10、魔素魔力の訓練法2
昼食もいつも通り1人で終えて、午後の体力づくりの時間になった。
私は、以前より体格も良くなってきたので4歳の誕生日を機に無理のない範囲で筋トレも始めて、木刀を振る回数も増やして行っている。
(魔力を取り出すのって周りにバレたりしないわよね?魔素魔力作る時も前に魔素魔力つくっては霧散させてた時もバレていなかったし……)
そうは思いつつももし気づかれるようなら直ぐに収魔のブレスレットに戻そうと気構えて、走り込みをしながら魔力を左手に取り出してみた。
取り出した魔力は普段入れる魔素魔力の3回分程の量だ。
傍で控えているリリアはまるで気づいていない様子。
その事に一安心しながらひとまず魔力を観察してみた。
観察と言っても魔素も魔力も目に見えるものでは無いので感じ取る事での様子見だ。
収魔のブレスレットをはじめて外した時の曖昧な感じではなくはっきりとモヤを感じられる。
(まるで霞のよう……もっと固まれば雲のようになりそうね。雲なら、もっと固まれば雨かしら?さすがに魔力は液化しませんよね……?)
そのような事を思いながら物は試しと、取り出してある魔素魔力3回分の量の魔力をさらにまとめるように魔力操作を行ってみる。
すると、徐々にではあるが固まっていき3回分の量が2回分の大きさ、1回分の大きさと徐々に小さくなっていく。
(濃度が上がって小さくなっている……。これも収魔のブレスレットに入るでしょうか……)
試しに収魔のブレスレットに吸わせればすんなりと入れることが出来た。
取り出したものを固め直して入れ直すこの訓練は以前の魔素魔力づくりよりさらに高度でなかなかに時間がかかる。
(好都合ですわ!これからは魔素魔力をさらに圧縮してから収魔のブレスレットに戻す事を魔力操作の訓練にしましょう!)
よし、続きをと思い収魔ブレスレットから再び魔力を取り出そうとすると濃さの違う魔力を感じ取ることが出来た。
(今入れた魔力と元の薄いものですね。簡単に混ざりはしないようです……)
その後も薄い方の魔力を取り出して圧縮作業を続けていく。
私は、魔素魔力圧縮で集中していたために、その間まるで気付かないまま普段より遥かに多く走り込みを続けていた。
それを見ながら、いつも以上に頑張ってらっしゃるわと微笑ましくリリアはただ眺め続けてた。
****
走り込みの後、筋トレと木刀の素振りもしっかり終えて自室に戻ろうとリリアの元へ歩いて行く。
「お疲れ様です。フィリセリア様、今日はいつも以上に気合が入っていましね」
「そ、そう?」
「うふふ、いつもは2周の走り込みを5周なさってましたし。とても楽しそうにしてらっしゃいました」
(うっ……集中していて気づかなかったわ。いつも以上に疲れるとは思っていたけれど慣れない魔力操作をしていたためと思ってたわ……怪しまれたかしら)
「お生まれになったファディール様にもいい所を見せたいですものね。でも、ご無理はなさらないでくださいね?ファリシア様が心配なさいますよ?」
「そうね!気をつけるわ」
ファディールが産まれてすぐという事もあり上手く勘違いしてくれたことにホッとしつつ自室に戻る。
この後は、夕食の時間まで自由時間。一番魔力操作が捗る時間だ。
(早く収魔ブレスレットの中の魔力圧縮を集中して行いたいですね。今、こうしている間にも行っていますがあの時間が一番集中できますもの)
半日とはいえ今まで呼吸する如く習慣的にやっていた魔力操作が出来なかったストレス。
それにより、魔力操作をしたい欲求が彼女の中でとても膨れ上がっていた。
(圧縮が可能ならば収魔ブレスレットの中の魔力を圧縮し終えてもさらに中の魔力を圧縮することで訓練が続けられますわよね!)
私は、新たな魔力操作の方法を見つけたことで舞い上がっていた。
そして、自ら公爵に収魔ブレスレットを常時外していて良い許可を得たばかりだということをすっかり頭から放り出していた。
****
自室に戻って習慣としている瞑想(とリリアには言ってある)をしつつ魔力操作に集中する。
先程は魔素魔力3回分を圧縮して、1つ分の大きさにする事を走り込みながらひたすら行っていた。
そのため、圧縮にどのくらい時間がかかるのかよく分かっていない。
(その辺も含めて、魔素魔力何回分の大きさの物をひとつに圧縮していくのか訓練方法を決めていきましょう)
しばらく魔素魔力の圧縮を試してみたところ、3回分の大きさなら5分。
5回分の大きさなら10分はかかるようだった。
(大きい方がひとつにまとめるのに圧縮が強くなるのでより難しいようです……)
6回分も試して見たが、1つ分の大きさにまで圧縮する事は出来なかった。
(私ではこれ以上、圧縮する事が出来ませんね。5回分の大きさを1つに圧縮するのが最大圧縮率ですね)
魔力操作の訓練は今後もながらで行うつもりなので時間がどれほどかかろうと困らない。
(今後の魔力操作訓練は魔素魔力5回分の大きさを1つ分の大きさまで圧縮する事にしましょう)
そう決めてからは、また呼吸の如く何をしている時でも魔力操作の訓練をし続けた。
応援したい続きを読みたいと思っていただけましたら
ブックマーク、広告下評価☆☆☆☆☆のほどよろしくお願いします(´∀`*)
毎日投稿がんばりまーす(b・ω・)b