6、屋敷の案内と狩りの朝
皆さん昨日夜中の大地震大丈夫でしたでしょうか?
;;(∩´~`∩);;
皆さんに何事もない事を願います。
訓練場を後にしてすぐ、ランセインは領主代行の仕事に戻らねばならないとの事で別れた。
その代わり、爺やが屋敷内の案内をしてくれるらしい。
「申し遅れました。私は、こちらの公爵邸で筆頭執事をしておりますプリズマ・クラステスと申します。どうかお見知り置きを」
そう言って、白髪の老人が自己紹介をした。
(やっぱり筆頭執事だったのね。よく見たら白髪だけど少し薄紅色っぽいのね?元は、赤髪だったのかしら……)
「これからよろしくお願いしますわプリズマ」
この領地にある公爵邸の敷地は、帝都郊外に合った屋敷より更に広く。客室の数も庭の広さも何もかも規模が大きい。
公爵邸は、坂造りの街並みの一番高いところに位置するが、街側の反対側の山斜面から先の全てが公爵邸の敷地らしい。
「裏の山もその先の森も川も湖も?」
「左様でございます。山も森も公爵家の敷地は全て、常に騎士団が魔物のが近づくことの無いよう見回っておりますからご安心くださいませ」
「そう……では、公爵家の敷地内では魔物狩りが出来ないのね……」
「そのように残念がる御令嬢はお嬢様くらいでございましょうな」
「本当にそう思います!普通の令嬢なら安心して胸を撫で下ろすところですよ!」
敷地内の山や森に魔物が居ない事を残念がると二人にそう言われてしまった。
だって、魔物狩りのために領地へ来たんですもの。そう思うのは普通よね?
私は、アルファとビエラに手合わせしてもらっただけでは体を動かしたりないので訓練をしたかったのだけれど二人に止められた。
「あんなに激しく動いたのにですか!?もう、ゆっくり休んでください!」
「長旅の後ですので、本日のところは身体を休められてはいかがでしょう?」
私としては、馬車移動の間ずっと魔力操作の訓練くらいしかしておらず退屈しているのだけれど。
まぁ、ガタガタ揺れる馬車対策で椅子と自分の間に空気のクッションを風魔法でさりげなく作るくらいはしていたけれどね?
結局二人に止められてしまったので、敷地内の説明と歓迎の山や海の幸をふんだんに使った夕食を味わっただけで到着初日は終わった。
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翌日、私は魔物狩りが楽しみでいつも以上に早起きをしてしまい、朝早くから魔力操作の訓練をしていた。
(今日は魔物狩り〜ふふっ)
『ずっと楽しみにしてたもんな!私もやるぞー!』
『翡翠はダメですよ。ビエラという人がついて行くのですから下手に精霊魔法を見せてはいけないのでしょう?』
(そうよ。翡翠は悪いけど我慢してね?)
『私はいつも通りフィリスが疲れり怪我したら癒しますね?』
(お願いね白妃)
『ずるいずるい〜』
白妃の言う通り下手に人に精霊魔法を……魔法もですけれど、見せるわけにいきません。
けれど、本音を言えば魔法も使って魔物狩りをしたいんですよね……。
(ビエラだけなら……いやいや、知り合ったばかりなのに打ち明けるのは……まだ信頼できないな)
当分は、剣技の訓練とでも思って身体強化で魔物を倒していくしかないなと考えながら魔力操作の訓練を続けた。
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朝リリアが部屋に来てすぐに訓練着に着替えさせてもらう。
持ってきた訓練着は、青、ピンク、緑を一着ずつだったはずだが、見覚えのない訓練着に私はアレ?と思った。
「あら?この藍色の訓練着は始めて見ますね?」
「昨日のうちに領内の服飾店で急ぎ作らせた物ですよ。こちらにいる間は青いお召し物だけとの話でしたから、訓練着を最優先に普段着も何着か既に注文してあります」
「さすがねリリア!特に訓練着最優先ってところ、よく私の事を知っているリリアならではだわ!」
「もちろんですわ。ずっとフィリセリア様にお仕えしていますもの」
リリアには本当に世話になっている。きっと私はお嫁に行くにも彼女を連れていくわね。
でも、リリアも結婚しなきゃならないからずっとは無理かしら……。
私はその訓練着を着て、髪も邪魔にならないようリリアに結ってもらい訓練場へと向かった。
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「おはようございますお嬢様。お早いですね」
「ビエラも早いですね。早朝訓練でもなさっていたのですか?」
訓練場には、既に軽く汗をかいたビエラが居た。他の騎士団員の姿は見えないので、騎士団として早朝訓練があるわけではなさそうだ。
「はい。朝の空気の中、訓練をするのはとても気持ちいいので毎日行っているのです」
「まぁ!素敵!私も参加したいわ!私も早朝訓練に参加しても良いかしら?」
私がそう言うとビエラはリリアの方に目線を送った。
早朝訓練に参加するとなると、私の朝の支度をリリアがする時間も早まる事になるため心配したのだろう。
「ビエラ、心配しなくても大丈夫ですよ。朝の支度くらい自分で出来ますもの」
「いえ、フィリセリア様!そこは私にやらせてください。朝のお支度の時間が早まっても大丈夫ですから」
ビエラはそんな様子を見て、自分の支度もまだままならないお嬢様が「私できるもん!」状態で意地を張っていると微笑ましく見ていた。
だが、実際は以前、翡翠に手伝ってもらって完璧に身支度をした件をリリアが未だに悔しく思っており、必死に止めているだけである。
「わかったわ。リリアがいいならお願いします。では、ビエラ!早速魔物狩りへ行けますか?」
「はいいつでも。お嬢様の実力は存じていますが、はじめは初心者向けの狩場へ行きますね」
「はい!ではリリア、留守は頼みます」
「はい。こちらで過ごす服や周辺の整頓をしながら待っています。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
こうして私は初めての魔物狩りへと向かった。
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