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14、精霊契約

  まだ起床の時間には早いが、私の声がする事に気付いたリリアが部屋に様子を見に来た。



「やっぱり起きてらしたんですね。おはようございます」


「おはようリリア……あのーー」


『私達のこと言っても無駄だよー?』


『あなたの魔力をいただいたのであなたには見えてるし聞こえますけど、他の方には分からないはずですわよ?』


「どうかなさいました?」



  精霊たちに指摘されて言葉を切ってしまったのでリリアに聞き返されたがなんでもないと誤魔化した。



(私にしか見えないし聞こえないのでは、話しかけていたら独り言に見えて変に思われてしまいますわね……)


『そうだろうね〜』


『恐らく、目で追うのも変に見えるでしょうね?』



  2人がそう答えたのを聞き、先程の考えを読まれたように思ったのは間違いではなかったと確信を持つ。



(思っているだけで2人には伝わる……?)


『もちろん!』


『それで意思疎通はできますわ』


「あの〜フィリセリア様?朝食にはお早いですがお召替えを致しましょうか」



  精霊たちとのやり取りに集中して無言になっていたのでリリアを困らせてしまったようだ。



(精霊たちとやり取りしながら他の人とも自然にやり取りするのは大変ですね……)


『慣れるしかないよね〜』


『頑張ってくださいな。もちろん、話しかける時こちらを見なくて大丈夫ですからね?人に見られないのは慣れてますから』



  それから着替えを済ませて、いつも通り朝食前に少し読書をすると言ってリリアを下がらせた。



(いつもなら魔力操作の訓練をする時間だけれど……)


『小さいくせに努力家だな!』


『その若さで魔力操作の訓練をする方はあなた以外居ないでしょうね』



  2人に褒められて少し照れながら、リリアもいなくなったので気兼ねなく2人に向き合って話しかける。

  話すと言っても声を出しているとまたリリアが心配するかもしれないので、思い伝える心話だけだ。



(2人は私と精霊契約をしてもいいの?)


『そう言ってるだろ?』


『あなたはその歳で随分と濃い魔力を作ってくれますし、それを日頃からいただけるなら私達にとっても充分な利なのです』



  放出して捨てるつもりだった魔力を有効活用できるのならば私にとっても嬉しいことだ。

  だが、毎日昨日のように枯渇しかけるほど魔力を放出する事を求められても困る。



(昨日はかなり無理をして魔力を放出してしまったの。毎日毎日あのように魔力放出は出来ないわ)


『あんなには無くて大丈夫だよ』


『日頃いただく分は手のひらに持てる程の量で足りますから心配いりませんわ』



(なら……大丈夫かな?)



  手のひらほどの量で足りるのに部屋いっぱいにあった魔力を吸った上もっと欲しいとは、収魔のブレスレット以上に魔力を吸えるのかもしれない。


  精霊たちの収魔可能な量に底が見えないが、それは好都合。

  いくらでも魔力を固めていいのなら、魔力が貯まり次第、一気に取り出して圧縮放出するのを無理のない範囲でする。

  そして、魔力をこれ以上削れないとなったら魔素魔力をつくって圧縮放出もすれば十分な訓練量になるだろう。



(これで魔力操作が出来ずに手持ち無沙汰になる心配が無くなりますね!)


『手持ち無沙汰……?』


(魔力圧縮や魔力の取り出しをもっとしたいと思っていたのです)


『なら尚更、私たちと精霊契約した方がいいですわね。危ないでしょうし』


『だな〜。あの状態ずっと作り続けるって事だろ?人間にとっては危ないよな?』



  魔力操作の訓練をこの歳でしている事を褒めてくれたのに今度はそれを続けるのは危ないと2人は言う。



(魔力操作の訓練はし過ぎると何か問題が起きるという事ですか……?危険って……)


『魔力操作の訓練は良いんだけど〜』


『濃い魔力を満たしたままにしていたら魔物たちが喜んでたくさんあなたの元へ来るでしょうね?』


  (魔物が!?)



  魔物は動植物が変異して生まれたものや魔族が作り出したと言われるもの自然に発生したものなど様々に居る。

  だが、一様に言えるのは基本的に人を襲うという事だ。



(ここは王都ですよ!?)


『だな。たくさん魔物来たら大騒ぎになるな〜』


『人間たちは討伐のためにドタバタする事になるでしょうね〜。でも、大丈夫ですよ?昨夜のは私達が全部いただきましたので』



  知らずに王都へ魔物が押し寄せて来る様な事をしていたと知り私は真っ青になった。


『あ〜そんなにビビんなくて大丈夫だって!』


『私達と契約すればあなたの作る魔力をまた私達がいただきますから問題ありませんわ』


(でも、必要なのは手のひらくらいの魔力だって……毎日あのくらいの量でも大丈夫なの?)


『大丈夫大丈夫!大歓迎!』


『一日あたりに必要な最低量が手のひら程と言うだけですわ。恐らく限界値になる事はありませんもの』


(わかった……私からもお願いしたいわ。私と精霊契約してください!)


『もちろん!』


『ええ、喜んで。では、あなたの名前を教えてくださいな。そして、私達に名を付けてください』


(そうね!自己紹介もしていなかったわ!私の名前はフィリセリア・レストルーチェよ)


『なぁ、あたしらの名前は〜?』


(名前……そうね。では、緑のあなたは翡翠。白のあなたは白妃……で、どうかしら?)

 


  私があたふたしながら自己紹介をした後、そう2人の名前を告げる。

  すると、先程までの気軽な雰囲気と変わって2人がかしこまった様子で契約の言葉を紡いだ。



『あたいヒスイはこの名をもってフィリセリア・レストルーチェとの精霊契約を成すことを認める』


『私、ハクヒはこの名をもってフィリセリア・レストルーチェとの精霊契約を成すことを認める』



  すると、その瞬間2人を包む光がひときわ眩しく光るとすぐに収まった。

  自身や周囲を見ても他に変化は見られない。



『なんにも見た目は変わんないよ〜』


『本当はここで魔力をいただきますけどもういただいてますからね。でも、契約は成立ですから安心してください』



  こうして、私は4歳にして2人の精霊と契約を成した。

続きを読みたい、応援したいと

思っていただけましたら

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