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3、俺も行きたい

  貴族令嬢として日々を過ごし、休日日には冒険者活動をする事が習慣になりとても充実して過ごしていた。


  心残りはカルの事くらいだろうか……。


  レストルーチェ支部へ行けばいずれ再会出来るだろうと思っていたのだが、シゲさんに聞けばカルはレストルーチェ領から旅立ってしまったのだという。

  高ランクになって帝都へ行き、フィルを驚かせる!と意気込んでいたそうなのでいずれ帝都へ来るとは思うが今はどこにいるのかまるで分からない。



(元気にしているなら良いけど)



  私は今日も冒険者活動をしようと魔法訓練場に向かい、訓練場の扉を開けた所でーー



『今日は俺も入るっ!!ーーブベッ』



  魔法訓練場の扉を潜ろうとしたガミルダは入口の障壁のようなものに阻まれて中に入れず、弾き飛ばされた。



「へぇ……魔力認証ってこんなに厳重なのですね」


『入れろー!お前はそこに入ったら全然出てこないから、今日は俺も入るっ!』


(いやぁ、ガミルダは留守番してて欲しいな……)


 

  まだ1年と活動をしていない新人冒険者がお供にドラゴンを連れているなど、あまりにも悪る目立ち過ぎる。

  今までもこれからもガミルダを冒険に連れて行くつもりはなかった。



『留守番?その中はどこか別のところに繋がるゲートなんか?』


『違う、中に入ってから我の影移動で転移するのだ』


『どこに転移するんだ!行先さえ分かれば俺は自力で飛んでついて行けるぞ!』


(まぁ、私の魔力で行ける範囲くらいガミルダには大した距離に感じずに行けてしまいそうですわね……)


『おう!』


(でもダメです。ドラゴンを連れてそこかしこ行く事など出来ませんもの。ガミルダは留守番ですわ)


『ドラゴンの姿だから連れて行ってもらえねーのか……』



  ガミルダはそう呟くと次の瞬間には別の姿に成っていた。



『これなら文句ねーだろ?』



  目の前でニッと笑うのは、灰色の髪に黄色の目をし黒い肌をした16歳くらいの見た目の青年だ。

 


「……ガミルダ?」


『おうよ!』



  ガミルダは心話で答えるので、見た目にはふんぞり返るだけだが、だからこそガミルダだと確信できる。



『これなら連れて行ってもらえるだろ?』


(ううーん……ん〜。まぁ、異国人だから言葉が話せないって事にすれば、なんとかなるかしら……)


『んで?行き先はどこなんだよ』


(レストルーチェ領よここからだと北北西。森が多いけど街は海際にあってーー)


『ああ!あそこな!分かった。あとは向こう飛んだお前らの魔力でも追うから平気だ!じゃな!』



  そう言うとガミルダは人型のままで宙に浮かぶとそのまま飛んで行った。



(ちょっとガミルダっ!それは目立ちすぎーーああもうっ!希闇、私達も急ぎあちらへ行きましょう)


『分かった』



 ****


  ガミルダは私達の魔力を辿って座標を決めると言っていたので、私達は着いて直ぐに街から少し離れた帝都寄りの森でガミルダを待った。



『おっ!居たいた!』


「居たいたじゃないよガミルダ!人の姿でそのまま飛ぶのはダメ!目立ち過ぎるよ!」



  無事合流したガミルダは私の勢いに気圧されてちょっと驚いた様子を見せた。



『お……おう。分かった。飛ぶ時は元に戻る……なんかいつもと口調違うんだな?』


「冒険者やる時は男のフリしてるんだ。この姿の時はフィルって名乗ってる」


『ふーんフィルな?了解!んで、ここで何すんだっけ?』


「冒険者活動。でも……ビエラは騎士の資格あったから討伐依頼のお供になるのを許されていたけど、ガミルダは何の資格もないから冒険者資格得ないとかな?」


『資格?なんだそれ。討伐って邪魔な奴を殺す事だろ?それに資格なんて要るのか?人間って面倒臭いな』



  ガミルダは心底面倒そうな顔をした。



「嫌ならいいよ。僕は冒険者活動をしたいんだ。冒険者資格が無いガミルダとは一緒に行動出来ないから嫌なら帰るといいよ」


『なっ!冷たい事言うなよ!得る得る!その冒険者資格とかいうの得るから連れてけ!』



  私が素っ気ない態度をとるとガミルダは慌ててそう言い、人を傷つけ無いことを従魔契約の言霊で言い付けてから冒険者ギルドへと向かった。



 ****


  冒険者ギルドに入ると右端にある冒険者登録窓口へと向かう。



「こちらは冒険者登録窓口ーーってあれ?フィル君?なんでこっちの窓口に来たの?」



  そう言うルーシーにガミルダを紹介し、異国人で言葉は通じないが冒険者登録をさせたいのだという旨を話した。



「言葉は話せないんだけど、僕となら心話で話せるんだ。だから、僕が仲介する形で仕事をと思って」


「心話ですか、魔道具による意思伝達が可能という事ですかね?分かりました。見たところ成人なさっているようなので自動的にFランクは取れます。実力試験は受けますか?」


『実力試験とはなんだ?』


(実力が無いと魔物討伐に行くことが許されないんだ。力が無いのに魔物に挑んだら危険だからね)


『確かに力ない者が力ある者に向かって行くのは無謀だな。それを周りが事前に止めるわけか。んで?その実力試験ってのを受ければいいんだな?』


(うん。試験官と戦うことになると思うけど、絶対殺しちゃダメだからね?)


『わぁーったわぁーった!従魔契約でも縛られてんだ。危害なんかくわえねーよ』



 ****


  ガミルダに実力試験を受ける意思がある事をルーシーに伝え、試験を受けさせたが結果としてはDランク資格を得る事になった。


  ガミルダならば本来の実力を出せば確実にAランク以上と言えるのだが、従魔契約で『人を傷つけ無い』と縛っていたためにまともな動きが出来なかったのだ。


  それでも、素早さと避ける動きの的確さで魔物討伐に出る事は可能だと言うことになった。



『すんげー納得いかない』


(なんかごめん。でも、Dランクなら一緒にCランク依頼を受けられるよ!僕はBになるつもり無いからずっとCランクだし)

 


  その後、討伐依頼を受けて一緒に依頼をこなしてからはガミルダの機嫌はすっかり戻った。

  公爵家にいる間、お菓子を食べたり昼寝をしたりという過ごし方は出来るが、今まで魔物を狩りながら生きてきたガミルダには随分ストレスだったようだ。


  イキイキとガミルダが魔物討伐をした事で思った以上の討伐量となり、また群れ単位報酬となった。

  ガミルダは金銭を必要としないのでガミルダの報酬分まで私の懐に入り私の所持金はかなり増え、ガミルダがこれからも同行するなら更に凄い勢いで増えていく事が確実だ。



(また、お金が貯まっていく一方になってきた……)



  かと言って、私の装備は既に整っているしガミルダは下手な装備より生身の方が硬かったりするので装備はただ重いだけの枷になる。



(そろそろお金の使い道も考え始めた方が良いかも……。金は天下の回りものってね)

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