23、魔法訓練場の完成
今日はいつもの時間に後2話ほど投稿します^^*
フィリセリア専用の訓練場はたったの2ヶ月で出来上がった。
外装は円形の大きな建物で、白に緑のラインを入れた清楚で美しい見た目になっている。
あまりに大き過ぎて、入口に立つとどこまでも壁が続いているように見え、全容が把握出来ない。
「内部には、帝国の所有する闘技場5分の1程の広さがあります。休憩室として個室も複数構えている上、浴室や食堂なども全て揃っているそうですよ。凄いですよね……」
「そうね……」
(お父様は……私が住み込みで訓練に挑むとお考えになったのかしら……?)
『すっごーーい!!ふぅーーー!』
『確かに籠城出来そうですね〜』
(城じゃないけどね?)
完成した訓練場を眺めながらリリアに説明を聞いていると、皇城の仕事の合間に抜けて来た公爵が近づいてきた。
施設に公爵と私の2人だけの魔力登録をまず初めにしなくてはならないのでわざわざ仕事を抜けて来て下さったのだ。
公爵が近づいて来るのと入れ替わりに、リリアは頭を下げながら後方へと下がっていく。
「気に入って貰えただろうか?」
「はい!とても!でも、こんなにも凄いものになるとは思っていませんでしたわ」
「4歳にして魔力操作は修め、既に身体強化魔法まで習得済みとなると後々どれほどの力を付けるか想像つかない。出来うる限りの用意はしたつもりだ」
「でも、これでは騎士団がいくつも入れそうな規模ですわ。周囲に何か言われたりは……」
国に仕える貴族が大規模の騎士団や傭兵を抱えると反旗を翻すのではと警戒されるものだ。
これほどのものを建設しているとなると当然周囲の目が向いたはずである。
「当然、色々聞かれたさ。だが、可愛い娘が剣術を習いだしたので最高の訓練場を用意してやろうと思った。と言ってある」
「そ、それは……」
そのような言われようをあちこちでされたのではあまりに恥ずかしいと私は赤い顔を伏せた。
「娘と私しか出入りできないことも言ってある。なんなら他の者が出入りしないか見ていてもいいともな」
「確かに、私とお父様しか出入りしていない事実があれば深く詮索もできませんね……」
「(まぁ、言ったことに嘘はひとつもないのだがな)」
「?何がおっしゃいました?」
「いや、気に入ってくれたなら何よりだ。こちらへ来なさい。魔力登録しよう」
こういった特定の人物しか出入りできない建物は国の至る所にあり、大抵は重要施設で国の管理下にあるものだ。
皇城は、他国からの来客があった際に出入りできるようにむしろ重要施設より少し緩い設定となっている。
(要は、指紋認証システム付きの建物の様なものなのよね……。本当、4歳児になんて立派なものを……)
「よし。これで2人分の魔力登録は済んだ。これで、以後他のものは入れない」
「もし、入れたい人がいる時は?」
「その場合は私かフィリスのどちらかが来客許可を入口ですれば良い。先程登録の時に触った入口の魔石に登録したいものとお前とで手をかざして『この者の入場を許可する』と言うんだ」
「わかりました」
「でも、むやみに人を入れては行けないよ?いいね?」
「もちろんです!」
魔法を使うところも精霊魔法を使う所も人に見られたくない。基本、1人で使う施設だと思っておこう。
「……フィリス、仕事を抜けて来たのは魔力登録のためだけではないんだ」
「なんでしょう?」
次の言葉を促すために一応質問はしたが、言われるだろう言葉は予想していたものだった。
「お前の魔術を見てみたい。魔力操作の訓練様子でもいい。もちろん、例の能力は見せなくて構わないから……」
公爵は言っていいものか戸惑った様子で願い出たが、私は直ぐに了承した。
「わかりました。でも、実際に使うのは東屋の身体強化を含めても2回目なので……ほぼ初めて使うのですが……」
「ああ。頼む」
私はその言葉に頷いて、公爵と共に出来たての訓練場の中へ足を運んだ。
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