表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/168

3、領地の公爵邸

ブックマーク、評価ありがとうございます!

m(*_ _)m

  レストルーチェ公爵領へ入った馬車は、門外審査もただ確認を取るだけであっさり通り抜け、街の中を進んでいた。


  公爵領に入る時に、景色を見るため開けていたカーテンは、そろそろ街が見えてきたという辺りで閉められた。


  道行く人々は、馬車の側面に掘られている公爵家の紋章を目にしては道を立ちどまり、馬車にお辞儀をして道を譲る。


  馬車が通り過ぎた道では、人々がざわついて「公爵様がお帰りになられた!」「なんて立派な馬車」と口々に言った。



「せっかく街中を走っているのに街の情景が見られないのは残念ね」


「まだ、お披露目が済んでいませんもの。公爵家にフィリセリア様が居らっしゃることを領民にも知られるわけにはいきません」



  街の様子は音声のみでお楽しみください状態だ。


  それでも街のざわめきが新しい見たことも無い所へ着いたのだと感じられ、嬉しく思えた。


  馬車は、街へ入ってから1時間ほどで公爵邸へと辿り着いた。



 ****


  屋敷に着き馬車を降り、領地公爵邸へ踏み入ると帝都校外の屋敷を出た時と同じように玄関ホールに、公爵邸の使用人達がズラリと整列して出迎えてくれた。



「お待ちしておりました。フィリセリアお嬢様。私、公爵様の命で領主代行を行っておりますラルセイン・グランドと申します。以後お見知りおきを」



  そう言ってお辞儀する領主代行のラルセインは、青の髪に黒い目、眼鏡と口髭の似合うダンディーなおじ様だった。

  齢4、50歳ぐらいだろうか?まだ、バリバリの現役な感じがする。


  私は、これから世話になるラルセインとその後ろに並ぶ使用人たちに向け青のドレスでカーテシーをして丁寧に挨拶を返した。



「シディス・レストルーチェ公爵の娘、フィリセリア・レストルーチェです。しばらくの間、こちらにお世話になります。どうぞよしなに」



  私がそう言って笑みを皆に向けると、ラルセインも含め全員が呆気にとられたような反応を見せた。



「……いやはや、公爵様がお嬢様は4歳にしてとても利口でよく出来た娘だと御自慢なさっていましたが……。話に聞いていた以上に素晴らしいお方のようだ」



  ラルセインがそう言い、屋敷へと私を案内した。


  私の後からリリアと先程の整列で一番前にいた白髪のお爺さんが着いてくる。

  おそらく彼が、ここの筆頭執事なのだろう。



「お嬢様の御髪は、綺麗な青色をしているのですね……」



  屋敷に入るなりフードを取り、リリアに上着を預けていると私を見ていたラルセインがそう言った。


  今日は、青色のドレスを着ているので確かに髪は青色に染っている。



「いえ、私の本来の髪色は白銀なのです。変わった髪でして、周囲と同じ色に染まる髪。知るものには、ミラージュヘアと呼ばれています」


「ミラージュヘア……なるほど。では、この公爵邸で過ごす間のお嬢様の服は全て青系統で統一致しましょう」


「青い服だけ……なるほど、私の髪色は青だと印象づけるのですね?それは、ラルセインの髪色に合わせてという事でしょうか?」


「本当に賢いお方だ。その通りです。青い髪でしたら私の青の髪と同じですから、遠縁のものだと言っても通じやすいかと」


「わかりました。リリア、向こうから持ってきた服もあるのに悪いけれど、さっそく青系の服を用意するようにしてくれる?今来ている青に近いものでね?あと……薄いのと藍色くらいのも」


「わかりました。持ってきたものの中にも青い服やドレスがありますからそれを残し、他は街で調達してきますわ」



  リリアは、そう言って快く引き受けてくれた。



「お嬢様は、こちらでなにかしたい事はございますか?街へのお忍びも美味しい海山の幸料理も予定してはいますが……」


「っ!森へ魔物狩りへ行きたいですっ!!」


「「えっ」」


「なっ」



  私がずっと楽しみにしていた事を口にすると、リリアもラルセインも驚きの声を上げ、後ろを黙って着いてきていたお爺さんまでも声を上げた。



「何を言い出すのですかお嬢様!危険すぎます!」


「だってずっと楽しみにしていたのよ?訓練用の服や剣も持ってきているでしょう?」


「お嬢様が羽を伸ばせるように配慮せよとのお言葉は頂いていますが、魔物狩りは危険すぎます」


「そのために来たのに……」



  リリアとラルセインが私の事を止める中、お爺さんは後ろから静かに観察し、そして提案した。



「フィリセリアお嬢様に十分な実力があると証明出来れば、騎士団のものを護衛につける事を条件に許可しては?」


「!!ありがとう爺や!」



  私は、その提案に感激して思わずお爺さんを爺やと呼び感謝した。

  リリアとラルセインは、不安と不満が混ざった顔で互いを見合うと答えを出した。



「……お嬢様に十分な実力がお有りなら、ですよ?そして、騎士は絶対に付けさせてもらいます」


「十分な実力なら、ですからね?心配が少しでも残るようなら無しですからね?」


「もちろん!自信あるから安心して!」



  私が意気込む様子を見て、爺やは「待ちきれない様子ですな、直ぐに騎士団を収集致しましょう」と言って去った。


  私は、ラルセインの案内で自室まで来てリリアにさっそく訓練着に着替えさせて貰っている。



「着いて早々、フィリセリア様に着せるのが訓練着になるとは思っていませんでしたわ……」


「ふふっ。私はとっても楽しみよ」


「持ち込んだあれこれの片付けは後にして、力試しを私も見に行きますからね?」


「ええ、もちろんよ!片付けは後にしてリリアも来てちょうだい」



  着替えを済ませた私は、リリアと共に公爵家の騎士達が収集されている外の訓練場へと向かった。

続きが気になる、応援したいと

思っていただけましたら

ブックマーク、評価★★★★★のほど

よろしくお願いします(´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ