21、シャルトウルフ討伐依頼1
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正気に戻ったビエラが選んでくれたのは、シャルトウルフ三体の討伐依頼だった。
他のCランク依頼は、商人の護衛、ホブゴブリンの集落殲滅または、遠方に生息する魔物といったもので受けにくかったのだ。
「商人護衛も遠方に生息する魔物の討伐も数日がかりなので日帰りでは出来ません。シャルトウルフの目撃があった場所はここから近いようなのでこれなら行けるでしょう」
「ビエラさん、シャルトウルフとはどういった魔物?」
「シャルトウルフは、ウルフ種の中でも特に速さに特化した種です。おそらく素早いため討伐しづらくCランクなのでしょう」
「速さに特化したウルフ種……強そうですけど」
「速さだけなのです。体力も攻撃力もあまり無いので討伐自体は簡単なのですが素早いために見失いやすいのです。賢くて罠にかかりにくいですし農家にとってはとても迷惑な魔物なのですよ」
「なるほど。……素早さだけなら身体強化した僕達で追いつけると見たわけですね?わかりました!依頼を受けてきます」
シャルトウルフ討伐の依頼を受けることに決めると私は依頼受付の窓口へ向かった。
「はい。依頼を受けるのですね?冒険者カードと依頼書を見せてください」
「はい。お願いします」
「Cランク討伐依頼シャルトウルフ……パーティメンバーの方は?」
そう言って受付のお姉さんは周囲を見渡す。
だが、ビエラは冒険者ではない自分が依頼受けに立ち会うのはおかしいという事で、既に入口の方で待機しているのでこの場には居ない。
「冒険者は僕だけです。一緒に知り合いの剣士が付いてくれますが彼女は冒険者ではありません」
「二人だけでシャルトウルフは難しいと思いますよ?とても素早いため複数人で囲い込みをしないと捕まらない魔物なのです」
「僕も彼女も速さには少し自信があるので大丈夫です。受けます」
「一応Cランクの方です者ね……わかりました。受理しますね。討伐証明には魔石を持ってきて下さい」
「魔石……?」
「ゴブリンや角兎などは魔石が有りませんので左耳や角といった討伐箇所を証明にお持ち頂きますがCランク討伐くらいの魔物なら魔石が心臓部にできています。それを討伐証明に持ってきて下さい」
「わかりました」
私は依頼を無事受けると入口で待つビエラと合流して外に出ようとした。
だが、ギルドの反対側冒険者登録の窓口から来た少年が私の元へ駆け寄って来た。
歳は六歳くらいだろうか、赤髪に赤茶色い眼をした少年だ。腰に剣を差しているので剣士なのだろう。
「お前、今依頼受けてきたんだろ?俺も一緒に行ってやるよ!」
「……あなたのランクは?」
「Gランクに決まってんだろ?なぁ、なんの薬草詰みだ?俺、小さい時から詰み行ってたから詳しいんだぜ」
「なら無理だね。Gランク依頼でも薬草摘みでも無いから」
「Fランク依頼を受けたのか?薬草じゃ無いなら街での手伝いか……なら、いっか。頑張れよ!」
そう言うと赤髪の少年は依頼ボードの方へと走って行った。
「なんなのあの上から目線な子は……」
私は、自分の見た目が小柄なため3歳にも見え、大きく見ても5歳にしか見えないことを棚上げしてそう呟いた。
「多分、一人で依頼を受けたフィルの事を心配して声をかけてくれたのでしょう。平民達は、子供同士で助け合い、年長者が下の子達の面倒をみるのが日常らしいですから」
少年が私に近付いたことを警戒して、傍まで来ていたビエラがそう言う。
「一人で森に行き薬草摘みをすると思って心配したって事?」
「ええ。恐らくそうでしょう」
「ふーん……」
****
シャルトウルフが出現したという森は、街から出てそう遠くなく、私とビエラが身体強化して走ると五分程で着いた。
位置的には、街の農場が広がる地区の真横の森、おそらくこの辺りの農場の家畜を食い物にして討伐依頼に出されたのだろう。
「農家の方にどの辺で目撃があったのか聞いてみましょうか?」
ビエラがそう言って近くで牛の世話をしていた農家の人に話を聞くと、昨日はこの森を入って歩いて5分程のところで目撃があったという。
「かなり出現率が上がっていて家畜の被害も多く困っているそうです。牛も羊も短時間のみ外に出るだけで、ほとんど舎内に入れるのでストレスが溜まって状態が良くないとか……」
ビエラから収集した情報を聞いている最中に、家畜たちの断末魔と叫び声が響いた。
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