようか」
四人は、コップを掲げる。
「じゃあ……ネーヴェちゃんの加入とこれからの活躍を願って……乾杯!!」
「「「乾杯!!!」」」
こうして四人の楽しい時間が始まった。
*
昼食を食べ終えた四人はしばらく雑談をしていたが、話題は自然とネーヴェの話になる。
「ネーヴェちゃんが仲間になってくれて本当に良かったよね〜」
「そうだな。優秀なパーティーメンバーが増えたよ」
「私もそう思います!ネーヴェちゃんの氷魔法は凄く綺麗で凄いんですから!」
「ふふっありがとうメダリア」
ネーヴェは、少し照れ臭そうな表情を浮かべるが、満更でもない様子だ。
「でもネーヴェちゃんが加入して一番変わったのはアレンかな。ネーヴェちゃんがアレンに厳しくしてくれるからぐうたらしなくなったし」
「おいアル姉!?俺だって頑張ってるんだぞ?!」
「え〜本当ですかぁ?」
「本当ですぅ!」
アルトリアのからかいにムキになり反論するアレンを見てネーヴェとメダリアは笑う。
「ふふっ仲が良いのね」
「まあ姉弟みたいなものだからね。昔からアレンの事を知ってるし」
「昔っていつから?」
「んー……十年くらい前かな」
「結構長い付き合いなのね」
「まあね。だからお互い遠慮がないっていうか……そういう感じ」
アルトリアとアレンの二人は、お互いに気を許している関係であり、家族同然に育ってきたのだ。
「ところで……二人とも付き合ってるの?」
「「ぶふぉッ!!?」」
突然の質問にアレンとアルトリアは吹き出す。
そして、顔を真っ赤にして慌てふためく。
「つつつ付き合うとかまだ早いし!!俺達そんなんじゃないし!!」
「そそそそうだよ!!ただの幼馴染みです!!」
二人が必死の形相で否定するが、その様子を見ていてネーヴェはくすくすと笑う。
「冗談よ。ごめんなさいね」
「びっくりしたー……」
「もう!驚かさないでよネーヴェちゃん!」
「ふふっ」
「まったく……」
二人の反応を見たネーヴェは、再び微笑む。
(や、やっぱりご主人様とアルトリアお姉様は好き同士なのかな??二人共凄く仲がいいし…)
ネーヴェの隣で見ていたメダリアは、内心悶々としていた。
何故、こんなに悶々とするのかは自分でも分からない。
だが、胸の奥底でモヤモヤとした感情が渦巻いているのを感じる。
(どうしてだろう……。こんな気持ち初めてかも……)
メダリアは、自分の中で芽生えたこの気持ちが何であるかは、まだ理解していなかった。
すると突然、ネーヴェが何かに気付いたように空を見上げる。
「あら、雨雲ね……」
「本当だ。雲行きが怪しいね……」
「通り雨かもしれないけど、一応テントの中に入ろうか」
四人は、荷物を持ってテントの中に入る。
テントの中は、荷物を置いた事で四人が座るには少し狭い。
「今日は快晴だったのに……」
「仕方ないわ。これも自然の摂理なんだもの」
「うーん。でもせっかくのピクニックが台無しになったみたいで残念だね」
「そうかしら?私はとても楽しかったわよ?」
「えへへっ。私もだよ!」
ネーヴェの言葉にメダリアは、嬉しくなる。
するとその時、ポツリ、と雫が落ちてきた。
「あ、降ってきちゃった」
「うげぇー……マジかよ」
「これじゃあピクニックどころじゃないな」
ザーッと音を立てて降り始めた雨を、四人は見上げる。
「どうしよう……止むまで待つしかないかな」
「まぁこれもピクニックとして割り切りましょ」
「それにしても少し寒くなってきたな。テントの中は狭いし……あ!そうだメダリアちょっといいか?」
「へ?どうしましたご主人様あああ!?!?」
アレンは、隣に座っていたメダリアをヒョイっと持ち上げて自分の膝の上に座らせ、後ろからハグをするようにメダリアを抱え、頭に顎を乗せて暖をとっている。
「あったか〜」
「ごごごごごご主人様!?一体何を!?」
「ん?こうした方がお互い暖かいだろ?」
「そ、それはそうですけど!!!!????」
顔が燃えるように熱く、心臓の鼓動がドクンドクンとうるさい。
尻尾をブンブン振るのを止められず、顔がニヤつくのを我慢出来ない。
今まで感じた事のない感情に戸惑っていると、今度はネーヴェがアルトリアの方へ持ち上げられてアルトリアの膝に座らせられ、メダリアと同じ状態になる。
「わ〜ネーヴェちゃん暖かい。髪の毛サラサラ〜」
「ふふん。そうでしょう」
アルトリアはネーヴェの頭を撫でると、ネーヴェは目を細めて満足そうな表情を浮かべる。
「ふあぁ〜。これは良いわね」
「だよね。癒されるぅ〜」
アルトリアとネーヴェは、お互いに抱き合いながらまったりとしている。
「ちょ、ちょっとアルトリアお姉様もネーヴェちゃんもまったりしてないで助け……ひゃう!?」
「メダリアちゃんの耳と尻尾もふもふだ〜」
「あ、アルトリアお姉様!?」
アルトリアは、メダリアの頭にある猫耳に手を伸ばして触る。
「おお……柔らかいし温かいし最高……」
「アルトリア姉さんばかりずるいわよ。私にも触らせてちょうだい」
「え?ネーヴェちゃんも!?あっ!そこはダメです!!」
「あら可愛い反応ね」
ネーヴェは、メダリアの頬っぺたをプニプニと突いたり、尻尾の付け根を優しく摩ったりしてメダリアの反応を楽しんでいるようだ。
「や、止めてください!!そこ弱いんですってばぁ!!!あははははははは!!」
「おぉーここがいいのか?」
「や、やめ!くすぐったいぃ!」
「ふふっ。メダリアって敏感なのね」
「あはっあははは…ちっ違うよぉ……」
メダリアは、アレンに後ろから抱かれながらアルトリアとネーヴェに耳や尻尾をいじられてくすぐったいのをぷるぷる震えながら耐えている。
「二人共、あんまりメダリアをいじめたら可哀想だぞ?」
「大丈夫よ。ちょっとしたスキンシップだから」
「ならいいんだけどさ……そんなにもふもふなのか?」
「うん。すごく柔らかくて気持ちがいいんだよ」
「ほほう……。それじゃ俺もやってみるか」
「ふぇ?」
アレンは、メダリアの耳のふにふにと触る。
「うおっ!?何だこれ!?めちゃくちゃ柔らかいじゃん!」
「でしょ?私も初めて触った時は驚いたわ」
「メダリアちゃんの耳と尻尾の毛並みって凄く綺麗だよね」
「ううっ……」
メダリアの顔はさらに赤くなり、恥ずかしくて涙目になっている。
「あはは……もう勘弁してください……」
(うぅ……こんな辱しめを受けるなんて……)
「お?雨あがったんじゃないか?」
四人が、和気あいあい(?)とした時間を過ごしている中、雨が上がり太陽が雲の切れ間から顔を出していた。
「あら、本当だわ。晴れたわね」
「う〜ん!いい天気になったねぇ〜」
そう言ってアルトリアは、背伸びをする。
「そうだな。じゃあピクニックの続きをするか!」
「そうだね」
「でもメダリアが疲れてるみたいだし、どうかしら?」
「私はまだまだ元気ですよ!?というか、誰のせいだと思っているんですか!?」
メダリアは、顔を真っ赤にして叫ぶ。
そんなメダリアの姿に、三人は笑い合った。
「さて、まだまだ今日は長いからな。ピクニックの続きをするか!一か月前にも言ったがネーヴェお前はもう、俺達の家族だ。だから楽しんでくれよ?」
そんなアレンの言葉にネーヴェはふっと笑い。
「ええ。もちろんじゃない」
こうして四人は、また楽しいピクニックを過ごすのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
メダリアの中で芽生えた感情一体なんなんだろうなー(すっとぼけ)




