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作戦会議

 ちょっと早く目が覚めたな。


 日は、ギリギリ登ってる。


 エミリアは……まだ寝てるか。


 どうしようか。


 ナギサは帰っていない。


 攫われたことがバレたら、あの父親は怒るだろうな。


「素直な寝顔をしやがって」


 俺は、こいつを引き渡すのか?


 ……何を躊躇っている。


 俺は、別に正義の味方でもないし、こいつとは、つい昨日会ったばかりの仲だ。


 だが、嫌である。


 奴の思い通りにいくことが嫌である。


 こいつに再び嫌な思いをさせるのが嫌である。


 なら、どうするか。


 決まってる。


 俺は、強い。


 だから、目の前の敵を倒す。


「そういえば、時間の指定はなかったな」


 まぁ、こいつが起きてから行けばいいか。


 まてよ。


 エミリアを連れていく必要があるか?


 ……国は頼りにできない。


 ここは場所が割れている。


 結局、危ない目には合わせないといけないか。


「……うぅん」


 うなされてんのか。


 こんな少女が、国王暗殺ね。


 そういえば、どうな方法でやろうとしたんだ?


 また、聞いてみてもいいかもな。


 そんなことを思いながら、俺は整容をすませる。


 その頃に、エミリアは目を覚ました。


「おはようございます」


「あぁ、おはよう。 よく眠れたみたいだな」


「えぇ。 レムさんは眠れなかったんですか?」


「ん? どうして」


「いえ、なんとなくです。 きになさらず」


「なんだよ。 飯は?」


「私、朝食べないタイプなので」


「そっか。 なら、もう向かっておく?」


「そうですね。 レムさん。 今日はどうするつもりですか?」


「どうするって言うと?」


「私を……引き渡すんですか?」


 エミリアは遠い目をしながらも、奇妙な笑みを浮かべている。


「そんなことは……なんで笑ってるんだ?」


「いえ、一つ、策を思いつきまして」


「策? どういう」


「思い切って、私を引き渡してください」


「……引き渡して、どうする?」


「そうですね。 話してもいいんですが。 この場合、あなたも知らない方がうまくいくでしょう」


「自己犠牲、なんて考えてないよな?」


「それが出来れば何よりですが、あなたが許さないでしょう。 なので、違いますよ」


「話せ。 でなければその策は採用できない」


「状況に応じてやることは変わっていくので、あまり考えを固定させたくないのですが……まず第1に、今やらなければならないことは人質の安全の確保です」


「あぁ、そうだな」


「はい。 あなたのルームメイトが向こうにいる状況では、何をされてもおかしくありません。 それに対し、私は向こうに囚われていても、危険はあっても、直接何かされることはないでしょう」


「だから、人質交換に応じると?」


「はい。 加えて、あなたは奴らの警戒から外れるのも大きいですね」


「それで、その後はどうする。 そのままだと、お前は何をさせられるかわからんぞ」


「今現状、使えないカードが、私が向こうにとらわれることで使えるようになります」


「は? えっと……国か」


「はい。 彼らは大きなギャング組織ですが、国には敵いません。 後は丸投げでもいいでしょう」


「……お前への危険が大きすぎる。 却下」


「現状、これが最善なんですよ」


「いや、もっといい手がある」


「……それはなんですか?」


「これだよ」


 そう言いながら、俺は自らの利き手を差し出す。


「これは……手ですね」


「あぁ!! これを使えばいい」


「どういう? 私でも思いつかない策が」


「だから、俺がこの手でぶちのめしてやるってことだよ」


「……脳筋」


「なんとでも言え」


「……確かに、それもありですね。 ただ、カドワキは強いですよ?」


「大丈夫。 俺の方が強い」


「そうですか。 期待しておきます。 とりあえず、ルームメイトさんの安全確保はしておいて……ですよね?」


「まぁ、そこはお前の作戦とかぶるか」


「一つ、ある可能性がありまして」


「それが?」


「それがあると、あなたの策がうまくいかないんですよ」


「それは?」


「奴らが、人質を連れてこなかった場合です。 後で解放する形を取られた場合、直ちに安全確保することが難しくなります。 どうします?」


「…………折衷案だ」


「というと?」


「お前を一時引き渡し、救出する」


「私よりですね。 いいでしょう。 他に何が想定しておくことはありますか?」


「特にないかな。 強いて言えば、ボスの力を知りたい」


「それは不明ですが。 やはり、だいぶ大雑把というか。 見通しが甘いですね」


「なに?」


「いえ、そもそもこれが奴らの罠である可能性だってありますし、他にもいろいろありますよ」


「……それはその時なんとかすればいいさ」


「……わかりました。 いろいろ考えておきます」


「助かる。 なにか、他にあるか?」


「とりあえず、情報共有はここでいいでしょう。 先ほども言いましたが、現場では臨機応変に動きたいので、あまりガチガチに作戦を決めすぎないのも重要ですしね」


「そうだな。 後は、気合いを入れていくか」


「……いいですね。 根性論、嫌いじゃないですよ」


 とりあえず、作戦名ガンガンいこうぜは決まった。


 後は、どうなるかは運命に任せていくか。

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