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19、ビエラを護衛に

 時折凍える程の風が吹く中、秋空は澄み渡って朝日が紅葉を輝かせている。

  汗をかいたら冷えてしまいそうな訓練場で騎士達は早朝訓練をしていた。


  ビエラは騎士達の剣の打ち合いに直接指導をしているようだ。



「ビエラ〜!」


「お嬢様、おはようございます。お嬢様も早朝訓練をしにいらしたのですか?」


「ううん。ビエラにまた護衛をお願いしたいと思って来たの……」

 


  私がビエラに護衛をお願いしに来た旨を伝えると騎士達は「えっ副団長を連れて行っちゃうの?」という反応を見せた。



「……だけれど、忙しそうね」


「何をおっしゃいますか!お嬢様の護衛以上に重要な事がレストルーチェ騎士団にあるはずがありません。お前達、自主練習くらい出来るだろう?」


「「はいっ」」


「え?騎士団長さんは居ないの?」



  確かに見渡して見ても騎士団長ブラビアの姿が見えない。



「ブラビア団長は本日休暇を取り、アルファと稽古をすると聞いています」


「アルファと……」



  私が騎士団にはじめて顔を見せた時に手合わせをして、その時すこし親子間がギスギスしていたが少しは改善したのだろうか?


  私が思っている事を顔に出していたのかビエラは微笑んで知りたい事を教えてくれた。



「アルファはお嬢様の手合わせ後ずっと真面目に剣術稽古をしていたのです。ですが、あまりに焦って空回っているようだから見ていられないと団長がおっしゃってました。アルファは団長との稽古、嬉しそうにしていましたよ」


「そう……よかった」



  親子間がギスギスしてもちゃんと親から寄り添って修復もするのね。

  皇族のあの親子間もそうしたら何とかなるのかしらね?

  もうあの皇子に振り回されるのは御免なのだけれど。



「あ、じゃあビエラを連れて行ってしまうと指導者が誰もいなくなってしまうのね?……それじゃあ外出はーー」


「ご心配なさらず。先程申しました通り、お嬢様の護衛が第一優先です。お前達、出来るな?」


「「はい!」」



(そこまで言うなら今日はお言葉に甘えてしまおうかな?でも何とか埋め合わせ出来たら……)


「そうだ!今度、私がみんなの訓練をみてあげる!」


「え?お嬢様がですか?」


「そう!剣術はまだまだだけど身体強化なら多分教えられるわ!だから、今日の分が取り戻せるくらいに今度、騎士団全員を魔力訓練するの!」



  私がそう言うと指導者が抜けることに少し不安を感じていたらしい団員達の目が皆輝いた。



「お嬢様がよろしいならお願いしたいところですが……」


「任せて!でも、今日はビエラ連れて行っちゃうね?」


「「はいっ!行ってらっしゃいませ!」」



 ****


  私はビエラに下街へまた行く事を伝え、着替えに行ってもらった。



「私も着替えなくては、闇収納に冒険者服はしまってあるから取り出して……部屋に着替えに戻らないと」


『影の中で着替えれば良いだろう』



  その声に反応して下を見ると、私の影から希闇がひょっこり身体を乗り出していた。



(希闇私の影の中にいたの!?影の中でって……影移動の時みたいに影に入るってこと?)


『そうだ。移動しなければ魔力を多く消費する心配もない。安心して更衣室として使うといい』



  そう言われて私は希闇の精霊魔法で影に入る。


  希闇が加護をつけてくれているおかげで以前と変わらず闇の中でも見渡すことが出来る。


  だが、いくら影の中を見渡しても闇に入れた冒険者服と冒険者カードは見当たらない。



(ない……冒険者服とかが入っている闇とは違うの?)


『別だな。闇や影は混ざり同じに見えて個々に違う。闇に入れた物はここでも取り出せるから闇収納をここで使えばいい』



  私は闇収納を使った。


  影の中の闇世界でさらに一部分だけ闇が濃縮されたように濃くなる。

  私は冒険者服と冒険者カードを闇収納から取り出すと希闇に振り向いた。



(着替えの時は向こう向いていてね?)


『し、心配せずとも着替えを覗いたりなどせん!』



  私は着替えを済ませると、元着ていた訓練着は闇収納に仕舞って、地上の元居た位置に近い所の木の影に出た。



(影の中で色々出来るのすごく便利かも……)


『いつでも利用するといい。我はいつでもそなたの影に居るからな』


(え、いつも居るの!?)


『心配せずともプライベートを覗いたりはせん!』



  毎回、照れた様子を見せる希闇に薄笑いしていると着替えを済ませたビエラがやって来た。



「とても楽しみにしてらっしゃるようですね?」


「っ……うん!もちろん!さ、行きましょうビエラさん!」



  違うことを考えている時に突然話しかけられたことで驚き、無駄に慌てながら冒険者ギルドへと向かった。

続きが読みたい、応援したいと

思っていただけましたら

ブックマーク、評価★★★★★のほど

よろしくお願いします(´∀`*)

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