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23、シャルトウルフ討伐依頼3

ブックマーク、評価ありがとうございますm(*_ _)m

 ビエラの身体強化が切れたことで一時的に足を止めたのでシャルトウルフは完全に見失い。

  今は子供の悲鳴が聞こえた方向を目指してただ走っている。



『見てきたぞ。襲われているのは赤髪の少年一人。襲っているのはシャルトウルフ一匹だ。大木を背に剣で耐え凌いではいるが、長くはもたないだろう』


(正確な位置に案内して!)


『了解した』



  赤髪の少年……?それってまさか?


  希闇の案内で木々の隙間を走り抜けながら、襲われている少年の元へ駆けつけた。



「やっぱりさっきの依頼ボードで会った少年!」


(翡翠!人命救助最優先!もう出し惜しみ無しよ!シャルトウルフを倒して!)


『はいはいスパッとね!』


 トサッ



  翡翠が風の刃を飛ばすとシャルトウルフの首があっさり切り落とされた。

  遅れてシャルトウルフの体もパタリと倒れる。



「うああああ!?」



  死闘を繰り広げていたはずのシャルトウルフがあっさり倒れた事で、さらなる強敵が現れたと思ったのか少年は怯え続けていた。

  私は剣を握り締めたま頭を抱えて丸くなり、怯える赤髪の少年に、駆け寄って話しかけた。

 


「大丈夫?叫ぶくらいなら生きてるみたいだけど怪我は?大怪我はしていない?」



  赤髪の少年は、話しかける声の主が人間の子供と分かるとバッと頭を上げ、慌てて立ち上がった。



「何してんだ!?シャルトウルフ倒すほどの強い奴が近くにいるみたいなのに!て、お前今朝の!街での依頼だって……くそっ!逃げるぞ!」



  少年は一気にそうまくし立てるなり、周りを警戒しながら私の手を掴んで走り出した。



「ちょ!?シャルトウルフより強いのなんて居ないよ!」


「バカっ!俺の目の前でシャルトウルフが倒れてんの見ただろ!あれは俺がやったんじゃない!なんか他に強いのがいるんだ!」



  私は言われてから魔力探知を使えばいい事を思い出し、魔力を薄く広げた。

  だが、シャルトウルフ以外に角兎やスライムなんかの小さい魔物が居ることなどは分かるが、シャルトウルフより強いのは近くに居ない。



「やっぱりシャルトウルフより強いのなんて居ないよ!それよりこの先には!」


「いいから逃げるんだ!」



  少年に手を引っ張られる時点から身体強化は切っているが、それでも楽に追いつけるほど少年は疲れからか足が遅い。

  この先に行くのは危険だと思うが、出し惜しみ無しと決めたのだからなんとかなるだろう。



「んなっ!」


(やっぱ居たね)



  赤髪の少年に手を引かれて走った先、森の少し開けた所に居たのは、シャルトウルフの群れ。

  二、三匹では無い、ざっと見積って二十匹近く居るように思う。


  その全てが鼻をひくつかせて赤髪の少年を睨みつけて唸っていた。



「ヒェッ……だ、めだ。もう……ごめんこんなとこ、連れてきちゃって……」



  少年は私の手を離して、シャルトウルフ達から目を離せないままその場に尻もちを着いた。


  魔法士とバレるより副ギルド長との模擬戦でマネた魔術使う方が良いはず。

  身体強化でシャルトウルフの攻撃は避けながら魔術を撃てば……。



(走り回りながらじゃあの時みたいに複数魔術展開はまだきつい。翡翠、この男の子をシャルトウルフから守っていて!)


『了解!』



  私は、それっぽく見えるようにシャルトウルフに右手をかざす。



「そんなんで止まってくれるわけなーー」



  魔素魔力でシャルトウルフ達の固まっている左上空に土魔術を三つ展開して、石の礫をぶつける。


  シャルトウルフは魔術陣に素早く気付いて右に飛ぶことでその場を離れる。

  だが、シャルトウルフが逃げた方向に私は先回りしてシャルトウルフを一気に三匹仕留めた。



「うそ……だろ、魔術師?いや、なんだあの動き」



  少年が何か呟いているが構う暇はない。


  残るシャルトウルフも土魔術で作る石の礫で上手く誘導しつつ狩っていった。



「ああっ!うああああ!!来たああ!!ーーへ?」



  赤髪の少年の方にもシャルトウルフが二匹流れたが、難なく翡翠が討ち取る。



(こらこら翡翠、あくびしてないでちゃんと護衛してあげてよ)


『大丈夫大丈夫。こいつには私の姿も見えてないし聞こえてないし!護衛は適当でもちゃんと出来るよ〜』



  少年は再び自分の目の前でシャルトウルフが倒れた事に唖然としたまま固まっている。


  少年が再起動するより早く、シャルトウルフの群れ殲滅が済んだ。



(希闇、逃がしたのいないよね?)


『この場にいたものは全て狩りとった。討ち漏らしは無い』



  私は剣を腰の鞘に仕舞うと少年に近付き、未だ尻もちをついている彼に手を差し伸べた。



「もう大丈夫。討ち漏らしも無いみたいだし、近くに他の魔物も居ないから安全だよ」


「……はじめのシャルトウルフも」


「あ……あ〜まぁ、うん」



  魔術師という事は公認でもいいだろうが、精霊術士は希少種らしいし精霊魔法士であることは伏せた方がいいだろうと私は返事を濁した。



「ごめん……いや、ごめんなさい。冒険者ギルドでは失礼な事を言……いました。こんなに実力のある冒険者だとは思わなかった……んです」


(あの魔術自体は初級のものだって副ギルド長も言ってたし、翡翠もちょっとしか力使っていないし……あとは剣を振るってただけなのに?)


「大したことしてないよ!無事で良かったし……それより、言葉遣い戻して?とっても話しにくそうだしふつうに話して欲しい」


「ゔ、わかった……。にしても大したって……あれでも手加減だったのか?どんだけ強いんだよ……」


(えぇ〜なんか評価上がっちゃってる……?まぁ、窮地に陥ったところを圧倒的な力で助けちゃえばそりゃーー)


「お前、人間じゃなかったんだな」


「へ?」


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