ガイド覚醒編 スタート
最近、友達が増えた気がする。
昨日は、指定暴力団の方々と遊んだ。
一昨日はクラスメイトと外で肉を食べた。
今日は何もないので、ちょっと暇である。
1人でいた頃はどうすごしていたっけ。
思い出せないや。
「はははっ。 毎日こんな日が続けばいいのに」
「そうですね」
「ん? そうだろ?」
「はははっ」
「あはははっ」
「って、そんなわけないでしょ!! 何を遊んでばかりいやがりますか」
怒られた。
ん? ちょっとまてよ。
俺、何と喋っていた?
あたりを見渡しても、人影はない。
「幻聴か……」
「幻聴か……キリッ。 じゃねぇですよ。 ほら、目線もっと下」
「ん? 下だと」
指示通り目線を落とすが、机の上に本が置かれているだけである。
もう少し下なのだろうか?
だが、床の上には何もない。
「おーい。 わざとやってやがるんですか? 流石に怒りますよ?」
ふむ。
たしかに机から声がする。
「まさか、机が……」
「おい」
「冗談だよ。 でもなんだって本が喋ってやがるんだ?」
「冗談がくどいですよー」
「…………」
「……」
「………………?」
「あ、本当にわかってないやつだ」
「すまんな」
「もっと申し訳なさそうにしてくれませんか?」
「申し訳ない」
うーん。
マジで思い出せない。
「あなたの初ダンジョン」
「あぁ、ガイドか」
「なんでそんな……もっとこうあるでしょう」
「え、俺本棚にしまってなかったっけ?」
「いいえ、ずっと机の上に放置されてました」
「そっか、ごめんなぁ」
「むかっ。 じゃなくて、あなたやるべきこと忘れてません?」
「うーん? なんだっけ」
「月の涙阻止は?」
「……今何も進展ないもん」
「何にも情報がないでしょ。 ええい、わかりました。 今から案内する方向についてきてください」
「明日でよくね?」
「よくないですからね!!」
ガイドは飛んでいく。
扉を超えてどこまでも。
俺はそれにやれやれと言いながらついていく。




