38、陛下の謝罪
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陛下に促されるまま入ったのは、出会った時使った応接間だった。
侍女のキリアは、応接間に入ると陛下の指示でお茶を準備しに下がっていく。
「ダビッドがあそこまで愚か者だとは……」
「まだ、齢7つです。成人の16歳までまだ年月もありますし、お披露目の5歳から数えてもまだ2年です……」
「"もう"だ、フィリセリア嬢……。中級貴族ぐらいまでならそれでも通用するやもしれんが上級貴族、まして皇族ともなれば模範にならねばならん」
頑張って援護しようとはしましたが、全く駄目ですね。
どう考えてもダビッド殿下の態度は褒められたものではありませんでしたものね。
「フィリセリア嬢は4歳……ヴァシュロンと同い歳のはずだが、とてもしっかりしておるようだ」
「お褒めの言葉、感謝致します」
「うむ……フィリセリア嬢が息子であったらなぁ……」
まるで本音のように吐き出す陛下の言葉に私は苦笑いを零す他ありませんでした。
「ダビッドには、よく言って聞かせておこう。……ところで、ヴァシュロンと朝食を共にしていたそうだが、仲良くしてくれているか?」
「はい。ヴァシュロン殿下は、メレス宮での事を再度感謝を述べられ、私に公式の場でないときは名で呼んで良いと許しをくださいました」
夜中に会って中庭とはいえ外で2人きりで話していたなんて、褒められたことでは無いし誤魔化しておきましょう。
「ほう……そうか。ぜひ、仲良くしてやってくれ。ヴァシュロンにとってフィリセリア嬢は初めての同年代だ。友達になってやって欲しい」
「はい、喜んで」
「して、フィリセリア嬢を呼び出したのは昨日の事についてだ。そなたがメレス宮前で気絶してすぐにあの場に居たもの達には箝口令を布いた」
「箝口令……」
「そなたの魔力量、魔法あの場の全てだ。見たもの全て口外を強く禁じておいたので、安心なさい」
(てっきり、公言されて私を皇族に縛り付けるいい口実にされてしまうと身構えていたのだけれど……。まさか隠してくれるとは思っていなかったわ)
「ありがとうございます。陛下」
「うむ。話したかったのはそれだけだ」
「あ、あの……陛下」
ダビッド殿下の事もあったし、お披露目も済んでいないのに皇城をウロウロするのも気が引ける。
言うなら今だろうと私は陛下に声をかけた。
「そろそろお暇して、公爵邸へ帰りたいと思うのですが……」
「もっと居てくれてもいいのだが……屋敷でやりたいことでもあるのかな?」
「えっと……」
陛下は既に魔法士の事も精霊魔法の事も知っているから良いかと思い、本音を言ってみた。
「父様に造って頂いた訓練場で魔法の訓練をしたいのです……」
「おお、話には聞いていた。国立闘技場にも負けぬ立派な訓練場を公爵が建てたと。なるほど、そこでフィリセリア嬢は魔法訓練をしているのか」
「はい。まだ、造ってもらったばかりで1度しか使用していませんが……」
なんと熱心な努力家かと陛下は思ったが、彼女の本心を聞いて、なるほど貰ったばかりの玩具を試したくてしょうがない心境かと微笑んだ。
「わかった。それでは、公爵の仕事を済むのを待たず公爵邸まで馬車を出してやろう」
その言葉で、元々、今日の公爵の城での仕事が終わったら公爵邸へ帰れる予定だったのかと気付かされた。
だが、早く帰って色々な魔法を試したいのは本心なので、余計な口は挟まない事にした。
「格別の配慮に感謝致します」
「本当に、我が子でない事が惜しいな」
私が、椅子から降りカーテシーで、そう言うと陛下が私を見ながらしみじみと仰った。
その後、皇家の馬車が用意され、お供に侍女のキリアも付いて来て公爵邸へと帰った。
私は、早く屋敷に帰り魔法訓練が出来ることに浮かれていたが、今回の事で貴族達がさらに騒ぐ事になる。
皇家の馬車がレストルーチェ公爵邸に着いた。
私が浅はかだった。
この事実は、あの噂に真実味を持たせる結果となってしまったのだ。
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