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ガイドすごい

 連れられて、連れられて。


 歩いた先には外壁がある。


「外に出るのか?」


「えぇ。 そのつもりなんですけど」


「どうやって?」


「……うぅ」


「まったく、しようがないな」


 俺はガイドを担ぐと、助走をつける。


 そのまま壁に足をあて、次の足をあげる。


 そうすれば、落ちない。 壁を登れる。


 何度も足をあげるのを繰り返す。


 そして、俺は壁を登りきった。


「ぇぇえ。 何で登れるんですか?」


「頭が良いからかな?」


「なるほど……頭が悪いからですね」


 俺たちは大きく食い違いながらも、進んでいく。


 ガイドのガイドに従いながら、向かった先には川があった。


「激流だな。 ガイド、どうする?」


「飛び越えれますよね?」


「あぁ、もちろんだ」


「ですよね……え? いまなんて言いました?」


「え、 だからもちろんだと」


「……私とあった時はゴーレムに苦戦するような人でしたよね?」


「なんか、調子がいいんだ。 地下で博士にあってからさ」


「私、その一件知りませんからね。 まったく、散々放置して」


「悪いって、ほらいくぞ」


 俺は、助走をつけて大きく飛んだ。


 高度はないが、川のすれすれを通りながら対岸へとたどり着くことができる。


 そう。


 助走をつければなんでもできる。


 助走とは、人類が発見した最高技術だ。


「これから困難には助走で立ち向かうか」


「正真正銘の馬鹿ですね」


「馬や鹿のように走らせていただきます」


「あ、ちょっと早いです……方向もズレてますよ」


 俺はガイドの声で立ち止まり、ガイドの案内についていった。


 道中、獣に襲われることはなく、平和であった。


 川を超えてからは、草原のような、広い公園のような空間が続いていて、目的地はその空間から少し浮いていたためすぐにわかった。


 ちなみに、寂れた飛ぶ城が目的地だった。


「ここが目的地?」


「そうです。 中に入りましょうか」


「て言ってもどこから?」


 その城は浮いているため入口がない。


「……どうせジャンプすれば届くでしょう」


「まぁ、そうだけど」


「ならこのくだりいらないですよね?」


「はーい……よいしょ」


「今度は助走をつけないんかい」


 俺は、その場で大きくとび、入り口に手をかけて扉を開く。


 床に手をかけ、ぷらぷらしながら助走をつけ、一気に飛んだ。


「ほいっ」


 一言掛け声を合わせながら中へと入っていく。


「へぇ。 で、ガイド。 ここは何?」


 内装は外装と比べると綺麗になっている。


 絨毯が敷き詰められ、壁には美しい女性が描かれている。


 鎧が飾ってあったり、拷問器具が置かれていたり、かなり品のいい空間である。


「はい。 私の元持ち主が住んでいた家です。 記録の通り……とはいきませんが」


「記録……ね」


「はい。 とりあえず中を探索しましょう」


「そうだな……どこからまわる?」


「そうですね。 城のようですし、玉座を目指しましょうか」


 了解。


 俺がそう頷くと、ガイドが先行する。


 RPGのゲームのように、他の宝箱を漁ってから……とは行かせてくれないか。


 造りやオブジェクトに興味があったんだが。


 そんな不満を抱えながらだ取り付いた間には、1つの傷ついた男が倒れている。


「おい、あんた大丈夫か……あんた、メルトンか」


「……レムか。 まさかお前まで来るとは」


「喋るな。 なんとか治療を……」


 だが、どうする。


 俺は治療魔法は使えない。


 医学の心得なんかもない。


 どうしようもない。


「……ここは、やはりとても心地が良いですね」


「ガイド、悪いがそんなことを言っている状況じゃないぞ」


「えぇ、手を貸しますよ。 私に触れてください」


「何を?」


「いいから」


 言われるがままに、俺はガイドを手に取る。


 すると、大いなる記憶が頭に流れ込んでくる。


「……いいんだな?」


「はい。 早く」


 唱えたのは、1つの魔法。


 ガイドの記録。


 追憶の魔法。


 魔王の固有魔法、オーバーヒーリング。


 その魔法の効果か、メルトンの体が黒緑に発光し、みるみる体を修復していく。


「こ、これは……」


「あんた、ガイドの前の持ち主がヒーラーで助かったな。 とても運が良かったぜ」


「あっ、あぁ。 そして何より、君までもが敵じゃなくて助かった」


 メルトンが手を開くと、そこには小型の丸いものが含まれていた。


「それは?」


「小型爆弾。 この城に傷をつけることは無理でも人1人なら殺せる威力だ」


「……危なかった。 いや、なんでそんなものを」


「そうだな。 君には聞く権利がある」


「そんな人に話さないような内容なのか」


「まぁ……な。 覚悟ができたら教えてくれ」


 覚悟?


 そんなの決まってる。


 だから、俺はすぐに聞くことにした。

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