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僕達の日常  作者: さきち
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お好み焼き

僕のリクエストで、瑠璃を僕の家で預かる事になった。青木と姉さんを、たまには二人だけにしてやりたいとの思惑もある。結衣に話すと私も一緒に過ごしたいと言うので、昼間はショッピングモールをブラついて、ちょっとした買い物をしたり、広場で遊ばせたり。

瑠璃はあまり人見知りをしないので、結衣ともすぐに打ち解けてくれた。僕とより、結衣と手を繋ぎたがる瑠璃に、内心ちょっぴりヘコんだ事は秘密だ。

そして今、スーパーで夕飯の材料を揃えていた。瑠璃のリクエストでお好み焼きになったんだ。


「えび!えび!それとチーズ乗せる!コーンも!」

瑠璃はえび好きなので、お好み焼きでも、えびは外せないらしい。回転寿司でも、えびと玉子とイクラばかり食べている。将来、コレステロール値が高くなったり、痛風とかにならないかな?なんて考える僕は、思考がおっさん化しているのだろうか?

「豚バラ肉とキャベツと、山芋、玉子、お好み焼きソースと青のり…。」

君は材料をどんどん、カゴに入れていく。

「かつお節とマヨネーズはあるから、後はお好み焼き粉と、天かす?」

僕は家にあるモノを思い浮かべて、他の材料を探した。

「ついでに麺買います?モダン焼きにしても良いですね。」

良いねと相槌を打つ。瑠璃がモダン焼きってどんなの?と結衣に聞いていた。


電話のコール音がして、ポケットからスマホを取り出した。

「あ、電話だ。ごめん。」

電話の相手は姉さんで、瑠璃がどうしてるかって話だった。昼間の様子を話していたら、青木が瑠璃ちゃんも一緒に晩御飯食べたいと言ってるという。瑠璃はお好み焼きを作って食べる気満々なので、それならうちに来れば良いと誘った。

「材料、大人二人分追加で。」

「青木さんとお姉さんですか?」

「そう。瑠璃抜きじゃ、落ち着かないんだって。」

「じゃあ、もう少し色々な具材を買いましょうか?小さめにしたら、何種類も食べられますね。ふふ、ラッキー♪」

色々な種類を、少しずつ食べたいっていうのは、女性特有だと思う。長年の謎なんだけど、何故なのか、誰か教えてくれないだろうか。

「お餅とか入れても良いかも?」

君は嬉しそうに、出来上がりを想像して楽しそうだ。


瑠璃にあゆむ君とママが来ると言ったら、凄く喜んでいた。やったー!とはしゃぐ瑠璃を複雑な感情で見てしまう。ちょっと、喜び過ぎじゃない?叔父の僕の立場は?今日一日一緒に過ごしていたのは、僕なのに…。いっぱい遊んだのにな…。

ちょっとヘコんだ僕を見て、君は母親には勝てませんよと苦笑いした。姉さんに負けるのは分かるんだけど、青木には負けたくない!



家に帰って、手洗いとうがいを瑠璃とした。風邪をひかせたら大変だから、そこの所は気を付けないとね。瑠璃が赤ちゃんの頃、姉さんに手を洗ってから触ってくれと、釘を刺されてから気を付けるようになった。

瑠璃は保育園での生活で、手洗いうがいが身に付いている。子供の生活習慣って、大人にも移ると思う。前はそれ程、気にしていなかった気がするのになぁ。瑠璃の成長を感じて、嬉しくなる。


買い物用バッグから、材料を取り出した。

結衣と瑠璃は、早速エプロンをつけて下ごしらえに精を出している。僕はひたすらキャベツを刻んだ。

「ご飯炊きますか?」

「お好み焼きの時って、ご飯食べるの?」

要らないんじゃないかな?だって、一枚で完成されている料理だと思うんだ。

「あー、私の母は関西出身なので、一緒に食べてます。その影響で弟も。私と父は食べませんけど。ご飯食べるぐらいなら、もう一枚食べたいですよね?」

少食じゃない君はそんなことを言う。そういう所、実は結構好きなんだ。僕が笑いを堪えていたからだろうか?君は僕の顔をジッと見て、今笑いませんでした?と聞いた。顔に出してなかった気がするのに、バレてしまった。将来、君には隠し事が出来ないかもなぁなんて思う。いや、する気もないけどさ。



お好み焼きの何枚かが丁度焼き上がった頃、青木と姉さんが家に着いた。玄関で出迎えると、瑠璃は姉さんと青木に抱きついた。

…やっぱり、敗北感を感じてヘコんでしまう。いや、良いんだけど、良いんだけどさ…。

「ママ!見て!ゆいちゃんとつかさ君と作ったんだよ!」

結衣は姉さんの手を引いて、お好み焼きを自慢げに見せる。

「そう!僕達と瑠璃との力作だよ!」

変に力説してしまう。結衣は苦笑いで、僕を見ていた。


食べ始めて、お好み焼きの感想をみんなで言い合った。青木も姉さんも美味しいと褒めてくれる。好評な様で嬉しい。だって、頑張ってキャベツを刻んだのは、僕だから!人数が多い分だけ、結構大変だったのだ。

瑠璃はえびをお好み焼きの中から掘り出しては、僕達に見せてニヤリと笑う。一緒に焼いた意味ある?

「えび、別でも良かったんじゃ…。」

僕が言ったら、そんなの楽しくないと瑠璃は言う。楽しいか、楽しくないかの問題なのね…。4歳児の気持ちに共感するには、修行が足りないみたいだ。


瑠璃の話はプリ◯ュアの話題になって、僕はついていけなくなる。最近瑠璃がハマっていたのは知ってたけど、チェックしていない。…28歳の独身の男が、テレビや動画でプリ◯ュア観てる図って、どうかなって思ってしまうんだ。青木が普通に話題についていけているのが、不思議でならない。このプライドを捨てなければ、瑠璃の心は掴めないのかと愕然としてしまった。

…青木、頑張ってるんだなぁ…。認めたくないけど、その努力は認めざるを得ない。


僕はお好み焼きを焼くのに集中するフリをして、ホットプレートを眺めた。隣にいた結衣が、ポンと僕の肩に手を置いた。…また、ヘコんだのがバレてる?


ふと、誠司叔父さんの事を思い出した。

そう言えば、叔父さんは僕や姉さんの好きな物を、プレゼントしてくれてたっけ。どうしていつも、欲しい物が分かるんだろうって不思議に思っていた。

いつも不思議だったから、一度どうして僕の欲しいものが分かるんだって、聞いた事がある。そうしたら、会話の中から探すんだって言ってたっけ?何に興味を持っていて、何が好きか。父さんや母さんに聞いたりもするって、言っていた事を思い出した。

もしかして、叔父さんも頑張っていたのかな?今の僕みたいに、ヘコんだりもしていたのかも知れない。


やっぱり、僕はまだまだ修行が足りない。

僕は瑠璃の話に耳を傾けた。いい叔父さんを目指して、頑張ろう。

いつもお読み頂きありがとうございます。

もうすぐクリスマスですね。FMのクリスマスソングが、気分を盛り上げてくれて、ウキウキしてきます。大人になるとプレゼントは、あげる方になってしまいますけどね。

仕事でそれどころじゃないって方も、いらっしゃるでしょうけど、誰かが楽しめているのは、誰かが働いてくれてるからですよね。ありがとうございます。

ではまた☆あなたが楽しんでくれています様に♪

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