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僕達の日常  作者: さきち
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疑問

僕には疑問に思う事がある。

そういう事もする関係になったと言うのに、君は一緒にシャワーを浴びてくれない。さっきまで散々見ていたのだから、一緒じゃないかと思うんだ。でも、歴代の彼女も同じ様な反応だったなと思う。何故なのか。

結衣にその疑問をぶつけてみると、オンとオフで言ったらオフだからですと答えた。やっぱりよく分からない。


今日は青木と緑川先輩と一緒に、仕事終わりにいつもの居酒屋に来た。緑川先輩とここに来るのは初めてだ。店主がイケメンですねと先輩に言うと、先輩は明らかに機嫌が良くなる。本当にチョロい。

ビールとお通しが来て、お疲れ様と乾杯した。早速疑問をぶつけてみる。

「あー、確かに。そうかも。」

「緑川先輩もですか?何故なんでしょうね?」

「う〜ん。何でだろう?」

「女の子の性格にもよると思いますけど。」

青木が枝豆を摘みつつ呟いた。

「青木は一緒にシャワーを浴びてくれた事ある?」

「僕の場合は、慣れたら一緒にお風呂に入ってくれたりしましたけど。」

「慣れないといけないのか…。」

「慣れるまで付き合った事ないんじゃないですか?二人共。」

「……青木のクセに、上から目線。でも、正しい気がする。」

なんか悔しい。

青木は結構一途な性格で、一度付き合いだすと長いらしい。僕はと言うと、保って2、3年ぐらい。…負けてる!明らかに青木に負けてる!最近で一番のショックかも知れない。そう思ったのは、緑川先輩も同じみたいで、青木に負けてる…!と悔しそうだ。


僕は早く結衣に慣れてもらおうと考えた。決して助平心からではないと言いたい。いや、ごめんなさい、嘘です。



青木が姉さんと正式に付き合う事になったと、報告してくれた。まぁ、そうなると思っていたので、驚きはない。純粋に良かったと思える。

ただ、姉さんと青木の組み合わせが不思議に感じてしまうのだ。縁と言うのは不思議だと思う。僕はキューピッド?なのか?


「二人だけになりたい時は言えよ?瑠璃、預かるから。」

「三人でも楽しいですよ?」

「…お前の為に言ってるんじゃない。僕が瑠璃と過ごしたいんだ。」

最近は遊ぶ機会が減っていて、少し寂しい。瑠璃と会っても、あゆむ君の話ばかりで、正直言ってジェラシーを感じてしまう。ちょっと父の気持ちが分かった気がした。


「なぁ、子供ってそんなに可愛いもの?俺、子供が凄く可愛いって、思った事ないんだよな。」

緑川先輩は、不思議そうに呟いた。

「え?可愛いじゃないですか。」

青木は緑川先輩の発言を、理解出来ない事の様に言う。

「確かに可愛いとは思うけど、メロメロになる感覚が理解出来ない。」

「子供に接する機会が少ないからじゃないですか?」

僕達の年齢だと、家族に子供がいなければ、接する機会が少ないのが現実だ。

「そうかなぁ…?」

「僕も瑠璃が生まれるまでは、そうでしたよ。でも姪っ子って凄く可愛いんですよね。」

どうしてあんなに可愛いのかと、不思議でしょうがない。不思議なもので、瑠璃と接しているうちに、他の子供まで可愛いと思えてきたんだ。

「俺一人っ子だし、姪も甥も居ない…。」

「自分の子供だともっと可愛いって、姉が言ってましたけど。」

「そういうもんなのかなぁ?」

「…先輩、子供が可愛くないなんて、赤城さんの前で喋っちゃダメですからね?」

僕は先輩に忠告しておく。

「え、何で?」

「何でもです!」

そんな事言ったら、不安がるに決まってるじゃないか。

「…分かったよ。」

大丈夫かな?青木と顔を見合わせてしまった。


「まぁ、先輩の場合、先輩が子供みたいな感じですしね。」

「え?そうなんですか?」

そう言えば、青木は赤城さんと先輩の様子をあまり見ていなかったのかなと思う。自分の事で精一杯だったのだろう。

「おい!」

「赤城さんの前では、まるで小学生。あ、母親と子供?」

「く〜ろ〜か〜わ〜!」

緑川先輩は僕を睨む。事実を喋っただけなのに。


「僕は甘えるより、甘えてくれる方が嬉しいタイプです。頼られると嬉しいですね。こう見えても、家ではちゃんと兄としての役割を担っているんですよ?」

青木の発言を疑ってしまう。会社の先輩方にも可愛がられていて、弟的ポジションだから。僕にも甘えてくるのに、本当だろうか?まぁ、家と外で違うのは当然か、僕もそうだし。

「黒川は?」

「僕は両方が良いですね。基本は甘えて欲しいけど、たまには甘えたい。」

自分で言うのも何だけど、結構恥ずかしいな、この話題。自分で緑川先輩にふってしまったから仕方ないんだけど。

「俺だって、甘えてばっかりじゃないんだぞ?しっかりしてるけど、二人だけの時はちゃんと甘えてくれるし。そう言う所がめちゃくちゃ可愛い。俺だけに見せてくれる顔があるって思うだけで、愛しく感じる。」

きっと赤城さんの様子を思い浮かべていたんだろう、顔がにやけている。赤城さんにはメロメロなんだよなぁ。

「多分、自分の好きな人と自分の子供だったら、可愛いって思えますよ。」

色々な性格の人がいるけれど、先輩は心配ない気がする。美穂さんと緑川さんを知っているから、そう思うのかな?

「莉子そっくりの女の子だったら、可愛いだろうなぁとは思う。でも、そうなってみないと分からないよなぁ。まぁ、まだ先の話だけど。」

「そうですか?年齢的には、一番早そうですよ?」

青木が言ったけれど。

「…父親になってる自分を、想像出来ないんだ。」

「それは、少し分かります。」

僕は答える。


男も女も、子供が出来て初めて、父親や母親になるのかななんて思う。同期でも結婚しているのも、多いしね。自分の子供の写真を見せてくる同期の呉なんかも、前はこんなに子煩悩なパパになるとは想像出来なかった。

年齢的には、僕も緑川先輩とあまり変わらない。結婚していても、おかしくはないんだよなぁ。

僕にとって結衣は結婚したい相手だけれど、彼女がどう思っているのか分からないし…。シャワーも一緒に浴びてくれないから、まだまだなのかなぁ?ビールを飲みながら、そんな事を考えてしまった。

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