15、実力試験2
ブックマーク、評価をいただきありがとうございます(*´ω`*)
やっと書きたい感じのところが書けて嬉しいです。
身体強化を使って実力試験を受けていることを副ギルド長に見抜かれた。
いや、私が身体強化し続けていることもはじめから気付いていたのではと思う。
彼は、私が身体強化のみならず魔術も使えるはずだと確信を持っているように見える。
「他の者達には魔術を見せたくないという事でしょうかね?では、せめて私と二人だけで実力試験を受ける場でなら見せてもらえませんか?」
「……どうしても見せなくてはならないと?」
「いえ、手の内を明かさないというのは大事なことと思っていますし、ギルドでも本人の力を深く詮索しないものとしています」
「ではーー」
「単なる興味ですよ。私も一端の魔術師ですからね。まぁ、その結果次第で本登録冒険者にする事も考えますから。ね?悪くは無いでしょう?」
副ギルド長にだけ……でも、この人は信用できるのだろうか?
人の力を深く詮索しない決まりがあるなら嫌なら断るという事も可能という事。
でも、この人次第で本登録冒険者になれるかどうかが決まる……。
私は、ため息を吐いて副ギルド長の目を見、返事をした。
「わかりました。副ギルド長と二人だけでの実力試験なら受けます」
私がそう答えると、副ギルド長はにこやかに試験場に居た皆を退出させる。
冒険者達は皆、この後に行われる実力試験を見たくて後ろ髪引かれていたが、副ギルド長の笑顔に何も言い返せずに退出して行った。
(……副ギルド長、冒険者達に恐れられているのかしら?まぁ、実力があるから副ギルド長しているのでしょうしね……)
冒険者達が全員退出した事を確認すると副ギルド長がこちらを振り向いた。
「では、実力試験をはじめましょうか。その前に注意を……この施設は見ての通りただの石壁で出来ています。壊れても直せますが、出来れば壊したくないので出力の高い魔術の使用は出来れば控えてください」
「……まるで、僕が弱い魔術しか使えない子供ではなく、高火力の魔術を放つ危険人物のようにおっしゃいますね」
「見えるんですよ……。あなたの内包する魔力がその歳では考えられない程に濃縮されとても濃く渦巻く様子が見えるのです」
「魔力圧縮をしているから高火力を出せると確信していたということですか……」
「それに加えて、身体強化をしている魔力の完璧な制御ですね。強い魔力を持ちコントロールもいいとなれば相当の実力があると見ました」
やはり、副ギルド長は私の事をよく観察し、見抜いている。
これは、魔法士である事を隠してもしょうがないかもしれない。
「わかりました。はじめましょう副ギルド長」
私がそう言うと副ギルド長は短い棒を構え、自身の魔力で作った光の線で陣を描き始めた。
私は、その様子が面白くてじっと眺め続け、そう時間をかけずに副ギルド長が描き終えると陣に魔力が流れ始める。
「陣を描く素振りすら見せないなんて、そんなに余裕なのですか?」
副ギルド長がそう言うなり陣からバスケットボール程の大きさの火の玉が飛んでくる。
(熱いのは嫌だなぁ……)
私は、魔素魔力を創り出してその火の玉に向けてそれを上回る大きさの水弾を飛ばす。
火の玉は、ジュウッと音を立てて蒸発した。
「今……あなた。まさか、魔法士なのですか?」
「そうです……だから、人には見せたくなかったんですよ。副ギルド長にもくれぐれも口外しないでいただきたいです」
「ふふふはは。口外なんてしませんよ!人に言ってしまうよりあなたの信頼を得て色々と聞ける方がよっぽど有意義だ。魔法士なら遠慮なくいきますね!」
「遠慮なくって……石壁壊すなって言ったのは副ギルド長ではないですか……」
副ギルド長の頭上には、先程と同じ陣が三つ浮いている。
「無筆展開。そこそこ極めた魔術士でないと出来ない技術です。それを複数展開というのはさらにーー」
「いいですねそれ」
私は魔素魔力を使い、見様見真似で同じ陣を魔素魔力で六つ描いてみた。
(同じ陣だから恐らく火の玉でしょうから同じ数だけ用意しても火力負けしそうですからね。倍なら勝てるでしょう)
「え……君、魔法士なんじゃ……」
「魔術はまだ習っていないのです。でも、その陣は、今見せてもらいましたから」
「撃てなければ意味はありませんけどねっ。いきますよ!」
彼は、 私が魔術を習ったこともなく見様見真似でやっただけと知って少し自信を取り戻したようだ。
副ギルド長は陣を発動させ火の玉を3弾同時に撃ってきた。
「では、迎え撃ってみましょうか」
私は副ギルド長の放った火の玉と大してタイミングをずらさずに一つあたり二つ火の玉を撃つ。
爆風が熱くないように魔素魔力で自身に水の護りを張ることも忘れない。
「……こちらが押し負けるほどですか」
爆風が止み現れた副ギルド長は、私の火の玉の方が勝ったためより強く爆風を受けたようで、ローブも服もチリチリと燃え落ちている。
「あれ?副ギルド長、爆風から身を守る魔術は展開しなかったのですね?」
「君は……守りの魔法を張ったというのか?あの短時間に?……さすが魔法士」
副ギルド長にとって驚愕の事だったようで、ボロボロの格好で目を見開く。
そして、悔しそうに唇を噛んだ。
「くっ!私とて全力を出してはいない!」
そう言って副ギルド長は、先程とは違う陣を宙に四つ創り出す。
私はその陣を真似て、その倍の八つの同じ陣を宙に創り出した。
この陣は水の魔術だったようで、撃ち負かされた副ギルド長はずぶ濡れになる。
けれど、諦めがつかないのか引けなくなってしまったのかまた違う陣を次は五つ創り出す。
私はそれをまた真似て、倍の十創り出す。
そんなやり取りを続けて私の創る陣が十四に達した時、撃ち合う気力すら無くして副ギルド長は膝を折った。
「勝てない……もう、魔力もストックの魔力石も残っていない。なんで……なんでお前はまだ撃てる!?」
「なんでって……今使ったのは、僕自身の魔力ではなく魔素からつくった魔力ですから。魔力が空になることはありませんね」
なんだかこのやりとり、以前もした気がします。
続きが読みたい、応援したいと
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