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5、お嬢様の腕試し2

読者の皆様、お読みいただきありがとうございます!

ブックマーク、評価を励みに頑張ります!

  騎士団員たちは、もう私の事を貴族のご令嬢が興味本位で騎士団に手合わせを頼んだとは思っていないようだ。

  どの団員も真剣な様子で私と副団長であるビエラさんを見ていた。


  静かにビエラさんが私に向け剣を構えると両者準備が整った。


  私とビエラさんが両方準備できた事を確認して、ブラビアが声をかける。



「では……はじめ!」



  私は、先程と同じく素早さ重視で真っ先にビエラの首元に向けて剣を左から右へと横に振る。

  だが、それをビエラは瞬時に伏せて私の左側へと回り込む。


  私は、それに気付いて直ぐに右の方へ飛躍して距離を取り直す。



「やはり独学なのもあって攻撃が単調ですね?素早さだけでは、対人戦には向きませんよ?」


「対人戦を目的としていませんからね。でも、対人戦もできるよう訓練するのも面白そうですわ!」



  私は、そう言うなりビエラに斬りかかりに行く。だが、幾度となく剣をビエラに向けて振るがそのどれもが彼女に防がれる。



「やはり、速さはありますがそれだけですね。動きに読みは無いし、実に単調です。こちらからもいかせてもらいますね」


「はい!」



  そう言って今度は、ビエラが先制して攻撃を打ち出していく。

  私は、身体強化で全身強化しているため十分に目で追えるし、速さもついていけているためその攻撃を難なく受ける。


  お互いに決め手が無いままの打ち合いが続いた。



「あの歳でこんなにも長時間の身体強化ができるとは……」



  そうブラビアが呟いたのが剣戟の途中で聞こえた。



(速さだけしかない……か、技術は元から無い。なら、力で補う他ありませんよね?)



  私は、さらに身体強化を強めてビエラの剣を受けそのまま弾き返した。



「っ!」



  ビエラは私の反撃を受けて数メートルほど強制的に後ろに下げられる。



「まだまだ行けますわ!」



  私はそう言ったがビエラさんの方は剣の構えを解き、鞘へとしまった。

  そして、ビエラさんはブラビアさんの方を向く。



「ブラビア団長、もう合格で良いかと」


「そうだな」



  私は「あれ?続きは?」と思っていたが、ふたりの会話で、これは私が魔物狩りをしていいかの腕試しだったという事を思い出した。



「合格……なら、魔物狩りへ行っても?」



  私が期待で輝いた目で騎士団長を見ると彼は頷いた。



「対人戦では通じないが、魔物相手であれば通じるだけの力がある。その上、あれだけ長く全身強化もできて速さがあるなら最悪逃げ出す事も可能だと判断した」


「けれど、私も同行させてもらいますよ?」


「ビエラが?」



  私が聞き返すとビエラは頷いた。



「騎士団長には、隊に居てもらわねば困ります。かといって他の者では、お嬢様についていく事ができないでしょう」


「「そんなっ!我々でも!」」


「……お嬢様は、全身身体強化をしながら森を走り回って魔物を倒すおつもりでは?」


「その通りよ?」



  私がさもありなんと答えると団長を除く騎士団員全員が絶句した。

  そして、団長が続きを口にする。



「まぁ、他の奴らじゃそんな長時間の身体強化をし続ける事もそれについて行くことも出来んな」


「はい。ですので、お嬢様には私が同行致します」


「……わかった。許可しよう」



  騎士団からは、十分な実力ありと判断してもらえた。

  これで障害は無いだろうと私は、リリアとランセインに笑顔を向けた。



「十分な実力ありと認めてもらえましたわ!」


「まさかフィリセリアお嬢様が、ここまでの実力をお持ちとは思ってもおりませんでした……」


「フィリセリア様……お強かったんですね……」



  2人とも素直に凄いと感激するというより、まさかこんな結果になるとは……という感情が滲み出ている。



「2人ともいいでしょう?約束通り実力は示したもの!」


「そうですね……いいでしょう」


「副団長さんが付いてくれるなら……どうかフィリセリア様をよろしくお願いしますパナソニア様」


 

  私は2人が認めてくれた嬉しさのままにビエラの方をクルリと向いた。



「では、行きましょうビエラ!」


「お嬢様……すぐ、ですか?」


「そうよ!だめ?」


「お嬢様は、ずっと全身に身体強化をかけていましたよね?もう魔力が尽きるのでは……」


「いいえ、全然。最近は、半日ほど身体強化をかけたまま訓練していても疲れませんもの。多分、無理をしなければ丸一日だって持ちますわ!」



  私がそう言うと、団員達は皆顔を伏せたり天を仰ぎ、ブラビアとビエラは頭を抱えた。



「お嬢様……このまま付き合いますと私の魔力の方が尽きそうです。魔物狩りは、明日でもよろしいでしょうか?」


「そう……なのね。ごめんなさい。つい浮かれてしまったようです。仕事の引き継ぎもあるでしょうに無理を言いました」



  ビエラは、私と会う前も団員達との訓練や通常業務で疲れていたはず。

  その上で、腕試しに付き合わせたというのに無理を言ったなと私は反省した。



「そんな!謝りなどなさらないでください。私の力が至らないのが原因なのですから!私、より一層の努力をしてお嬢様についていけるように致します」


「ありがとうビエラ。では明日、楽しみにしております!」


「はい。承知致しました」



  こうして無事、魔物狩りへ行く許可を得た。

  私は、自らの剣に目を向けて領地に来た最大の目的を無事達成出来そうだという嬉しさを感じた。



  (ようやく実践ができます!そうだ、魔物狩りは魔法も使いたいのですが、どうしましょう?)



  そんなことを考えながらリリア達を連れて公爵邸の訓練場を出た。


続きが読みたい、応援したいと

思っていただけましたら

ブックマーク、評価★★★★★のほど

よろしくお願いします(´∀`*)

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