12、やりたい事へと走り出す
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どうか今後のフィリセリアもお見守り下さい。
私は、レストルーチェ騎士団副団長ビエラ・パナソニア。
本日は、街をお忍びで一人歩きなさりたいというお嬢様の願いを叶えるため、距離を撮っての護衛に付いていた。
(見失ったっ!?なぜ突然……?)
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お嬢様は、貴族街を少し面白くなさそうに足早に通り過ぎ下街へ出ると、それは嬉しそうに目を輝かせて街の雰囲気を楽しんでいらした。
ひと通り大通りを回ったかと思うとさらに二周もして飽きること無くはしゃいでいたかと思うと、平民居住区の前で立ち止まる。
(何を考えてらっしゃるの?その先に何があるのか気になるだけかしら?)
私がお嬢様の考えを推し量れずに居ると、しばらくして何が諦めがついたのか大通りの方へと振り向いた。
そしてーー
(お嬢様に見つかってしまいましたね。あら?目を丸くして、はしゃいでいたのを見られていた事が恥ずかしくなられたのかしらーー)
「えっ!?」
お嬢様は、人の隙間から見える私をじっと見ていたかと思うと、目を輝かせて突然走り出した。
全身身体強化まで使ってーー
「なんだなんだ!?」
「なに!?何かすごい速さで走って行ったわよ!?」
「誰か家畜でも離しちゃったんじゃないの?」
「いや。あの速さは魔物だろ!」
「うそ!?魔物!?」
お嬢様の姿までは目で追えなかった人々が軽く混乱いる。
(っ!それより先にお嬢様を!)
私は、街の混乱よりお嬢様を追うことを優先し、すぐさま足に身体強化をかけ消えた方向に走り出す。
だが、日頃の稽古でも打ち合いの間合いでやっとお嬢様の速さについていける程度の私では、この距離が開いた状態ではまるで追いつけなかった。
(見失った!?なぜ突然……?)
お嬢様がなぜ、身体強化までかけて突然走り出したのかわからない。
私を見てから目を輝かせてはしりだしたが……ひとまず私は街の混乱を落ち着け、それからお嬢様探索に移ることにした。
(自らの意思で走っているようでしたし、お嬢様ならきっと大抵の事は大丈夫ですよね?)
****
石造りの壁に木製の1階建ての高さのある大きな両扉、その両隣りには木製の片扉がある。
そして建物正面の大両扉の上には、鉄細工で作られた剣と盾と羽の印章。
「冒険者ギルド……。扉三つ?どの扉から入らないといけないみたいな決まりがあったりするのかな?」
それほど人の出入りがないのは、皆早朝に依頼を受けて街の外へ行ってしまうからだろう。
人に訪ねたくても冒険者らしき人は、ギルドの外に見当たらない。
(まぁ、入ってからギルドの職員にでも聞いて今度からはそうすればいいわよね!知らないんだもの!聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥)
私は、正面の両扉を押して冒険者ギルドへ入った。
「おい、あの子……」
「嘘だろ?あんな小さな子があの扉を?」
中に入ると四つの窓口があり、左二つは学校の机分くらいの窓口。その右は、小さい窓口。さらに端の右は、大きな台がある窓口だった。
(左から受付、受付、支払い、買い取りって感じかしら?)
さらに左右に階段があり2階へ上がれるようだ。
左の上は分からないが、右の上は食堂になっておりこちらからも見える通り、1階を見渡せるようになっている。
(知り合いが来たらわかりやすいようにかしらね?)
そうやって私がギルド内部の観察を続けていると、右の食堂の階段から人が降りてきた。
騎士団長のブラビアのようにガタイのいい、髪も目も黒茶の髭おじさんだ。
「あ〜……どちらのお坊ちゃまで?用が……ご要件がおありでしたら、左の窓口へ……」
ガタイのいいおじさんが、のしのしと来たかと思えば背中を丸まらせてできる限り丁寧に案内をしてきた。
私は、一瞬目を丸くしてしまったが、自分の服装でいい所のご子息だと思われたんだろうと思い、気を取り直して返事を返す。
「依頼があって来たわけではないのです。僕ーー」
そして私は、目を輝かせておじさんに言った。
「冒険者になりたいのです!!」
続きを読みたい、応援したいと
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