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39、皇家の馬車

第1章はここで終わります。

ようやく準備期間終わりって感じですかね!

次からは第2章です!^^*

 皇家の馬車で公爵家まで乗せてもらい、降りると公爵家の使用人全員が出迎えた。

  その様子に私も唖然としたが、使用人達も馬車から降りてきた人物が皇族ではなく自分達の仕えるお嬢様である事に驚いた。



「お嬢様……なぜ、皇家の馬車に……」



  使用人達を代表して一歩前に出てそう聞いてきたのは、筆頭執事のスバルだ。



「公爵様と夜お帰りになるご予定だったのでは……」


「私が、早く公爵邸へ帰りたい旨を伝えましたら、陛下が取り計らって下さったのです」


「なんと…………そう、でしたか。事情はわかりました。お帰りなさいませフィリセリア様」



 ****


  私は逸る気持ちで、すぐ訓練着に着替えて魔法訓練場へ向かおうと思い。

  屋敷の入口で他の者達と同じく並んでいたリリアを連れ、自室に向かった。


  部屋まで向かう廊下では、特に何も聞いて来なかったリリアだが自室で訓練着に着替える際に、意を決した様子で聞いてきた。



「フィリセリア様は、噂通りダビッド殿下と御婚約なさる事にしたんですね」



  私は、その言葉に固まった。



「まだ……決まってはいないでしょう?婚約者候補として上がっているとまでしか陛下も……」



  私がそう言うと、リリアは唖然とした顔で聞いた。



「え……では、婚約者に内定もしていないのに皇家の馬車で送ってくださったのですか?」



  そして、リリアがそう言うので私も驚きで聞き返した。



「え……皇家の馬車で家に送るのは婚約内定者だけなのですか……?」



  私の中では、陛下が気を使って馬車を出してくれただけと思っていたのだが……。

  どうやら、私と使用人達の認識にズレがあるようだ。

  そう思っていると、リリアが話を続けた。



「恐らく帝都に住む貴族皆がそう思うことでしょう……フィリセリア様がダビッド殿下の婚約者にという噂は前から上がっていましたし」



  私は再び固まった。



  ダビッド殿下の婚約者に成るという噂が元々あった。

  その上で、皇家の馬車が公爵家に着いたので他家の貴族たちに、婚約者内定と思われている?


  まさか……そうなるとわかっていて陛下は、私の言葉に快く応じて皇家の馬車で送らせた?

  ダビッド殿下の婚約者にするため外堀から埋めようと?


  そう気付くと、私は自分の大失態に頭を抱えた。


  リリアは、そんな私の様子を見て不安と心配の入り交じった顔で私を気遣った。



「フィリセリア様のご意思では無かったのですね……」


「……噂を払拭する手段もないし、皇家の馬車が公爵家に着いたのは事実」


「せめて、婚約は内定しておらず婚約者候補のままである事。それと、馬車を着けたのが火災でショックを受けたフィリセリア様への陛下の配慮であることという事実で噂を上書きしたとしても……」


「しても……?」


「火災があったのは昨日だと知れていますし、皇城に一泊した事が浮き彫りになってより立場が悪いかと……」



  普通は、ただの貴族を皇城に泊めるなどしないという事ですね。



  殿下と婚約者になるという噂


  公爵令嬢が城へ呼び出された


  城に一泊したらしい


  皇城の馬車で自宅まで送られたのを目撃



  そうですね……それは怪しまれて当然な気がします。

  あれ……?やっぱり今回の事、火災以外は全て陛下が仕掛け人な気が……。


 

 ****


  魔法訓練を終えて訓練場で着替えを済ませ昼食へ向かうと、先にお母様が食堂に居た。

  今日のお母様は、藤色のゆったりとしたドレスを着ていて白金の輝く御髪と相まってとても幻想的で美しい。



「こんにちはお母様。帰宅しましたのにご挨拶に上がらず申し訳ございません」


「いいのよ。初めての皇城でとても気疲れしたでしょうし、そんな事気にしないでちょうだい。フィリスは4歳なのにしっかり者さんなんだから」


「もう、4歳ですわお母様。5歳のお披露目も近づいてきた事ですし公爵家の者としてしっかりしなくてはならないのは当然です」


「うふふ。とても頼もしいわ。さぁ、座って食事にしましょう?」



  お母様はいつも穏やかで笑顔を絶やさない。聞く話では、社交界でも立ち回りがお上手で社交界の華だそうだ。

  私もお母様の娘として恥ずかしくない社交性を身に付けねばなりませんね。


  食事が始まると話題は、今朝まで居た皇城の話となった。



「フィリスはダビッド殿下と結婚したいのかしら?」


「そ、れは……」



  私がお母様の質問に渋い表情をすれば、驚く顔をするどころか、案の定の反応だと言わんばかりにお母様は微笑んだ。



「乗り気ではないようね?聞くところでは、ヴァシュロン殿下とは仲良さそうにしていたとの事だけれど?」


「お母様は、ヴァシュロン殿下の事もご存知なのですか?」



  ずっと公爵邸に居たはずのお母様が、お披露目も済んでいない第二皇子の事を知っていて私が驚いていると、お母様は微笑んだ。



「情報収集は社交の基本よ?大抵の事は知っていますとも」


「さすがですわお母様……」



  私が、感嘆の思いでそう口にするとお母様は嬉しそうに品良く笑った。

  そして、真っ直ぐに私を見据えるとこう言った。



「うふふふ。…………フィリス、第二王子のお披露目からは様々な動きがある事でしょうけど、一番大切なのはあなたの心よ。私達は、どんな時も味方ですからね」


「……?はい!お母様」



  私は、「様々な動き」とは何だろうと思いつつ、お母様の『どんな時も味方』という言葉に嬉しくなって笑顔で返事した。

続きが読みたい、応援したいと

思っていただけましたら

ブックマーク、評価★★★★★のほど

よろしくお願いします(´∀`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点]  37話のデビットがダビットに変更していて嬉しいです。 [気になる点]  半分流れで馬車に乗っただけだろう。主人公は公爵家だから、皇族の血筋、建国の協力者、それ以外か気になる。 [一言] …
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