4、収魔のブレスレット
しばらく1日1話は載せていくつもりです(*^^*)
文武両道、何があっても乗り越えられるようにと様々な事を身に付けていく私、フィリセリア・レストルーチェ。
でも、武を身に付けるために体力づくりからと思うもそれすら上手くいかず武の面では少々行き詰まっていた。
(打開策として身体強化が身に付けられたら良いんだけれど。そのためにはまず魔力よね)
「でも……収魔のブレスレット。外してたら叱られるわよね……?」
(みんなに見られないように魔力操作の訓練するためには夜中かしら……日中は今までのメニューで行くしかなさそうね)
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(リリアも私がもう寝たと思っている頃合いよね……)
私は午後の運動を少しだけした後、今日は疲れたと言って夕方までしっかり昼寝時間を確保したため、深夜でも目も頭も冴えていた。
(懸念があるとすれば魔力操作が人に察知されるものだったり光るものだったりする場合ね……確認してないから分からないわ)
「まぁ、もしバレたら、知らぬ存ぜぬで通すしかないわね」
そう呟いてから私はベッドの上で恐る恐るブレスを外した。
なにか変化が起きてないか警戒してブレスや周囲を見るも特に変化はなく静寂に包まれた暗い部屋のままだった。
(次に魔力を感じる事ね。操作するにはまずは魔力を認識しなきゃ……)
右の手のひらを仰向けてそこにひたすら集中する。
(………?全然ダメね。手のひらに集中するんじゃ何も感じない。そうだ……夢の中の創作物では体の中心に力の源はあるって……)
手のひらをひたすら凝視しても、何も感じられなかった私は、ベッドから降りて両手をお腹に当てて再び集中し始めた。
(身体の中心……あ、少し感じられる。少しだけど少し熱いような熱は感じないようななんか曖昧なものがモヤって……)
私がようやく感じられたそれは、ついたばかりの焚き火のように徐々に大きくなっていく。
(さっきまで感じられなかったのは収魔のブレスレットに魔力を吸われていてほとんど残っていなかったからなのかもしれないわね。今ならしっかり感じられる)
だが、魔力を感じられたからと言って魔力操作がすぐに可能なものではなかった。
念じても念じても身体の中の魔力はノロノロとした動きしか出来ず。
毎晩、魔力操作の訓練を繰り返すものの、その度に収魔のブレスレットに吸われて僅かに残った魔力を感じ取るところから始める。
訓練は私が思うほど上手くは進まなかった。
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「フィリセリア様……ちゃんと寝られてますか?」
「えっ……う、ん。寝られているわよ?」
「でも、毎日毎日お昼寝するじゃないですか。そんなに日中に寝たら夜は寝られなくなるものだと思いますけど……」
(うう……怪しまれているようですね。確かに毎日毎日、軽い運動だけで昼寝を沢山していれば変に思われますよね……なにか対策しなくては)
「本当に大丈夫よ?夜もしっかり寝てるから」
「でしたらよろしいんですが……」
(何とか日中にも魔力操作の訓練が出来たらいいのに……。そうだ、あれって利用できないのかな?)
私が思い付いたのは魔力操作の訓練を続ける毎に感じやすくなっていった自身の魔力でもブレスレットに吸われた分の魔力でも無いもの。
それは、どこにでも存在する魔力とは少し異なった薄いエネルギーーー魔素だった。
ブレスレットに吸われて僅かに残る自身の魔力を感じる事に毎日毎日集中する事で、私は微細な魔力を感じやすい身体になってきていたのだ。
(薄いけれど、どこにでもありますし。たくさん集めたら魔力の代わりにならないかしら?それに、集める事自体が魔力操作の訓練になりそうです)
それからは毎晩のブレスを外しての魔力操作から周囲の魔素を集めてまとめる事を日中に、ながら作業で行う事にした。
それにより、午後のお昼寝も必要がなくなり日に日に成長する身体に合わせて運動量をしっかり増やしていくことが出来た。
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いつも通り勉学に励みながら魔素で魔力づくりをしていた時に、ふと思いついて試そうと思った。
(この薄い力を集めてつくった魔力……訓練のためにやっているだけだからとつくっては霧散させていましたが……)
私が魔素でつくった魔力をブレスに近づけるとつくった魔力はブレスにスっと吸われていった。
(……このブレスレットはつくった魔力も吸うんですね。霧散させるのも勿体ないですし度々入れておいてもいいですね。せっかくつくったのに勿体ないですもの)
それからはブレスレットに餌をやるかのように魔力をつくっては毎日せっせと吸わせていった。