1、暇の予定
第2章です(´・ω・`)
皇城での火災からは、特に大事もなく過ごし私も4歳半となった。
ファディールとの面会もこの間したが、産まれたての時と違い、ふっくらとしてきて赤ちゃんらしく?なっていた。
まだまだ、首も座らず母様の腕で横抱きにされていたファディールを私も抱っこさせてもらった。
私は、何をするにも人の手を借りないといけないファディールを見ながら、早く一緒に魔力訓練が出来たらいいのになんて思った。
5歳のお披露目まではあと半年、既に勉学は中等学年分まで進んでいる。
皇城へ行って以来、活かす機会の来ない礼儀作法も合格点をもらっていて問題ない。
今すぐに、お披露目があっても対応出来るというくらい準備は済んでいた。
(身に付けることは間に合ってますし、暇ですね……)
勉学も礼儀作法も順調に進み過ぎたため、今では週に一度だけ午前に勉学の時間としている状態で、残りは全て自由時間となっている。
『フィリスは、幼少期にとても頑張りましたからね』
『他の同年代は今、ヒーヒー言ってるよ〜?ケラケラ』
今充実しているのは、魔法訓練だけだ。
お父様から貰った魔法訓練場は、毎日使用して身体強化や魔力操作の訓練を続けている。
けれど、繰り返しの自主練習は飽きやすいもので、むしろよく一人で続けていたと思える。
(魔力の遠隔操作も以前より慣れてきましたよね……。実践にどのくらい通じるのか試せないのが残念です)
『実践してみればいいじゃん!』
(お披露目前だから、人前に出るわけには行来ませんもの……)
『剣や魔法を試すなら魔物でいいんじゃないの?人前がダメなら森に行こうよ森!』
私はそれを聞いて、ハッとしました。
正直、お披露目前で屋敷の外に出られないという固定概念に捕らわれていた私にとって翡翠の言葉は目に鱗状態。
この屋敷は、帝都郊外とはいえ程度に面した所にあるので人目に付きやすく外に出ることも出来ません。
けれど、我が家は公爵家。
帝都内の社交用屋敷、帝都郊外の普段使い用屋敷以外にも屋敷は様々な所にあるし離れた所に領地だってある。
公爵家の領地は、山にも海にも面した土地で自然豊かな所だと学びました。
(領地でのびのび……それ、凄くいいです)
私は、 今の自分にぴったりな名案に居ても経ってもいられず、筆頭執事のスバルにお父様の予定を聞き、さっそく面会を申し込んだ。
****
公爵との面会の機会は、2日後に来た。
その日は、公爵が城の仕事を終えて夕食頃に帰ってきた。話し合いは夕食を共にしながらする事になったのだ。
私は、夕食まで待ち切れず公爵がいつ帰ってくるかと玄関でソワソワしながら待っていた。
「フィリセリア様、公爵様が帰っていらしたらお知らせしますのでお部屋で待たれては……」
「いえ。ここで待ちますわ!私、部屋で待っていられる心境ではありませんもの」
「ではせめて、羽織れる物をお持ち致します」
「ありがとうリリア」
公爵が帰って来たのは、私が玄関で待ち続けて2時間ほどたった頃だった。
「お帰りなさいませお父様!」
玄関ホールの階段上から私が声をかけると、公爵は少し驚いた様子で返事を返した。
「ただいまフィリス。そんな所で、ずっと待っていたのか?」
「はいっ!早くお父様にお会いしたかったんですもの」
夏とはいえこの辺りはそれほど暑くならず、夜は普通に冷え込む。
リリアが羽織を用意したことからも長時間玄関に居座っていたのだろうと公爵は思った。
「待たせたようだね。さぁ、私も直ぐに行くから食堂に先に行っていなさい」
「はい。お父様!」
****
食堂で待っていると思ったより早く公爵が、食堂へ入ってきた。
それを合図に給仕がすぐさま動き出す。
「それで?フィリスはどんな協力を求めて私を呼んだんだい?」
家族団欒が目的ではないだろう?と単刀直入に切り込んでくる公爵に、相変わらず見抜いてくるなあと思いながらフィリスは答える。
「私、公爵家の領地へ行きたいのです!」
「領地へ?」
てっきり魔法関連か、何か設備をつくるとかいう話をされると思っていた公爵は、思いがけず子供らしい欲求をしてきた娘に驚いた。
(フィリスが領地へ足を運びたいと言うとはね。毎日、勉学と訓練場での訓練を繰り返しているだけだから他の事には興味が無いのかと思っていたが……)
「もちろんいいだろう。勉学も礼儀作法問題無い事だし、羽を伸ばしてきなさい。領地なら他の貴族は出入りも少ないだろうから、身分さえ隠せば多少出歩けるだろう」
「本当ですか!身分さえ隠していれば街へも?」
意気込んで街への外出に期待して目を輝かせる娘を見て、やはり年相応な部分もあるのだなと微笑んだ。
「ああ。その辺も領地を任せている領主代行のラルセインに伝えておこう」
「わぁっ!ありがとうございますお父様!!」
公爵は、飛び上がって踊り出しそうなほど喜ぶその姿に少し後悔を滲ませたような悲しい顔をした。
(もう4歳だというのにこれまで娘が喜ぶようなことをしてやったことは無かったな……。こんな私を頼りにしてくれるとは……)
「今まで頑張ってきた分も楽しんできなさい。1週間程で領地へ出発できるよう手配しよう」
「はい!お父様!」
私は、領地の事をあれこれ公爵に聞きながら楽しい夕食の時間を過ごした。
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