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月映え  作者: うちょん
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おまけ【喧嘩するほど仲が良い?】


 おまけ【喧嘩するほど仲が良い?】














 それは、日常の食事中にやってくる。

 「おい花守てめぇ!!!!なんで俺の卵焼き食ってんだよ!!!!返せ!!!」

 「え、返すの?このまま返していいの?」

 「汚ねぇ!!!!出すんじゃねえ!!!」

 「翡翠、卵焼きのひとつやふたつでそう怒るんじゃねえよ」

 「取った張本人が言うんじゃねえ!腹立つ!」

 翡翠の前に用意されたご飯を見て、美味しそうだなと思った花守が、そこから卵焼きをひとつ拝借したようだ。

 それに気付いた翡翠が怒りだし、すでに口に含んでしまった花守本人は悪びれた様子など全くなく、二つ目を食べようとさえしていた。

 「よくやるね。ご飯くらい静かに食べたいのにさ」

 「足りないや。もっとおかわりしようっと」

 「玲瓏食べ過ぎだよ。いつも寝てるだけなんだから、あんまり食べない方が良いって。ねえ、胡蝶からも言ってよ。あのままじゃ玲瓏お相撲さんになるよ」

 「くちっ・・・。玲瓏の自由だろ。好きに食べさせてやればいいよ。それより夕凪、甘いもの食べ過ぎ。団子何本目?」

 「まだ20本目だよ」

 「まだなの?ああ、そう・・・」

 「あ、いいなー。夕凪、一本頂戴」

 「しょうがないな。一本だけね。絶対に一本だけね。それ以上食べたら腹パンするからね」

 こちらはこちらで、食欲旺盛な玲瓏がもりもりご飯を食べている横で、夕凪は団子ばかり食べていた。

 胡蝶は花粉と戦いながらも少しずつ食べており、こちらは和やかムードだ。

 問題なのは翡翠と花守の方で、ついには掴み合いになってしまった。

 猿にも似たその叫び声が聞こえようと、止める者は誰もおらず、巻き込まれぬように淡々と食事を進めていた。

 「てめぇが俺に頭下げりゃ済むことだろうが!!!なんで頑ななんだよ!!!」

 「はっはっは!!!なんで翡翠ごときに頭下げる必要があるんだよ!!!意味わかんねえ!!金渡されても絶対しねぇよ!!!」

 「ああ!?てめぇが悪事働いといて頭を下げねえなんぞ、外道にも程があんだろ!!腐っちまえ!!!」

 「悪事ってほどのことじゃないだろ?お茶目だよ、ただのお茶目。こういうことを通して仲良くなっていくもんだろ?」

 「ふっざけんなよ!!!!極悪非道以外の何だってんだよ!!!だいたい、その顔でお茶目なんぞ言うんじゃねえ!!!!鳥肌たつーーーー!!!!!」

 「落ち着けって。とりあえず俺が卵焼き食って落ち着くから」

 「なんでてめぇが食うんだよ!!!マジで殺してやりてぇ!!!」

 「あ、やべ」

 翡翠の理性が切れる寸前のようで、翡翠の身体の周りには、刃物ほどの切れ味にも成り得る風が吹き荒れていた。

 それを見て、ようやく本当にヤバいということに気付いた花守は、防御の形になる。

 しかし、翡翠が本気を出せば、花守の防御を崩されてしまうことは大いに有り得る。

 「くちっ・・・あ、翡翠がキレる」

 「容赦しねぇ・・・!!!」

 胡蝶が事態に気付くが、その時にはすでに翡翠が花守に攻撃をするところで、横を見ると夕凪は団子に夢中だし、玲瓏はお腹いっぱいで寝てしまっていた。

 あまりにも強い翡翠の風に、花守の身体の一部が削れてしまうというとき、この事態を収拾出来る者があっという間に解決してくれた。

 「・・・ありがとう玉響。でもね、やっぱり君は手加減って言葉を覚えた方が良いよ」

 突如として現れた玉響によって、翡翠と花守は両成敗となった。

 「玉響どうしたの?くちっ・・・」

 「・・・トイレ、どっちだっけ」

 「玉響の部屋からだと、こっちは真逆だね」

 「あ、そうだ」

 そう言ってすぐにいなくなってしまった玉響を見届けた後、胡蝶はまたくしゃみをした。




 数時間後目を覚ました翡翠と花守は、喧嘩をしないように心掛けるのだった。

 「玉響ぱねぇ・・・」


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