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第12章 ⑫ 旅は道連れ、情けをくれよ!

第12章 ⑫ 旅は道連れ、情けをくれよ!


「しかし、まずは料理が来たようですね。冷めないうちにこちらを先に頂きましょう。」


宮田さんが言うように仲居さんが料理を持って来てくれたので、頂くこととする。


どうやら夕食は季節の天ぷらをメインとした和食料理で、ただし物凄く豪勢な和食料理だ。


中学生ゆえに詳しいことはわからないが結論として、茶碗蒸しは絶対美味い!ということだ。中学生には勿体なすぎるであろう料理を堪能し、お腹を満たしたところで本題へと戻る。


「ではお話しましょうかね。これはある私と友人の昔話です。」


「友人は大学で知り合いました。お互いに未来を熱く語り、将来はこの国を背負って立つ人間になると、信じて疑わなかった。


友人は言った。「私は政治家になろうと思う。それも国を背負う政治家。一国の総理だ。」

私はそれに対してそれを支える秘書になると言ったんです。


すると彼は「それはありがたい。しかし、私はまずは政治家に仕える秘書として働き始めようと思う。つてがあるんだ。君も一緒に来るといい。」


「それで、宮田さんはその方に誘われて秘書になられたんですね?」


座卓の上に両手を組んで肘をつく宮田さんの表情は曇っていく。


「ええ。そして、大学在学中から三上茂事務所に出入りするようになり、そのまま私設秘書として2人は雇われることになります。」


「そして宮田さんは第一秘書に。友人の方はどうしたのですか?」


「私の友人は秘書働きはやはり性に合わないと、市議会議員への転向を図ります。それは11年前

のことです。そして、3年前には市長にまで上り詰めます。」


「その市長にまでなられた方ってさっき言ってた小倉さんですか?」


「そうです、その通りです。友人などと誤魔化しましたが、話し下手の私では君を騙せるほどの嘘はつけないらしい。」


心の奥に何か隠したまま、伏し目がちに少し苦笑いを浮かべるが、その後は表情を崩すことはなく、淡々とした口調で語る。


「彼は市長になるにあたってある神様と契約を結んだのです。それによって彼は神の加護を受け、己の願望を成就していくこととなる。自らの魂を引き換えに。」


「魂を引き換えに神の加護をうける?この首飾りみたいな契約のことですか?」


自分は身につけていた首飾りを見せる。


「いえ、その契約とは異なります。神物を媒介とした契約は神物の霊力を持って代償とし、神が恩恵的に契約者に力を与えることがほとんどです。一方ここにおける契約とは、「血の贖い」と呼ばれる、神に対する魂の隷属。つまり魂を捧げることで、その対価として願望成就を果たさせる契約です。恩恵的ではなく、交換条件があるのです。」


「そんなものが‥。しかしその「血の贖い」をした人はどうなるですか?願いは叶うんですか?叶ったらその後は?」


「ええ、そこが問題です。ほとんどの願望は叶います。しかし「血の贖い」は等価交換。およそ魂を捧げたところで、願いが大きれば天秤は水平にはならない。故に代償がある。」


「代償っての何なんです?もしかして不足分の魂を用意しろとかですか?」


自分の経験上、足りないなら持ってこいと言うのは神様の常套句な気がする。


「それも一つの手なのかもしれませんが、多くは突然の死や身内の不幸など、如何なる障害が降りかかるかは誰にもわからない。わかることはその時は確実に来ること。そして、それには例外はありません。それは三上家を見ればわかることですので。」


「三上家を見ればわかるって‥まさかそんな契約を代々神様と結んでるんですか?」


「ええ。三上家はただの政治家一家ではない。神にもたらされた奇跡を享受する一族なのです。」


「んーん。でも三上の家に不幸なことって。実際にそんなに起きているんですか?」


宮田さんは自分にタブレットの画面を開き、見せてくる。画面には家系図が示されており、特質すべき死因の者には赤印がつけられている。タブレットをスクロールしていくと、事故死。病死。焼死や自殺なども赤印が付けられている。



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