24、討伐品の納品
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なんか魔物から助けた少年に失礼なことを言われたような?
「お前、人間じゃなかったんだな」って?
そう言った?実力を評価してくれたと思ったら人間認定から外された!?
「人間だよ!?」
「フリだろ?見た目俺より年下なのにこんなすごい魔術使えて、剣術も……。お前、歳を取らないって言われてる伝説のエルフなんだろ?」
「エルフ!?違う違う!ふつうに人間だって!」
「そうか……隠してるんだもんな。エルフは希少種だから人攫いに合いやすくて大昔森に身を隠したって父さんも言ってた。大丈夫だ。バラしたりしない」
魔法士も珍しくて貴重な精霊魔法士でもあって……それだけでもお腹いっぱいなのに、さらに伝説とか言われてる希少種のエルフと思われてる!?
なんでこうなったの!?
「僕の実力をバラさないでくれるのは嬉しいけどエルフじゃないの!本当に!」
「わかったわかった。それよりこの倒したシャルトウルフ何とかしないと他の魔物が寄ってくるぞ?」
「シャルトウルフ!そうだった!魔石取らなくちゃ!」
討った魔物をそのままにして血の匂いが残っていると他の魔物が寄ってくるというのは、ビエラとの魔物狩りでも習った。
魔物を討ったら速やかに必要部位を解体して残りを燃やすか土に埋めないといけない。
私が解体用のナイフで解体作業をはじめると、少し見ていた少年が近付いてきて手伝いを申し出た。
「手伝う。助けられたんだ。それくらいさせてくれ。もちろん分け前を貰うつもりは微塵もないから安心してくれ」
「あ……りがとう」
さすがに狩りを最近始めたばかりの私より少年の方が解体作業が上手く、十七匹ものシャルトウルフを解体しなくてはならない私は大いに助かった。
解体作業があと三匹という所で遠くから私を呼ぶビエラの声が聞こえた。
「ここだよビエラさ〜ん!」
「仲間か?」
「うん。一緒に来てたんだけど、体力切らしてしまって休んでから来るって言っていたんだ」
私はビエラと合流すると少年を紹介し、残りの解体も済ますと少年も連れて街に戻る事になった。
****
魔石とシャルトウルフの毛皮や牙といった討伐収集品を三人で分け合って街に戻るのに、行きの時より四倍も時間がかかった。
帰りは行きと違い身体強化も使わず、荷物も増えた状態で歩きだったため仕方ない。
街に入り冒険者ギルドに辿り着く頃には、少年の体力は限界になっていた。
「さ……すがに、疲れた……な」
「だから、僕が持つって言ったのに」
「助けられたお礼も兼ねてるんだ……そうはいかねぇよ」
「カルディナールは意外に真面目なんだね〜」
街へ帰る道中で彼の名前は聞いた。
今朝、薬草収集の依頼を受けてからシャルトウルフに遭遇するまでの経緯を聞いた。
平民街での生活の様子も聞きなかなか帰りの道中は楽しかった。
「意外ってなんだよ。真面目だってよく周りには言われる方だぞ?」
「ふーん……。それよりほんとにごめん。せっかく収集していた薬草放り出してまでシャルトウルフの収集品を収集袋に……」
「それはもういいっていったろ?薬草収集は期限の決まっていない常時依頼だからペナルティ無いし。それより他の魔物に食われる心配のある収集品優先に決まってるじゃんか。出しいこうぜ」
冒険者ギルド内はまだ日が高い時間な事もあってか人が少なく、どの窓口も空いていた。
私は、依頼受付に依頼書と討伐部位であるシャルトウルフの魔石を三つ出し、討伐完了を報告する。
「シャルトウルフ討伐の依頼済ませてきました」
「無事に討伐できたんですね。まさかこんなに早く討伐が済んでしまうなんて優秀ですね?では、討伐部位のシャルトウルフの魔石を出してもらえますか?」
私がシャルトウルフの魔石を三つカウンターに並べた。
そして、受付の女性が数を確認し依頼完了を告げる前に追加分がある事を告げる。
「あ〜あの。倒したのは三匹だけでは無いんですけど依頼では三匹だけですよね?」
「討伐数以上倒して来て下さったんですね。大丈夫ですよ。この依頼は最低三匹となっている依頼でして、それ以上討伐してくれれば上乗せると依頼主から言われています」
「よかった!」
私は残りのシャルトウルフの魔石も依頼受付の机に取り出し並べた。
はじめの方で討ったシャルトウルフの分もビエラが取ってから追ってきてくれたので追加は十五匹分だ。
「え……十三、十四、十五……。依頼を受ける前にもシャルトウルフを討った事が?もし、どこかで買取ったという物なら罰則がーー」
「今日討伐してきたシャルトウルフの魔石ですよ。信じられないならその数と同じだけここに解体したばかりの毛皮と牙を持ってきてますから証明出来ます」
私がそう言うと、二人が若干ムッとした顔で討伐収集品の入った袋を持ち上げて受付の女性に見せつけた。
「そうですか……分かりました。精算致しますのでこの札を持って少々お待ち下さいね。追加報酬分の用意もあるので少し時間がかかります。お待ちの間に収集品の買取を頼む場合は奥の窓口へ行ってください」
「分かりました。あと……」
私は受付の女性に小声で追加の要件を伝えると二人を連れて、買取用窓口へと向かった。
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買取窓口に居たのは、ガタイのいいいかにも力仕事の得意な職人といった感じの髭のーー。
「シゲさん?」
「おう。向こうで十五だのシャルトウルフだの聞こえたが、買取は毛皮と牙でいいのか?」
「え?あれ?シゲさんって冒険者じゃなくここの職員だったの?」
買取窓口に居たのは、私が冒険者ギルドに登録に来た時に真っ先に声をかけて登録窓口へ案内してくれたシゲさんだった。
「まぁ、冒険者と兼業だ。もっぱらギルドの解体作業員だな。んで、収集品出してみな?査定に回すからよ」
「あ……うん。これです。よろしくお願いします」
私が言うと二人が買取カウンターに収集品を入れた袋を乗せてくれた。
「今度からは依頼達成用の収集品以外は先にこっちに出した方がいいぞ?依頼報酬の計算よりこっちの査定の方が時間食うからな。それに、さっきみたいに買取った魔石だと誤解されることも無いぞ?」
「そっか。うん!わかった」
「んじゃ、これが順番札な?この量だからなぁ……まぁ、他の査定仕事もあるんで一時間ぐらい時間潰して戻って来てくれや」
(時間潰しかぁ……)




