22、シャルトウルフ討伐依頼2
明日は投稿休みです。
以降2日に1度ですm(*_ _)m
農家の人に討伐依頼対象であるシャルトウルフの目撃箇所をビエラに聞いてもらい。
その報告を受けている最中に家畜の断末魔と叫び声が響いた。
家畜の騒ぎの方へと二人で走る。
行先を見るとすでに牛一頭、仔羊二頭がシャルトウルフに咥えられており、森の中へと連れていかれるところだった。
牛は大きくてシャルトウルフ一匹では運べないのか二匹で一頭を運んでいた。
それでも常人では追いつけない程の速さで走っている。
私達は身体強化をかけ、すぐに後を追った。
「討伐依頼では三匹だったのに四匹もいた!」
「恐らくもっと多く居ることでしょう。討伐しづらい魔物ですから、三匹だけでも討伐してもらえたら助かるという意味でしょうね」
「なら、狩れたらそれ以上狩っていいわけだ」
「報酬は三匹分しか出ないかもしれませんよ?」
「かまわない!それで農家の方々が助かるなら!」
ビエラはその返答が嬉しかったのか笑みを見せると、さらに速度を上げた。
私もあわせて速度を上げ、まず牛を運んでいた二匹に追い付く。
そして、さらに瞬間的に速度を上げ右側のシャルトウルフの首を刎ねる。
片方が倒れた事で、牛を運べなくなったもう一匹のシャルトウルフは、あっさり獲物を諦めて単独で走り出した。
(敵討ちとか考えないのね?結構、薄情者?にしても……)
重荷になっていた獲物を運ばなくなったシャルトウルフの速度は先程の比ではなく、どんどん距離が開く。
牛を諦めたシャルトウルフを追ううちに、仔羊を運ぶ二匹に追いついた。
「一匹は私が!」
「では、ビエラは左を!僕は右をやります!」
ビエラは速度を上げシャルトウルフの前に出てシャルトウルフの足を止め、斬りかかり始めた。
私は、先程と同じく一気に速度を上げて一撃で首を刎ねようとして、シャルトウルフに避けられる。
牛を二頭で運び、動きに自由の無かったシャルトウルフとはやはり動きが違う。
「フィル焦らず!まともに戦えばフィルなら勝てます!あっ」
ビエラが相手していたシャルトウルフも牛のと同じく獲物を諦めて逃走を選んだようだ。
そして、それを見てか私の方のシャルトウルフも仔羊を捨てて走り出す。
私達はそれを再び追跡し始めた。
「全く逃げてばかり!」
「う、くっ!」
何度も身体強化で速度を上げながら追跡をし続けている為か、ビエラにはこれ以上長時間の身体強化をする事は難しくなっていた。
それから程なくして、ビエラが息を切らせながら限界を告げる。
「フィル……もう、身体強化が持ちません!」
「わかった。……僕一人で続ける!」
「そんなっフィル!」
そう言うのと同時にビエラの身体強化は解けてしまう。
私はそれを見て一時足を止めた。
「ビエラさん、身体強化は……」
「もう……出来るほど、体力が……残っていません」
ビエラは息切れ切れにそう答えた。
身体強化は一時的に身体能力をあげる分反動で体を痛めやすい。
当然、各筋肉や肺や心臓にも響いているのだろう。
私は、このままでは依頼が失敗するという焦りと、体力を切らしたビエラを放って行くわけに行かないという葛藤に苛まれる。
「私の事でしたら……ハァハ…お気になさらず。少し休めば、動けますのでーー」
ゔああああ
ビエラの言葉になお躊躇していると遠くで子供の悲鳴が聞こえた。
私もビエラも叫びの聞こえた方向へバッと顔を向ける。
「ごめんビエラ!!」
「行ってください!!」
ほぼ同時に二人してそう言い合い、私はすぐに悲鳴の聞こえた方へ走り出した。
ビエラの事は気になるが、本人は大丈夫だと言っていた。それを信じよう。
それに、ビエラより悲鳴を上げた子供の方が確実に危険な状況だろう。
私には、自分の取り逃がした魔物のせいで死人が出るなどとても耐えられない!
(絶対に絶対に助ける!翡翠!希闇!ビエラが見ていなければ精霊魔法を使えるわ!本領発揮よ!希闇は先の状況を見てきて!翡翠は私と一緒に居て)
『は〜い!』
『了解した』
『私が身体強化中の身体を継続的に回復させているから身体強化が持ちますのに、二人にいい所を持っていかれてしまいますわ……』
(白妃にもいつも感謝しているわ。ありがとう白妃!続けてお願いね!)
『もぅ……わかりましたわ』
身体強化は自身の魔力で行う。
体の負荷は白妃に治癒魔法でカバーしてもらえているが、身体強化を無理に使っていれば私の魔力とて枯渇する。
(できるだけ魔素魔力と精霊魔法で済ませたいところね。……魔素魔力を自分の魔力として取り込めたらこんな心配いらないのに)




