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20、初依頼を受けに

ブックマーク、評価ありがとうございますm(*_ _)m

  下街の街路樹から落ちた落ち葉で赤や黄色の絨毯が敷かれ、人々がザクザクと踏み鳴らしながら歩く音が響く。

  道行く人々の幾人かは冬の装いをしていて、衣替えの時期であることが伺えた。



(衣替えに合わせた冒険者服も必要そうですね……冒険者ギルドでお願いできないかしら?)


「そういえばどちらへ向かわれるのですか?」



  ビエラが隣からそう話しかけてきた。



「敬語もなしだよビエラさん!僕の方が年下なんだから」


「わか……った。で、どこに行くの?」



  今日は距離を置いての護衛ではなく一緒に歩いてもらっている。


  ビエラは、私が昨日冒険者ギルドに行った事やあったことを教えてあるし今更隠してもしょうがない。

  距離を置いての護衛では、昨日の事があるのでビエラを心配させるだろうし、ビエラも冒険者服なら一緒に居ても違和感ないはずだと思ったからだ。



「冒険者ギルドへ行くんだ。何か依頼でも受けてみようと思って」


「依頼ですか。では、薬草詰みや街の手伝いなどですかね。確かに下街を知るには有効そうです」



  私は魔物討伐依頼を受けて外に行くつもりなのだけれど……なんだがビエラの考える依頼とズレがあるような?



「……ちなみにビエラさんって冒険者登録してるの?冒険者服持ってるし勝手にしているものと思ってたんだけど……」


「いえ、持っていませんね。騎士団に居るものは騎士の証明証がありますから身分証として冒険者カードを発行する必要もありませんし。騎士の仕事は毎日あり、冒険者依頼を受ける余裕などありませんから登録の意味が無いのです」


「じゃあ、騎士の人は冒険者カード持たないんだ?」


「持っている者も居ますよ?冒険者として実力を付けそれを認められて領主に引き抜かれた者などですね。騎士引退後も冒険者カードは使えるので所持しているようです。内では騎士団長ですね」


「ブラビア団長は冒険者でもあるの!?」


「そうですよ。団長はレストルーチェ公爵にその実力を認められて騎士爵を与えられ、騎士団に入ったのです。冒険者カードは更新手続きだけ続けているようです」

 

「なるほど。騎士として実力を保っているなら更新手続きも余裕で通過だね!」



 ****


  騎士と冒険者カードの話をビエラとしているうちに冒険者ギルドへと着いた。

 

  前回来た時と違いまだ朝早い時間なので冒険者の出入りも多い。

  剣、弓、斧様々な武器を所持した冒険者達がギルド内にも沢山居た。


  今日は昨日の反省から左の片開きの扉から入ったので、入った直後に注目を浴びるようなことは無かった。


  私は冒険者ギルド左側にある依頼ボードへ真っ直ぐ進み、Cランク討伐依頼のボードを眺め始めた。



「フィル?そちらはCランクのものです。Gランクはあの端ですよ?」


(いいのいいの私はCランクだし)


「そうだぜそのボードは俺らみたいな先輩が使うボードだ。坊主どきなっ」



  ビエラが怪訝な様子で私に注意したすぐに、Cランクと思しき剛毛の熊のような男が、私にそう言いながら肩を持ち払い飛ばそうとした。


  私はその男に肩を掴まれる前にパシンッとその丸太のような腕を払い除けた。



「あ、ごめんなさい。勢いよく来るものだからつい……」



  私がそう謝罪すると一部始終を見ていたらしい周囲の冒険者達がその大男を皆、小馬鹿にする。

  その嘲りに頭が沸騰していく大男の怒りは私に向けられた。



「舐めたマネしてくれんじゃねーかっ!」


「お嬢様っ!」



  大男が私に殴りかかろうとするのをビエラが庇うように前に出るが、無関係なビエラを巻き込むのはお門違い。


  私は、身体強化をかけて速度を上げ、大男の拳を払い除けてから回し蹴りをし、人集りに突っ込まないうちに先回りして受け止めてから肘打ちで床に縫い止めた。



「謝罪したのに逆上して暴力振るおうとかしないでくださいよ……先輩?まして彼女は無関係なのに勢いのまま殴ろうとしたでしょう?」



  ついつい冷たい表情でそう言うと、大男は床にへばりついたままガタガタと震えた。

  嘲笑って居た傍観者たちも言葉を失っていたが、その中の誰かが言った。



「あの子……昨日、冒険者本登録でCランクになった子じゃないか」



  その呟きに周囲はざわめき始めたが、私は早く依頼を受けて街の外に出てみたい。

 

  私は大男から離れると再びCランク討伐依頼ボードを見に行った。


  私の行動より冒険者の言った呟きの方が気になったらしいビエラが呆然と言った。



「Cランク……?お嬢様が……」


「あれ?ランクは伝えていなかったっけ。そうだよ?私、Cランクになったんだ。今日は街の外に出てみたいからついでに討伐依頼でもと思って。それよりビエラさん?僕、お嬢様じゃなくてフィルだよ?」


「あっ……え?Cランクの討伐依頼ですか!?」


「そう。何がいいかな?ビエラさん」



  私には、魔物の名前を見ても実物を知らないのでどのくらいの実力の相手なのか分からない。

  その点、騎士団で魔物討伐にも当たるビエラなら魔物にも詳しいはずなので今日は来てもらって良かった。


  今度、一人でも魔物の名前と実物が一致するように魔物図鑑とか読めないかしら?


  冒険者達が昨日の実力試験の事も含め騒めき、ビエラが呆然としている中で、私はひたすら討伐依頼ボードを端から眺めていった。

続きが読みたい、応援したいと

思っていただけましたら

ブックマーク、評価★★★★★のほど

よろしくお願いします(´∀`*)

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